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2024/07/01 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第253号 インフレへの心配が薄れる中、もうトラを意識し始めた米国市場


先週は、月末、期末にして怒涛の円安、そして米国では金利上昇となんだか濃い1週間でした。

●先週のマーケット
・日銀の主な意見
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析

1. 続・ 米住宅に鈍化の気配
 ・新築住宅販売件数 5月
 ・中古住宅販売成約指数
2. 新規失業保険申請件数
3. 利下げの可能性を残した5月PCE
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう

***************
あとがき
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諸般の事情により、少しライトな内容でお伝えしてしまいました今週号、なにとぞ広い心でお許しいただけましたら幸いです。

さて週末、バイデン大統領とトランプ前大統領の討論会が開催されました。が、二人とも衰えを隠し切れない様子でした。

それもそのはず、バイデンは81歳、トランプも78歳と高齢です。トランプですら、普段の演説の声を聴いていると、現職の時や前回の大統領選と比べれば声がややかすれているような印象を受けます。しかし、バイデンは討論会の序盤からヒヤヒヤする場面があり、日本人の私ですら何とも言えない気持ちに。なにしろ現役の大統領が、何とも頼りなげな表情やしぐさを繰り返し、さらにそれが全世界に映し出されたわけですから、支持者や国民の皆さんにとっては、この上ない不安を感じたでしょう。

こうした報道を経て、バイデン交代論や、マーケットでは「もしトラ」から「もうトラ」へとテーマが変わりつつあります。あくまでもマーケットを見る目線は、経済や金融政策がベースになりますが、今年に関してはこうした政治的な動きも横目でとらえておく必要があるでしょう。というわけで、そのトランプが次期大統領に選出された場合、米国市場への影響はどうなるか?

かねてより、トランプは高止まりする金利、あるいは極端なドル高に反対を示しています。自国の産業を守る上でも、低金利政策やある程度ドル高は是正しておきたいところでしょう。しかしながら、不用意に利下げを行えば、インフレの再来やエネルギー価格の上昇(そしてさらにインフレ加速)が起こり、ここまでのFRBの努力が水の泡になりかねない。

また、水の泡になるだけでなく、選挙戦大詰めで、パウエル議長としてはどちらかの候補に肩入れしていると思われたくない、といった思惑もあるでしょう。というわけで、Salt的には、FRBとしてはデータの裏付けがない限り、9月の利下げは回避したいのではないかと考えますが、今回のPCEなどは9月利下げを固める要因になりえるので難しいところです。

ただ、前述の討論会の内容を受けて、マーケットでは米長期債利回りが上昇しました。以下は、金曜日の長期債利回りの変化

【6月28日の米長期債利回りの推移】

黄色の点線楕円で囲った部分は、前述のPCEの結果を受けての反応です。しかし、金曜日の統計発表が終わるとともに、市場関係者のテーマが「大統領選」に移ったのか、見事に金利上昇で反応しています(黄色矢印)。

これは、気の早い話ですが、マーケットではトランプ再選となった場合を想定した反応となっています。財政出動懸念による金利上昇、経済期待による株価上昇、さらに富の集中を想定したドル買といった反応が見られ、当然のことながらインフレ圧力が強まる可能性が考えられます。今後もトランプ返り咲きを想定した動きに、マーケットは振り回されるかもしれません。

さて、5月の訪日外国人が304万人を超え、3カ月連続で300万人を超えています。こうなってくると期待されるのはインバウンド消費ですが、5月の百貨店売り上げにはインバウンドによる押し上げ効果が見られます。

全国百貨店売上高(前年比)+14.4%(前回+8.9%)
東京地区百貨店売上高(前年比)+17.3%(前回+10.8%)

こうしたインバウンド消費は、今年の1~3月期の年換算で7.2兆円(名目)と10年間で5倍に拡大。これはサービスの輸出にあたりますので、日本の主要品目の輸出額と比べると、1位の自動車(17.3兆円)には遠く及ばないものの、すでに2位の半導体(5.5兆円)を上回る規模に成長しています。

政府が掲げる観光立国の目標達成に向けて前進しているようですが、しかし、オーバーツーリズムやサービス業における著しい人手不足など、課題は山積みで、国民がストレスを感じるようなシーンも増えているようですが、日本はメシが美味く、風光明媚な場所も多い、何より安いとなればこの流れは続きそうです。

そんな観光地として国内外から人気の北海道。近年、温暖化の影響で、海水温が上昇しており、海鮮丼で使う「ウニ」をやむなく「ロシア産」で代用しているというニュースを目にしました。日本近海の漁業も風景が変わってしまうのかと思うと大変心配です。

しかし、グッチーポストの読者の皆さんは、安定の山田湾直送「瓶ウニ」がありますから安心ですね(笑)。とはいえ、山田湾も例年よりは漁獲量が少なくなりそうですので、ぜひおいしいウニを試してみたい、という方は食べてみてください。

大変お待たせしました!瓶うにお申込み開始です!!(6/17)

そんなことを言っていたら、いよいよ7月がスタートです。なんと、2024年の後半戦に突入ですが、皆様にとって、よい1ヵ月になりますように!

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