2022/04/25 00:00 | 今週の動き | コメント(2)
今週の動き(4/24~30)ロシアのウクライナ侵攻、フランス大統領選挙、フロリダ州のディズニー優遇廃止、橋下徹氏の議論の問題点
すっかり初夏の気候になり、大型連休も近づいてきました。昨年は連休前に緊急事態宣言になってしまいましたが、今年は旅行に行く方も多そうですね。
先週は、かんべえさんと一緒にオンラインセミナーを開催しました。ウクライナ戦争を中心に、政治から経済まで多岐にわたるお話をしました。沢山の質問やコメントをいただき、1時間30分の予定が2時間に及びました。
私自身も大変勉強になり、楽しませていただきました。かんべえさんも喜んでおられました。次回は夏か秋になるかと思います。またぜひよろしくお願いします。
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先週の動き
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4/17(日)
・北朝鮮が4月16日に咸鏡南道・咸興一帯から日本海に向け飛翔体を2発発射したと韓国軍が発表(北朝鮮は「新型戦術誘導兵器」の発射実験に成功したと発表)
・「イスラム国」がアブイブラヒム・ハシミ前最高指導者の米軍の作戦による死亡への報復を行うと宣言
・復活祭(イースター)
4/18(月)
・ロシア軍がウクライナのリヴィウをミサイルで攻撃
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア軍はドンバスで本格的な攻撃を開始したとビデオ演説で発言
・ウクライナ保安当局が拘束中の親ロシア派の政治家ビクトル・メドベドチュクがマリウポリでロシア軍と交戦中のウクライナ兵と自身の交換を呼び掛ける動画を公開
・ロシアの国営テレビがウクライナのために戦闘に参加し拘束された英国人とされる男性2人がジョンソン首相にメドベドチュクとの交換の交渉を求める動画を公開
・中国の22年1~3月期の実質GDP成長率の発表(前年同期比+4.8%)
・米韓合同軍事演習(~28日)
・IMF・世銀春季総会(ワシントンDC、~24日)
4/19(火)
・バイデン大統領主催のG7、NATO、EU、ポーランド、ルーマニアのオンライン首脳会議
・ロシア軍がルハンスク州のクレミンナを制圧したと同州知事が発表
・カナダがロシア追加制裁を発表
・中国がソロモン諸島との安保協定に署名したと発表
・中国メディアの財新が4月6日に発表された中国の感染症研究の第一人者である鍾南山による中国のゼロコロナ政策を批判する論文を報道
・シンガポール・NZ首脳会談(シンガポール)
・東ティモール大統領選挙の決選投票(ラモス・ホルタ元大統領が勝利)
4/20(水)
・ミシェル欧州理事会議長がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・ロシア国防省が複数の核弾頭を搭載できる次世代のICBM「サルマト」の初めての発射実験の成功を発表
・米国がロシア追加制裁を発表
・G20財務相・中銀総裁会議(ワシントンDC)
・米中国防相電話会談
・フランス大統領選挙のテレビ討論会
・ボアオ・アジアフォーラム(習近平国家主席が演説)(海南省、~22日)
4/21(木)
・プーチン大統領がマリウポリの「解放」を宣言(戦闘の中止とアゾフスタリ製鉄所の封鎖を命令)
・ロシアが米国のハリス副大統領、メタのザッカーバーグCEOを含む29人の入国禁止を発表
・バイデン大統領がウクライナへの8億ドルの新たな軍事支援を発表
・米商務省がロシアへの輸出規制の違反を理由に貨物航空大手アビアスタルに罰則を科したと発表
・ウクライナのシュミハリ首相、マルチェンコ財務相、シェフチェンコ中銀総裁が訪米
・米衛星運用企業マクサー・テクノロジーズがマリウポリから西に20キロほど離れた近郊の村に集団墓地が作られていたとする衛星画像を公開
・日・NZ首脳会談(東京)
・ウクライナ避難民への人道支援物資を運ぶ自衛隊機の受け入れを物資の積み込み予定地だったインドが拒否したと自民党の高市政調会長が党会合で表明
・フランスの検察当局が日産のカルロス・ゴーン元会長に対する国際逮捕状を発付したとWSJが報道
4/22(金)
・ミシェル欧州理事会議長とプーチン大統領が電話会談
・ロシア軍中央軍管区のミンネカエフ副司令官がウクライナ侵攻作戦の目標は東部に加え南部の制圧であると表明したと国営タス通信が報道
・ロシア国防省が4月14日の黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の沈没により兵士1人が死亡、27人が行方不明と発表
・ロシア黒海艦隊のイーゴリ・オシポフ司令官が解任・逮捕されたとウクライナ国防省が発表
・米国がソロモン諸島との戦略対話の立ち上げを発表
・フロリダ州でウォルト・ディズニーに認めていた優遇税制を含む特区制度を廃止する法律が成立
・ペンシルベニア州フィラデルフィア市が新型コロナウイルス対策の屋内の公共空間でのマスク着用義務を解除
・英印首脳会談(デリー)
・上海市が新型コロナウイルス対策の活動制限の再強化を発表
4/23(土)
・ゼレンスキー大統領がキーウの地下鉄の駅で記者会見
・アジア太平洋水サミット(熊本、~24日)
・日・カンボジア、日・ラオス、日・ツバル首脳会談(同)
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(4月25日)で61日目を迎えました。ちょうど2か月が経過したことになります。
ゼレンスキー大統領はロシア軍がドンバスで本格的な攻撃を開始したとビデオ演説で表明しました。ロシアは3月25日に作戦の「第2段階」としてドンバスの「解放」を主要目標にすると発表し、キーウなど他の地域からの戦力の配備を続けてきましたが、それに沿った動きといえます。
ロシアは、ルハンスク州のクレミンナを制圧したと発表。その近郊のルビジネとポパスナから西、イジュームからスロビャンスクに向けて南、ドネツク市から北と三方から地域全土の攻略を狙っているとみられます(地図はこちらのリンク参照)。しかしウクライナ軍の抵抗により、現時点で大きな前進はみられません。
一方、マリウポリについては、ショイグ国防相の報告を受け、プーチン大統領がマリウポリの「解放」を宣言。戦闘の中止とウクライナ軍が市民とともに立てこもっているアゾフスタリ製鉄所の封鎖を命令しました。
また、ロシア軍中央軍管区のミンネカエフ副司令官がウクライナ侵攻作戦の目標は東部に加え南部の制圧であると表明。ヘルソン州からミコライウ州、オデーサ州に進出し、黒海北岸を押さえ、モルドバまで到達するというプランです(モルドバとウクライナの間にはロシアの傀儡国家である「沿ドニエストル共和国」がある)。こうした目標は、これまでのロシア軍の動きを見れば明らかでしたが、公式な形で明示されたのは初めてでした。
米欧はウクライナへの支援を引き続き強化。バイデン大統領はウクライナへの8億ドルの新たな軍事支援を発表しました。榴弾砲や新型の攻撃ドローン「フェニックス・ゴースト」の供与が含まれます。
また、ウクライナのシュミハリ首相、マルチェンコ財務相、シェフチェンコ中銀総裁がワシントンDCを訪問し、IMF・世銀春季総会に参加。ゼレンスキーもオンラインで参加し、ウクライナは経済を維持するために毎月70億ドルの経済支援を必要としており、戦後の復興には数千億米ドルが必要と述べました。
以上の最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●フランス大統領選挙
フランス大統領選挙の決選投票が昨日(4/24)行われました(結果はこれから判明)。先週、マクロン大統領とマリーヌ・ルペン候補のテレビ討論会が実施され、選挙直前の世論調査では、マクロン55~57%、ルペン43~45%となっています。
ポイントは以下の記事で説明したとおりですが、先週の動きを踏まえ、また選挙後のフランス政治の展望を含め、あらためて解説します(※メルマガで解説)。
・「フランス大統領選挙」(4/18)
●フロリダ州のディズニー優遇措置の廃止
フロリダ州でウォルト・ディズニーに認めていた優遇税制を含む特区制度を廃止する法律が成立しました。同州では先月、共和党の主導で、小学校の授業でLGBTQに関する話題を取り上げることを規制する法律が成立し、ディズニーは反対を表明していましたが、それに対する報復措置とみられています。
この法律を成立させたフロリダ州のロン・デサンティス知事は、本メルマガでも何度も取り上げてきましたが、ハードコアなトランプ主義者で、ポスト・トランプの最右翼といえる共和党の有力政治家の一人です。24年大統領選でもトランプに次ぐ有力候補とみられています。
それにしてもディズニーはフロリダ州の経済を支える有力企業であり、それに対して共和党がこのような攻撃的な措置をとることは衝撃でした。今後の米国政治を見る上で示唆に富む動きです。その意味を解説します(※メルマガで解説)。
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今週の動き
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(※メルマガで解説。)
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あとがき
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読者の方(たなさん)から、コメント欄で、橋下徹氏の意見についてコメントとご質問をいただきました。
>彼(注:橋下氏)の最大の主張を端的に言えば、ウクライナ政府や西側諸国またはNATOは、戦う意思がなく一刻も早く逃げ出したい一般人が逃げられることを優先すべき、ということに尽きると思います。この意見は真っ当で私は完全に同意するのですが、この点に異論がある方はいるのでしょうか?
>そして橋下氏は、最初に政府が採った、一般男性を国外に出させないという方針を批判しています。これも逃げたい人がもしいたなら逃してあげるべきという考えが根底にあるからと思いますが、これも間違った考えではないように見えます。他の民主国家では、この方針は賛成多数になるのでしょうか?
>以上2点についていかがでしょうか。橋下氏を非難している人はこの2点も含めて非難しているのか、これらの点は同意するものの、他の箇所を非難してるのかを知りたいです。
大変示唆に富むコメントでした。どうもありがとうございます。私は橋下氏の議論には数多くの問題があると思っています。そのことを説明します(※メルマガで解説)。
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2 comments on “今週の動き(4/24~30)ロシアのウクライナ侵攻、フランス大統領選挙、フロリダ州のディズニー優遇廃止、橋下徹氏の議論の問題点”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
初歩的な質問に毎回丁寧に解説いただきましてありがとうございます。
各論の二者択一を迫ることで、他の問題から目を背けさせ、耳障りの良い主張をもっともらしく伝えるという手法は、これまであまり意識したことはありませんでしたが、過去の記憶をたどると橋下氏に限らず様々な場面で遭遇する話術ですね。。。
戦争という国家の存亡をかけた状況では、まさに国の維持や存続といった目的を達成するため、複雑な全体最適の思考が必須になるのに対し、橋下氏の主張は狭い視点のみでの単純な部分最適(最適といえるか疑問ですが)となっていて、しかもその目的さえもずれてしまっているということでしょうか。
橋下氏は、反対意見の人々同士を議論させ、その組織のリーダーがそれらの議論をすべて聞いた上で方向性の結論を下すべき、という主張をよくされているので、もう少し客観性や公平性を持ったリーダーかと思っていました。リーダーの立場ではもしかしたらそのように振る舞えるのかもしれませんが、本人が議論する側になるとどうもそういうわけではなさそうです。
一連のツイッターを見る限り、思い込みが強すぎ、一度言った意見をなかなか修正できない人物といった印象を受け、非常に残念に感じました。しかし単なる興味本位で眺めていたせいか、疑問は出てくるものの問題点に気づかず、質問させていただいた次第です。
しかしここまで非難されていれば、周りが注意するものだと思いますが、そういう人がいないのか、いたとしても受け入れられないのか、いずれにしても孤立した状態なのかもしれません。
JDさんのメルマガを関係者が読み、それがご本人に少しでも伝わり、客観的で落ち着いた議論が繰り広げられればよいのですが・・・。
駄文・長文失礼いたしました。
コメントどうもありがとうございます。
私も、かなり率直に踏み込んで書いたので、どのように受け止められるか不安なところもありましたが、このようにおっしゃていただいて、安心しました。とても嬉しく思います。
たなさんのご指摘のおかげで、私も問題の所在がよりクリアになったように思います。次回の記事でも、もう少し話を続けてみたいと思いますので、またよろしくお願いします。