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2021/03/08 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(3/7~13) バイデン政権の外交戦略、米経済対策、CPAC、全人代


先週から花粉症で目がかゆくなってきました。室内にいる時間が長くとも、やはり症状は出るものですね。

緊急事態宣言は再延長されました。今週ちょうどIOC総会が予定されており、日本のコロナの感染状況も議論されるのでしょう。米国、英国、イスラエルではワクチンの展開が急速に進み、アジアの多くの国々で大規模な接種が始まっています。日本でも迅速な展開を実現して欲しいものです。

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先週の動き
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2/28(日)
・保守政治行動会議(CPAC)最終日(トランプ大統領が演説)(フロリダ州オーランド、~28日)
・NY州のクオモ知事がセクハラ疑惑について謝罪する声明を発表
・香港警察が服役中の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら47人を香港国家安全維持法の国家政権転覆罪で起訴
・イラン外務省報道官がイランは核合意当事国に米国が加わった非公式会合に参加しないとの考えを表明(バイデン政権は失望したが、対話を続ける方針を表明)

3/1(月)
・米・メキシコ首脳会談(オンライン)
・USTRが通商政策報告書を議会に提出
・米公民権運動指導者のバーノン・ジョーダンが死去
・IAEA理事会(オンライン)
・ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相がWTO事務局長に就任
・韓国の「三・一運動」の記念式典(文在寅大統領が演説)
・パリの裁判所がサルコジ元大統領に汚職罪で禁錮3年(執行猶予2年、実刑1年)の有罪判決
・カルロス・ゴーン日産自動車元会長の逃亡を助けたとして米国で拘束されたマイケル・テイラー容疑者親子の身柄が日本の検察当局に引き渡し

3/2(火)
・バイデン大統領がメルクによるジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナウイルスワクチンの製造支援により5月末までに米国の全ての成人の接種分を確保できる見通しと表明
・米国がロシアの反体制派指導者ナワリヌイの毒殺未遂事件への関与を断定し、ボルトニコフFSB長官とクラスノフ検事総長を含むロシア政府関係者7人と14団体への制裁を発表(EUもナワリニヌイの拘束を理由にクラスノフ検事総長を含むロシア政府関係者4人への制裁を発表)
・米上院がジーナ・レモンド・ロードアイランド州知事の商務長官指名とセシリア・ラウズのCEA委員長指名を承認
・バイデン大統領がニーラ・タンデンのOMB局長長官指名を撤回
・テキサス州のアボット知事とミシシッピ州のリーブス知事がマスク着用義務の解除を発表
・ASEAN外相特別会合(ミャンマー情勢の協議)(オンライン)
・ASEAN経済相会合(オンライン、~3日)

3/3(水)
・バイデン大統領が国家安全保障戦略の暫定的な指針を発表
・ブリンケン国務長官が国務省で外交政策に関する演説
・イラクのクルド人自治区にある米主導連合軍の基地がロケット弾で攻撃を受ける
・米下院が選挙改革法案と警察改革法案を可決
・NY州のクオモ知事がセクハラ疑惑に関する記者会見(辞任は否定)

3/4(木)
・米英がボーイングとエアバスへの補助金に関する貿易紛争で報復関税を一時的に控えることで合意したと発表
・日米外務・防衛当局実務者協議(オンライン)
・NY州のクオモ知事の側近が20年6月に高齢者施設での新型コロナウイルス感染死に関わる報告を改変していたとNYタイムズが報道
・中国人民政治協商会議(政協)の開幕(北京、~10日)
・韓国の尹錫悦検察総長が辞任
・イタリアがアストラゼネカの新型コロナウイルスのワクチンの豪州向け輸出を阻止
・OPECプラス(オンライン)

3/5(金)
・バイデン大統領とフォンデアライエン欧州委員長が電話会談
・バイデン大統領がNECのテクノロジー・競争政策担当の大統領特別補佐官にコロンビア大学のティム・ウー教授を起用したと発表
・NY州議会がクオモ州知事に付与していた新型コロナウイルスの感染拡大への対処に関する緊急権限を剥奪する法案を可決
・第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の開幕(北京、~11日)
・ローマ教皇がイラクを訪問(~8日)
・NZで北島沖を震源とするマグニチュード8.1の地震が発生

3/6(土)
・米上院が1.9兆ドルの追加経済対策案を可決

●バイデン政権の外交戦略

バイデン大統領が国家安全保障戦略の暫定的な指針を発表しました。また、それに先立ち、ブリンケン国務長官が国務省で外交政策に関する演説を行っています。

国家安全保障戦略の指針とブリンケンの演説のいずれにおいても、多国間主義、特に同盟国との連携が強調されていますが、日米豪印4カ国の協力(クワッド)について、ワクチンの展開において活用することをカート・キャンベルNSCインド太平洋調整官が検討しているとFTが報じています。さらに、首脳レベルでの会合が検討されていることを茂木大臣が示唆していましたが、近いうちにオンラインで開催されるとの報道がありました。

こうしたバイデン政権の外交戦略についてコメントします(※メルマガに限定)。

●米経済対策の上院可決

上院が1.9兆ドルの追加経済対策案を可決しました。下院が可決した案と比べると、最大1,400ドルの現金給付については支給対象から外される高所得層の範囲が拡大され(年収10万ドル以上が8万ドル以上に)、失業給付の上乗せ額は400ドルから300ドルに減少する一方、給付期間は9月6日までの延長とされました。

最低賃金を7.25ドルから15ドルに引き上げる部分は除外されました。なおバーニー・サンダース上院議員の主導により、この部分を含めた修正案の採決も行われましたが、共和党議員のみならず、8人の民主党議員(マンチン(WV)、シネマ(AZ)、シャヒーン(NH)、ハッサン(NH)、テスター(MT)、カーパー(DE)、クーンズ(DE)、キング(ME))が反対して否決されました。ちなみにシネマは、投票する際に親指を下に向ける挑発的なポーズを見せて物議を醸しました。

これから上院が可決した案を下院が可決する必要がありますが、民主党のホイヤー下院院内総務は3月9日に採決を行う方針を表明しています。前回の記事含め、これまで本メルマガが述べてきたとおりの展開です。

「米経済対策の下院可決」(3/1)

今後の展望について、最近の議会の動向の特徴を含めてコメントします(※メルマガに限定)。

●CPAC(トランプ登場)

ずいぶん前のことのように感じられますが(笑)、トランプ前大統領がCPACに登場し、退任後初めて公の場で演説を行いました。演説は1時間半に及び、ゴルフで日焼けした印象もあり、元気いっぱいな様子でした。

すでに報じられているとおりですが、「私は彼ら(民主党)を3度負かすために決断するかもしれない」と述べ、24年大統領選への再出馬に含みをもたせました。新党立ち上げは「フェイクニュース」と述べ、昨年の大統領選については不正を主張し、弾劾に賛成した共和党議員の名前を挙げて来年の予備選で追い落とす意向を述べました。

トランプの演説内容は以下の記事で述べた予想のとおりでした。その意義はすでに論じたとおりですが、コメントを補足します(※メルマガに限定)。

●全人代の開幕

全人代が開幕し、初日に李克強首相が政府活動報告の要旨を発表しました。21年の実質GDP成長率の目標は6%以上、財政赤字はGDP比3.2%とされました。21~25年の第14次5か年計画については、発展の質の向上を重視し、産業基盤の高度化やデジタル化の推進、「双循環」の促進などが示されました。

21年の成長率目標は、IMFの見通しが+8.1%ですから、かなり保守的な数値です。財政赤字は昨年(3.7%)を下回りますが、それでも3%という伝統的な上限を上回っています。5か年計画では、これまでは成長率目標が示されていましたが、今回は見送られました。

また、香港の選挙制度見直しの骨格を示しました。行政長官選挙委員会が立法会選挙の全候補者を指名し、同委員会のメンバーの議席枠も作るなど、反中派を封じ込める制度が示されました。

全人代の意義と評価については、今週の閉幕を見てからあらためて解説します。

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今週の動き
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3/9(火)
・米下院が1.9兆ドルの追加経済対策案の採決

3/10(水)
・中国人民政治協商会議(政協)の最終日(北京)
・IOC総会(オンライン、~12日)

3/11(木)
・第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の最終日(北京)
・ECB定例理事会(フランクフルト)

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あとがき
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内閣広報官に小野氏 外務省出身、2代続けて女性-政府(3月3日付時事)
1年で地球を6.2周 海外を飛び回る外交官ママ(14年7月25日付日経DUAL)

内閣広報官には外務省出身の小野日子さんが就任されました。私もよく知っている人です。個人的な思い出などを述べます(※メルマガに限定)。

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One comment on “今週の動き(3/7~13) バイデン政権の外交戦略、米経済対策、CPAC、全人代
  1. KB より
    地味だけど大事

    バイデン政権になって、賑やかな(?)、キャッチーな(?)話題が減って、とっつきにくい印象でしたが、最近、外交や政治、超党派の動きなど、「これが(本来の)政治か~」と思うことが多くなりました。

    これも、ひとえに、JDさんの丁寧な解説で、「基本的な概念」を丹念に示してくださるメルマガのおかげです。

    先ほどSaltさんのコメントにも書いた(金利の話は地味だけど大切)のですが、こうした地味なことって、物事の基本でありとても大切ですよね。学ぶのには鍛錬が必要ですが・・・。

    そういった、基本をすっ飛ばして、面白おかしいトレンドに食いついてばかりではいけないな、と感じています(自戒の念を込めて)。

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