2024/04/01 06:30 | 今週の経済ZAP!! | コメント(1)
第240号 止まらぬ円安、通貨防衛の利上げが視野に
さて、先週は比較的材料が少なく平穏な1週間でしたが、住宅関連指標や注目のPCEについては押さえておきましょう。また、もう一段進んだ円安についても取り上げます。
それでは、さっそく今週のアウトラインです。
●先週のマーケット
・強めの口先介入
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. 米2月の住宅市場
・住宅着工 2月
・住宅建設業者の景況感
・新築住宅販売件数 2月
・中古住宅販売件数 2月
・中古住宅販売成約指数
2. 新規失業保険申請件数
3. 個人所得・消費支出 2月
4. 止まらぬ円安
●あとがき
それでは、さっそくまいりましょう。
今週も、ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました。先週は、イースター休暇を控え市場参加者が少ないこともあり、久しぶりに材料に乏しい静かな週でした。
いよいよ4月、新年度のスタートです。先週は賃上げについて取り上げましたが、実際のところその波が中小企業まで及ぶのか、また持続性があるのかなど多くの問題が残されています。
春闘の賃上げ率は5.25%(3月22日公表の2次集計)となりましたが、前年の3.58%を大きく上回る数値でした。ただし、この数字には定期昇給分も含まれており、それを除いた正味の賃上げといえるベースアップは3.64%でした。この数字でも日本の賃上げとしては高いわけですが、はたしてこの賃上げをもってしても弱い内需を押し上げられるのかは疑問。
単純計算で月給40万円の人が5%賃上げとなれば月2万円の給料が増えますが、これが消費に回るのかは疑わしいのではないかと私は思います。さらに、春闘はあくまで労働組合と会社の賃金交渉であり、日本の組合の組織率は16.3%に過ぎないことを考えれば、労働組合の無い中小企業などはそもそも春闘に含まれておらず、日本全体の実際の賃上げ率で考えれば2%程度になる可能性もあるでしょう。春闘による賃上げは一部の業績好調な大企業が主導しているという点は忘れてはいけません。
そんな状況の中、さらに、4月からは、電気代の値上げに加えて、宅配便をはじめとしたさまざまなサービス業態での値上げも目立ちます。先週も、昔から利用している飲食店など多くの場所で「4月から値上げします」といった告知を目にしました。日常的に利用している飲食やサービスコストが上がるのは、ボディブローのように消費に影響があるのではないでしょうか。
いずれも Salt調べですが、飲食店などはおおむね5%前後、その他サービス業では10%前後コスト増、と言う印象。上昇率にしたらかなりのもので、政府日銀のインフレ目標達成にはプラスに寄与するかもしれませんが、果たして賃金の上昇で需要を喚起しディマンドプルインフレへ・・・、そんな状況になるにはまだ問題が多い気がします。
このあたりの日本のマクロ環境の強さに欠けるところが米国との違いといえます。そして、実体経済から株価を考えることは難しくなってきている中でも日本株が上がっているのは、諸々要因はありますが割安に放置されていた企業の株価の修正と、円安による押し上げによるところが大きい。まだ、しばらくはこの流れは続くでしょうから、音楽が鳴り終わるまでは踊り続けることになるでしょうね。
そうした中、復興増税も延長されますが、能登半島では、未だに能登の断水が解消できないとか、輪島の生活復旧が著しく遅れているなど、新年度を迎えても、未だに普通の日常が取り戻せていない地区がある。地元の方々からは、自治体や行政の不備を指摘する声がだんだんと大きくなっている状況です。Saltとしては微力ながら応援を続けていますが、こうした想いが少しでも届くように、祈るばかりです。
・令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について
さて、先週は、Konanさん行きつけのお店で、ディナーをご一緒しました。Konanさんに教えていただくお店は、Konanさんと一緒じゃないと予約が取れなかったり、今回のように永年行きつけのお店だったりと言うことで、軽々にご紹介できないのが残念ですが、その点はご容赦いただくとして・・・。
Menetou Salon Moroguesという、ロワール地方の白ワインをいただき、さわやかな香りとキリっとした口当たりが、この季節旬のホワイトアスパラや、サバを使った前菜によく合いました。ワインと料理を楽しみつつ、各国中銀の話や超プライベートな話まで、いろいろとお話をお伺いしました。
最後に、先週お伝えした、真鯛の炊き込みご飯、ご注文いただきありがとうございます。
知り合いのすし職人に「春の鯛はどう?」と聞くと、皆「脂がのっていて美味しい」「この時期は海老なんかをよく食べているから美味しいよね」とのこと。美味しい出汁と共に冷凍でお届けしますので、一緒に炊いて、ぜひご賞味ください。
というわけで、新年度スタートです、皆様にとってよい1週間となりますように!
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One comment on “第240号 止まらぬ円安、通貨防衛の利上げが視野に”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
毎週ありがとうございます。
米国経済統計だけでなく、国内株式への資金流入事情や為替についても丁寧に毎週伝えていただき、助かります。
特に今回の為替介入と外貨準備の話は大変勉強になりました(あいまいに理解っしていました・・)。
また、毎週能登半島について取り上げてくださっているのも、1メディアとしての矜持を感じます。ぜひこれからも益々のご活躍を祈念しております。