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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/07/19 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(7/18~7/24)米中(ウイグル・香港勧告、商務次官)、米独首脳会談、米インフラ、反トラスト、米国務副長官のアジア訪問、東京五輪


梅雨が明けましたね。プロ野球オールスターゲームも行われて、すっかり夏本番という気分になりました。

そして今週はいよいよオリンピック。なんとも、実感はわかないですが・・夏のお祭り気分は感じられてきたものの、私は依然として部屋に引きこもりの状態です。一日テレビで観戦できるのは良いことですが(笑)。

しかし部屋の中は快適といっても、ずっと同じ感覚でいるのは良くないようですね。五感に異なる刺激を与える必要があるとか。たしかにたまにオフィスに行くと気持ちが新鮮になったり、昔はどんなに忙しくても出張やダイビングに行くと頭が冴えて、時間的には厳しくなってもかえって仕事がはかどったような気がします。

そういう色々な刺激を得られるという点でサウナが良いとか。ずいぶん人気のようで、私も友人から勧められるのですが、ただ今はこれもコロナ的には難しいのでしょうか。サウナでととのうためにも、早くワクチンが行き渡って、ワクチンパスポートも活用できるようになって欲しいものです。

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先週の動き
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7/11(日)
・ブリンケン国務長官が「南シナ海に関する仲裁判断5周年」と題する声明を発表
・上海復星医薬集団がTSMCと鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)が設立した慈善団体等に計1000万回分のビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを販売する契約を結んだと発表
・中朝友好協力相互援助条約締結60周年(習近平国家主席と金正恩総書記が祝電)
・キューバ各地で大規模な反政府デモ
・ブルガリア議会選挙
・モルドバ議会選挙(サンドゥ大統領が創設した「行動と連帯」が勝利)

7/12(月)
・アフガン駐留米軍のミラー司令官が退任し作戦指揮権を米中央軍のマッケンジー司令官に移譲(カブールで式典)
・ロシアのプーチン大統領が「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」と題する論文を発表
・EU外相理事会(「グローバルにつながる欧州」と題するインフラ計画に関する文書を採択)(ブリュッセル)
・ユーロ圏財務相会合(同)
・南アが7月10日頃から各地で発生しているズマ前大統領の収監への抗議デモを受け治安回復のため軍を出動すると発表
・米大リーグ・ホームランダービー(デンバー)

7/13(火)
・バイデン大統領が投票制限の動きを批判する演説(フィラデルフィア)
・バイデン大統領がアラン・エステベズ元国防総省幹部を商務次官(産業安全保障局(BIS)トップ)に指名
・米国務省、財務省、商務省、国土安全保障省、USTR、労働省の6省庁が連名で新疆ウイグル自治区のサプライチェーン事業の企業向けアドバイザリーの改訂版を発表
・米司法省がイランの工作員ら4人を誘拐未遂等の容疑で起訴したと発表
・米上院民主党の指導部と上院予算委員会の民主党メンバーが3.5兆ドル規模のインフラ投資計画で合意(バイデン大統領が支持を表明)
・ロシア系のランサムウエア集団「REvil(レビル)」のダークウェブ内のサイトが消失
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(サンクトペテルブルク)
・中・トルコ首脳電話会談(習近平国家主席)
・EU財務相会合(ブリュッセル)
・日本の21年版の防衛白書の公表(米中関係の節を新設し、台湾情勢の安定が日本の安全保障に重要と明記)
・米大リーグ・オールスター戦(デンバー)

7/14(水)
・米・ASEAN外相会議(オンライン)
・ケリー気候変動問題担当大統領特使とプーチン大統領が電話会談
・米上院がウイグル強制労働防止法案を可決
・フェイスブックが米連邦取引委員会(FTC)に対しカーン委員長を同社の反トラスト調査から除外するよう要求
・パウエルFRB議長が下院で半期金融政策報告について議会証言
・米豪合同軍事演習「タリスマン・セーバー」(日英含む9か国が参加)(~31日)

7/15(木)
・米独首脳会談(ワシントンDC)
・米・NZ首脳電話会談
・中国の21年4~6月期の実質GDP成長率の発表(前年同期比+7.9%)
・英下院が22年の北京冬季五輪への政府代表者の不参加を呼びかける動議を可決
・中央アジア・南アジアの地域統合に関する国際会議(タシケント、~16日)
・レバノンのハリーリ前首相がアウン大統領に首相指名の事態を表明

7/16(金)
・バイデン大統領がフェイスブックなどSNSの新型コロナウイルスワクチンに関する誤情報への対応を不十分と批判
・米国務省、財務省、商務省、国土安全保障省の4省庁が連名で香港での事業リスクを警告する企業向けアドバイザリーを発表
・米財務省が香港の自治権侵害への関与を理由に中国の当局者7人を制裁対象に追加
・APEC臨時首脳会議(オンライン)
・中ロ善隣友好協力条約締結20周年

7/17(土)
・アフガン政府とタリバンの協議(ドーハ)

●米中関係(ウイグル・香港の事業勧告、商務次官)

米中関係については、トランプ政権時代のように、ツイッター上で大統領や国務長官といったトップレベルが中国を猛然と叩くような、スペクタクルのような場面はありませんが、実務レベルで様々な動きが起こっています。

まず注目されたのは、シャーマン国務副長官が今週に訪中するとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じたことです。ようやく高官レベルでの協議が始まるのかと思われましたが、数日後、国務省は、シャーマンは日韓モンゴルの3か国を訪問すると発表。3月のブリンケン国務長官らの日韓訪問のときのように、またも中国が飛ばされる形になりました。

また、先週、国務省、財務省、商務省、国土安全保障省、USTR、労働省の6省庁が連名で新疆ウイグル自治区のサプライチェーン事業の企業向けアドバイザリーの改訂版を発表。さらに、国務省、財務省、商務省、国土安全保障省の4省庁が連名で香港での事業リスクを警告する企業向けアドバイザリーを発表しました。

ウイグルのサプライチェーンのアドバイザリーは、トランプ政権のときに発表されたもののアップデートですが、香港の事業のアドバイザリーは初めて出されたものです。輸出管理のような法的規制ではなく、事業リスクがあるから注意するようにという、ビジネス判断に踏み込む警告(指導)を行うのは、米国では珍しいことです。

また、商務省の産業安全保障局(BIS)トップ(商務次官)にアラン・エステベス元国防副次官が指名されました。輸出管理を担当する要職がようやく決定されたことになります(上院承認が必要ですが)。

本日はエステベスの指名についてのみコメントします(※メルマガで解説)。他の動きが意味するものについては、今後の米中関係の展望含め、明日解説します。

●米独首脳会談

メルケル首相が訪米し、バイデン大統領とホワイトハウスで会談しました。欧州首脳としてはホワイトハウス一番乗りになります。

メルケルは今秋に引退しますから、これが最後の米国への公式訪問になります。バイデンは夕食会を開催するなど、去っていく首脳に対して異例ともいえる厚遇を見せました。ポイントを述べます(※メルマガで解説)。

●米国のインフラ法案

米上院民主党の指導部と上院予算委員会の民主党メンバーが3.5兆ドル規模のインフラ投資計画で合意し、バイデン大統領が支持を表明しました。

一方、民主党のシューマー上院院内総務は、先に超党派で合意した1.2兆ドル(新規歳出は5,700億ドル)のインフラ計画の枠組みの法案化を進めるとして、法案をまとめる交渉期限を今週水曜に設定しました。

以下の記事で述べたとおり、民主党は超党派の法案と民主党独自の法案の両方を成立させる構えです。

「米国のインフラ法案(超党派の合意)」(6/28)
 
今後の展望を見る上で、今週交渉がまとまるかは大きなポイントになります。この点について解説します(メルマガで解説)。

●バイデンの反トラスト政策

7月9日にバイデン大統領が企業間の競争を促進するため大企業の監視強化を求める大統領令に署名しました。

競争政策(反トラスト)を所管する官庁である連邦取引委員会(FTC)が最も重要な役割を果たしますが、大統領令は、ビッグテックのみならず、医薬品、ヘルスケア、運輸など幅広いセクターについて所管官庁に規制の見直しを指示しており、米国の規制行政全体に関わる大きな取り組みになります。現時点でのコメントを述べます(メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※シャーマン国務副長官のアジア訪問、東京五輪など。メルマガで解説。)

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あとがき
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大谷翔平選手がアメリカ社会を癒やす「必然」(7月17日付東洋経済)

大谷翔平選手の活躍、ものすごいですね。何がすごいかといって、そのパフォーマンスは言うまでもないですが、かんべえさんも書かれているとおり、米国での賞賛ぶりですね。

スポーツメディアのみならず、WPやNYタイムズなど米国の主要メディアが絶賛の嵐。プレーの素晴らしさだけでなく、社会的なインパクトも論じているのが興味深いところです。

大谷は、体格やパフォーマンスは日本人離れてしていますが、その振る舞いは、色々な意味で日本人らしさを見せてくれています。ストイックさ、礼儀正しさ、誠実さ、謙虚さ、笑顔・・こういう日本人にとって美徳とされているものは、米国では理解不能とかネガティブにとらえられることもあったと思います。しかし、今やこうした大谷の姿が多くの米国人を魅了しているようです。

最近、米国のメディアでは、大谷が記者会見で英語を話さないことを責めるような発言も見られました。しかし、それも、「何を言っているんだ」「大谷は英語を勉強している」「記者会見ではメディアに利用されないように通訳を使っているんだ」と擁護のコメントが寄せられました。

政治や社会問題について積極的に発言することもアスリートの自由であれば、そうした問題からは(少なくとも表向きは)距離を置いて、プレーやファンサービスに専念するのもアスリートの自由でしょう。そうした考え方も含め、日本人の考え方や美徳が伝わるのは、素朴に嬉しいことですね。

それにしても、これほどまでに二刀流が開花し、米国人がベーブ・ルースにたとえるほど畏敬の念を抱きながらも、ハリさんは相変わらず苦言を呈しているようです。まあ、打者に専念したほうが偉大な結果を残せるのだからもったいない、という応援の気持ちからの発言のようですが、とはいえ、もはや事ここに至っている状況では、素直に「いや~ここまですごいとは、私の想像を超えていた!あっぱれ!」と言って欲しいものですが。ま、誰も気にしないことでしょうから別にいいんですけど・・(苦笑)。

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