2021/09/13 00:00 | 今週の動き | コメント(2)
今週の動き(9/12~18)米中首脳電話会談、米コロナ対策、タリバン暫定政府、カリフォルニア州知事のリコール、上海協力機構
一昨日は9・11の20周年でした。私は当時米国に住んでいて、9・11の2週間前には仕事でワールド・トレード・センターにいました。多くの友人や仕事の関係者がテロによって大きな影響を受けました。色々な思い出が蘇ります。
今年は20周年ということで、例年にも増して追悼の行事や特集の記事・番組を目にします。Netflixのドキュメンタリー『ターニング・ポイント』もその一つで、私も半分ほど見終わりました。生々しい映像や当時の人々の証言が心を揺さぶります。アフガンの映像も数多く登場します。すべて見終わったところで感想など述べたいと思っています。
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先週の動き
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9/5(日)
・ブリンケン国務長官がカタールとドイツを訪問(~8日)
・オースティン国防長官がカタール、バーレーン、クウェート、サウジを訪問
・台湾国防部が中国軍の戦闘機など19機の防空識別圏(ADIZ)への侵入を発表
・サウジ国防省が9月4日に東部の油田地帯などに向けて発射された弾道ミサイル3発を迎撃したと発表(イエメンのフーシ派がサウジアラムコの施設を狙って攻撃したと声明)
・ギニア軍特殊部隊の幹部がコンデ大統領を拘束したと発表
9/6(月)
・レイバーデー
・ブリンケン国務長官・オースティン国防長官とカタールのタミーム首長が会談(ドーハ)
・タリバンがパンジシール州の制圧を宣言
9/7(火)
・バイデン大統領がNY州とニュージャージー州のハリケーン「アイダ」の被災地を訪問
・G7財務相会合(オンライン)
・テキサス州で投票規制強化法が成立
・タリバンが暫定政権の主要閣僚を発表
・北朝鮮の朴正天・前朝鮮人民軍総参謀長が党政治局常務委員と党書記に選出されたと朝鮮労働党機関紙の労働新聞が報道
9/8(水)
・G7含む22カ国のアフガンに関する閣僚級会議(オンライン)
・アフガン周辺6か国(中国、パキスタン、イラン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン)の外相会議(オンライン)
9/9(木)
・バイデン大統領が新たな新型コロナウイルス対策を発表
・アフガンに滞在していた米欧等の外国人約200人を乗せたカタール航空のチャーター便がカブールを出発しドーハに到着
・米司法省がテキサス州の人工妊娠中絶の大半を禁止する法律は憲法に反するとして同州を相手方に同法の差止めを求める訴訟を提起
・BRICS首脳会議(オンライン)
・北朝鮮の建国記念日(夜間に軍事パレードを実施)
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(モスクワ)
・ECB定例理事会(フランクフルト)
9/10(金)
・米中首脳電話会談
・バイデン大統領が米同時多発テロから20年を迎えるにあたり国民向けのメッセージ動画を公開
・米中央軍が撤退直前の8月29日に行ったドローンによる車両への空爆はNGO職員に対する誤爆だった可能性があるとNYタイムズが報道
・ホワイトハウス競争協議会の初会合
・中独首脳電話会談
・王毅国務委員兼外相がベトナム、シンガポール、カンボジア、韓国を訪問(~15日)
・レバノンのミカティ元首相とアウン大統領が閣僚名簿で合意
9/11(土)
・米同時多発テロから20年(バイデン大統領がNY、DC、ペンシルバニア州の現場を訪問、全米各地で追悼式典)
・上海協力機構(SCO)の対テロ合同軍事演習(ロシア・オレンブルク州、~25日)
・印豪外務・防衛閣僚協議(2+2)(デリー)
●米中首脳電話会談
バイデン大統領と習近平国家主席が電話会談を行いました。2月に行われた初めての電話会談(以下の記事参照)に続く2回目の首脳同士のコンタクトになります。
・「米中首脳電話会談」(2/15)
米側の発表では、両首脳は利益の一致する分野も、利益や価値観、視点が一致しない分野も幅広く率直に話し合ったとのこと。この会談は米中の競争を責任を持って管理するための継続的な取り組みの一環であり、競争が紛争に発展しないようにするための両国の責任について議論されたと述べられています。
一方、中国側の発表では、習近平は、米国の対中政策が米中関係を深刻に悪化させているとして米国の対応を批判したとのこと。その上で、米中両国が協力しなければ両国も世界も苦しむ、「山が重なり、川もあり、道がないと思われたところでも、暗闇の中に村があった」という陸游の詩を引用し、米中関係は改善する必要があると強調しました。気候変動、コロナ、経済回復に向けて協力の強化を期待するとしています。
今回の電話会談のポイントを述べます(※メルマガで解説)。
●バイデンの新コロナ対策
バイデン大統領が新たな新型コロナウイルス対策を発表しました。連邦政府職員、医療従事者、教育従事者、大企業の従業員に対して、ワクチン接種か毎週の検査を義務付けるというものです。
バイデンは、ワクチン接種は自由や個人の選択の問題ではない、接種していない米国人8,000万人にいらだっているとして、未接種者に対する不満をあらわにしました。これに対し、共和党全国委員会は憲法に違反すると批判し、政府を提訴すると表明しました。サウスダコタ、テキサス、ジョージア、フロリダ、サウスカロライナなどの共和党の州知事も反対を表明しています。
バイデンの新コロナ対策の意味についてコメントします(※メルマガで解説)。
●タリバン暫定政府の発表
タリバンが暫定政権の樹立を宣言し、閣僚33人を発表しました。主要メンバーは以下のとおりです。
(※いずれも代行)
・首相 ムハンマド・ハサン・アクンド
・副首相 アブドゥルガニ・バラダル
・同 アブドゥルサラム・ハナフィー
・国防相 ムハンマド・ヤクブ
・内相 シラジュディン・ハッカニ
・外相 アミールハン・ムッタキ
タリバンの副指導者で政治・外交を担当してきたバラダルは、「アフガン人のすべてを代表する包括的な政府の樹立を目指す」と述べていました。しかし、米国は、女性や旧政権のメンバーが参加しておらず、排他的であるとの見解を示し、閣僚の何人かの所属や経歴を懸念していると指摘しました。
タリバンの暫定政府の評価と今後の見通し、バイデン政権との関係について、明日解説します。
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今週の動き
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(※カリフォルニア州知事のリコール選挙、上海協力機構(SCO)首脳会議など、メルマガで解説。)
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あとがき
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■ 同姓同名見た目もそっくり候補が3人 選挙妨害工作か ロシア(9月7日付AFP)
これは・・笑えますね。いや、笑うべき話ではないのですが・・こちらが実際の紙面です(ヴィシュネフスキー氏のツイッター)。
迷惑を被っているのは野党の候補で、それ以外の候補者は与党「統一ロシア」の関係者。つまり反体制派の候補に対する嫌がらせであることは明白のようです。
まあしかしそれだけ与党(プーチン大統領)に危機感があるということなのでしょう。選挙は再来週(9月17~19日)です。ちなみにこれまでは1日間で投開票が行われていたのですが、今回は3日間になりました。これも選挙不正のチェックをやりにくくするための措置ではないかと批判されています。
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2 comments on “今週の動き(9/12~18)米中首脳電話会談、米コロナ対策、タリバン暫定政府、カリフォルニア州知事のリコール、上海協力機構”
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今週もありがとうございました。中央アジアは普段ニュースになることが少なく馴染みがないので面白かったです。大分前の話ですが、会社に視察ご一行様をお迎えした時、お顔立ちが親しみある方が多かったことを思い出しました(中央アジアのどこの国か忘れてしまいました…)。
さて、先週の動きにありましたが、テキサス州の中絶禁止の法律の件、アメリカの分断の象徴かと思います。思想的対立、保守派が占める最高裁の状況など、難しい問題かと思うのですが、ミシシッピ州の話もあったと思うので、どこかのタイミングで取り上げていただけたらと思います。JDさんが以前紹介されていた「憲法で読むアメリカ現代史」以來興味があります。
いつもありがとうございます。
中央アジア、ご関心をもってもらえて良かったです。こういう記事はどれほど興味をもってもらえるかいつも気になるので、参考になります。
ご質問の件、了解しました。この話はこれからも続くので、どこかのタイミングで取り上げたいと思います。