2019/07/12 05:00 | 中東 | コメント(6)
イランの核合意履行の段階的停止
■ イランの低濃縮ウラン貯蔵量、核合意の上限突破(7月2日付CNN)
■ イラン原子力庁、「3段階目の措置の選択肢の1つは20%のウラン濃縮」(7月8日付Pars Today)
■ トランプ大統領、イラン制裁「間もなく大幅強化」(7月11日付AFP)
先週、イランのザリーフ外相は、低濃縮ウラン貯蔵量が核合意で定められた上限(300キロ)を上回ったと発表しました。
また、以下の記事で述べたとおり、イランは5月に、英独仏が60日以内にイランへの支援を行わなければ、核合意で定められたウラン濃縮の上限(3.67%)を超えて濃縮を行うと表明していました。
・「イランの核合意履行の一部停止宣言と米国のイラン制裁強化」(5/13)
イランが設定した期限は7月7日に到来し、当日、イランは、核合意で定められた上限を超えてウラン濃縮を行うと発表。翌日、イラン原子力庁のカマルバンディ報道官は、ウラン濃縮度が4.5%程度になったと発表し、IAEAもそれを確認しました。
さらに、同報道官は、欧州等との協議に進展がなければ、3段階目の措置として、ウラン濃縮度の20%までの引き上げや遠心分離機の稼働数の増加が選択肢になると発言しました。
このように、イランは核合意の義務履行を段階的に停止しており、イランを敵視する米国のみならず、核合意の維持を望む英独仏も懸念を表明しています。本日は、イランの意図と今後の展望について解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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イランの核合意履行の段階的停止
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●イランの狙い
●核合意の危機
●トランプと「Bチーム」
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あとがき
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四方山話を書いていますが、メルマガのみ掲載します。良い3連休をお過ごし下さい。
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6 comments on “イランの核合意履行の段階的停止”
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イランのロジックからBチームの足並みの乱れ、そしてエヴァンジェリカルの影響力の検証、どれも分かりやすい解説ありがとうございます。これらの情報から米・イランの次の行動を予測していく手法が鮮やかでワクワクしました。(そういうムードの話ではないんですが…苦笑)
ザリーフ外相訪米でどうなるでしょうか。日本の連休中にいろいろ動きますかね?
素人だが外国籍とはいえ、我が国のタンカーがどこから攻撃を受けたわけですから、自衛権はあるというのが政府の見解ですから、これは発動の対象になるのか?
アラビア湾ははるかにとおく。この補給はわが国独自では全くできない。
インパール作戦と同じことぉしなければならなく可能性があり,その戦闘の記録を読むと、日本軍は優れているのか、馬鹿かわからないが一つ言えることは下級兵士が優れていたことは確かで、上層部は何をしていいかわからなかったようです。
兵士が<なぜ勝てないのか>と聞くと参謀が<教えられたことはすべてしたが、勝てない、わからない>と答えたという記述を読んだ。先を読むと恐怖心に襲われる。大きなしくじりをするとそれと似た事態が来ると、行動が自動的に止まる。どうしても人はそのようになる。したがって経験がない人がすることになる。経験のない人は文字通り経験がないから、学習代を払わなければならない。
イラン問題は外交的には同盟関係の変更をもたらすが、マフィアの抗争の時と同じ状態となる。国際関係は我が国のヤクザ組織と原理と異なるから、ある程度は効くと思うが、違う要素が多いと見ないと間違えると思う。
我が国は石油がくればいいだけで、石油は原材料と燃料だから、その最終製品例えば電気なら、原子力で賄えばいい。ペルシャ文化など関係ないでしょう。
イスラムなど日本は関係ないと彼らは知っていると思う。国内ではシーア派とスンニー派との抗争やトルコとクルドの抗争が起きるから警察費用もふえる。
増やさないと日本と日本人が困る。
大きな戦争へと進んでいるとみているから、事案はすべて戦争の一部分としての見方をしないと間違えると思う。
現代の戦争は補給が途絶えることが主となり、それぞれの国が相手国によってつぶされる,占領、ということではなく,自壊して負けるという形になる予測している。このことは自壊現象は何も戦争によるのではなくいろいろなことで起きるが、自壊そのものは戦争に負けたことと同じ効果を持つ。
戦わずして勝敗が決まる要素が大きいということです。そのため戦いの主戦場がどこかが見えない。株式市場債券市場金融市場も戦いの場となるみている。以前は関連があったに過ぎないが主戦場となったとみている。
田名角栄が言ったという<どこまでもついていきます下駄の雪>となるでしょう。
今日常生活はどのような変化をこれからするのかいろいろ考えている
ドン・コルレオーネが何をもとに何をしようとしているかを把握しないとなあ。、
タッカー・カールソン、面白そうな人ですね。どんな人なのか見てみたくて検索していたら、トランプが彼のアドバイスを聞いたというNYTの記事に辿り着きました。この記事で彼は、トランプがイランと戦争を起こしたら再選の可能性を失う、と述べていて、なるほどその論法であればトランプを一発で納得させられそうだなと妙に感心してしまいました(直接本人に言ったかどうかは分かりませんが・・)。
7月9日のNHKニュースでは米機撃墜について、米国軍元高官ジャック・キーン氏の話を報じていましたね。彼によれば、「イランの最高指導者のハメネイ師もロウハニ大統領も指導部は撃墜を了承していなかった。それどころか撃墜を知って、指導部は動揺した。犠牲者の数と合わせたこの2つの情報によって、トランプ氏は決定を翻した」と述べたとあり、何だかしっくりこないけれどもそうなのかぁ・・と思っていましたが、(キーン氏の発言も本当なのでしょうが)多分、決め手はカールソン氏のアドバイスですよね。カールソン氏は今回のイラン攻撃のみでなく戦争自体に反対しているようなので、彼がトランプのそばにいてくれる限り戦争は回避できるかもしれない・・と期待したいところですが、どうでしょう。
でも気になるのは、米機撃墜についてイラン指導部が了承していなかったという部分。タンカー襲撃事件の時といい、常々JDさんが触れられていますが、革命防衛隊の急進派が暴走しているという事でしょうか。これは私の勝手な思い込みなのですが、イランの革命防衛隊って強力な統制力で皆が一心同体だと思っていたので、反乱分子のような急進派が存在することに少し驚いています。こういう存在を抑えるためにもハメネイ師の強い姿勢が必要とされているのでしょうか。
細かい質問で恐縮なのですが、冒頭の核合意36項の紛争解決メカニズムについて「イランが他の核合意の署名国が義務を果たしていないと判断した場合」とありますが、これは勝手に合意から抜けた米国の事をイランは指しているのでしょうか。それとも英独仏が他に義務違反をしていると主張しているのでしょうか。
ボルトンのスポンサーがマーサ―親子だとは・・!これは切るに切れないのではと思ってしまいますが、どうなるでしょう。
いつもに増して幅広く多角的な分析で面白かったです。知りたい情報がすべて詰まった宝箱のような記事でした。
>chinaさん
興味深いご指摘とご質問、どうもありがとうございます。
色々込み入っているので、メルマガの記事の方で回答します。お待ち下さい。
IAEA事務局長が亡くなられた報道がありました。外務省ご出身の日本人の方でした。John Boltonさんもお悔みをツィートされていました。ご冥福をお祈りしたいと思います。
>いっぺーにふぇーでーびたんさん
コメントありがとうございます。
故・天野事務局長のことは、外務省で個人的に存じていました。
私もご冥福をお祈りいたします。