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2019/06/04 05:00  | 米国 |  コメント(4)

トランプ政権の対メキシコ追加関税の発表


Statement from the President Regarding Emergency Measures to Address the Border Crisis(5月30日付The White House)
米、メキシコに5%関税導入へ 不法移民流入続けば税率引き上げ(5月31日付ロイター)
対メキシコ関税表明 トランプ氏、側近の反対押し切っていた(6月1日付CNN)

トランプ大統領が、不法移民対策が不十分として、メキシコからの全輸入品に6月10日から5%の追加関税を課す方針を発表しました。税率は7月1日から段階的に5%ずつ引き上げ、10月1日に最大25%まで上げるとしています。

突然の発表にメキシコはもちろん、米国の産業界やメキシコに進出している外国企業にも激震が走りました。メキシコとは、カナダとともに昨年「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を締結し、ちょうど3か国とも批准に向けたプロセスを本格化させたところでした。

「NAFTA改定・新協定「USMCA」と米国の対中政策」(18/10/10)

トランプの発表の当日には、ペンス副大統領がカナダを訪問し、トルドー首相と会談して、USMCA早期批准に向けて一致しています。

メキシコのロペスオブラドール大統領はすぐにトランプ宛の書簡を公表し「対話を通じて解決すべき」とアピール。米国との協議のためエブラルド外相を派遣し、6月5日にポンペオ国務長官と会談が行われることになりました。

トランプは、なぜこんなタイミングで発表したのか。トランプの狙いは何か。追加関税は発動されるのか。今回の発表が与える影響は何か。ぐっちーさんも指摘されていますが、中国との「貿易戦争」を上回るインパクトを与える可能性もあります。これらの点について解説します。

※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。

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トランプ政権の対メキシコ追加関税の発表
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●トランプの狙い
●制裁の影響
●メキシコとの駆け引き

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あとがき
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トランプ大統領夫妻と両陛下、プレゼントの交換 ビオラや飾り鉢(5月27日付CNN)

トランプ訪日ネタです。読者の方から、大統領への贈呈品はどうやって決めているのか?という質問がありました。

これはケースバイケースで、安倍首相がトランプ大統領にゴルフクラブを贈ったように、首相自身のチョイスもありますが、一般的には外務省がアイデアを出します。あまり詳しくは言えませんが、私も、ライス国務長官やパウエル国務長官への贈呈品を考えたことがあります。

先方も、国務省がアイデアを出します。私も、カウンターパートから、小泉首相には何を贈るのが良いのか・・これは?という形で相談を受けたこともあります。

ところで、外国の贈呈品の例を見ると、我々の常識を超えるようなものを見ることがあります。

金正恩氏がプーチン大統領に朝鮮の刀を贈答 「力と民族の魂の化身」(4月25日付Sputnik)

これはまあ、日本刀を贈ると考えれば何となく分かりますが、それにしてもプーチンが諭しているとおり、文明国らしさが欠けている気もして、今一つですね。

ちなみに、話はそれますが、上記リンクの動画では、28秒あたりにプーチンが金正恩に握手を求めたとき、金正恩が気づかず、空振りに終わるところがあります。いや、ゾッとしますね・・刀で切られなくて良かったですね(笑)。

ところが、もっと物騒なものを贈る例があります。

サウジ皇太子、「黄金のマシンガン」贈られる パキスタン訪問で(2月21日付CNN)

どういう意味があるのか、思わず深読みしたくなりますね。「今回のアジア外遊を通じ、昨年10月の記者殺害事件によって失墜したサウジの国際的なイメージの回復を図る考えだとみられる」・・いや、こんなものを贈られたら、かえって疑いが深まるような気がしますが(苦笑)。

ヨルダンのアブドッラー国王が3月に訪日した際には、安倍首相に旧日本軍の『九九式軽機関銃』が贈られたそうです。これが中東のカルチャーですかね。まあ、こちらはまだ相手への気遣いというか気を利かせたことが読み取れますが、隣国の良からぬ憶測を呼ぶ気がしますね(苦笑)。国内に持ち込むこと自体も問題だったでしょうから、積極的に公にはしなかったのでしょうね。

深読みせざるを得ない、謎かけのような贈呈品といえば、毛沢東が田中角栄に送った『楚辞集註』。これについては以下の記事で取り上げました。

「中国政治の読み解き方」(17/12/22)

贈呈品一つをとっても、その国の文化や考え方が垣間見えますね。それでも、一番大事なのは、相手に喜んでもらいたいという気持ちであることに違いはありません。それが伝われば、多少の勇み足も大目に見るべきかと・・とはいえ、やはりあまりに物騒なものだと困りますが・・(笑)。

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4 comments on “トランプ政権の対メキシコ追加関税の発表
  1. KB より
    意外な展開!

    「目くらまし」と「対中貿易との違い」・・・。自分の思っていた方向と全く違っていて、2度びっくりでした。目くらましの部分は「いつものアレ」とも言えますが、今回は「移民問題」もあるので、いつもとはちょっと違うと思っていたんですよね(苦笑)。非常に勉強になりました。
    また、「外交」と聞くととても難しいことを思い浮かべがちですが、やはり外せないのは「人と人の信頼」。物事を多角的に見る必要を感じるとともに、一層興味が湧きました。
    それにしても、JDさんの「贈答品」の引き出しが深すぎで面白いです(笑)!

  2. china より
    等身大の米国民

    選挙公約であったNAFTA改定に取り組んだ際も、散々関係国を振り回したのに、USMCA批准に向けて各国動き出していた所で、またアピールの為に必殺技「関税」を繰り出してきたのですか・・。困った大統領ですね。
    6月18日の選挙集会で2020年大統領選への出馬を表明するとツイートしていましたが、それもこのタイミングに多少関係あるのかなと思いました。
    メディア批判と言えばCNNの親会社AT&Tに噛みついていましたね。英国訪問中にも関わらず相変わらずの自由奔放さで、ここまで来ると流石だなと思ってしまいます。

    五分五分と読んでおられる発動の可能性ですが、仮に取りやめずこのまま進んでいってしまった場合、負の波及効果で大変そうですね。己の利益のためだけに関係者・関係国を振り回すのはやめてほしいなと思いますが、それでもなお彼には強力な支持層が存在するわけで、「等身大の米国民」を熟知しているという表現には妙に納得です。

    あとがきの金正恩×プーチン大統領の動画(@0:28)、本当にコントみたいで笑いました。

  3. 健太 より
    長いけれども失礼します。

    まあ無法者はアメリカだと思うが、当該国はそのようには思っていない。個人的見解だが、アメリカを基本的には遊びで外交をしているように外からは見る事ですが、問題はアメリカはそれで真剣だと言うことです。

     関税を自由に掛けることは。WTOにおいて合法でしょうか?条約なんて担保能力を持っている国の言うことが通じる。

     世界平和、自由貿易、航海の自由など口で言うことは意味がない、それを維持する能力を持っている必要があり、それ以外は遊びに過ぎない。

     トランプ大統領が五月二十七日に軽空母加賀に来たことの意味を日本人はしっているのだろうか。加賀は真珠湾攻撃に参加し、ミッドウエーで沈んだ空母で、ワシントン軍縮条約で戦艦から、空母に改造された空母で、今回も加賀を改造する。加賀にアメリカ軍人が乗り込んでいたが、この意味は重要ではないか?情けないと見るか同盟と見るか?
     また五月二十七日は日本海海戦があった日で、ミッドウエー攻撃の予定日だったが、色々あって六月五日となり、きわどいところでアメリカの完勝で、その後わが国は挽回ができなかった。
     この歴史的意味を中共は考えることで。またいろいろな意味でわが国も考えることです。

     日本人と言うよりある種の教育を受けた日本人は裏ずけのない話が好きだが、あの利口な、活発な、自ら判断して行動する、日本の小中小企業家などは別の判断をしているでしょう。その人々の従業員に対する見方は労働者は人材が肝腎だとは思っていない。実に冷酷に見ている。それに接するとまともな従業員は背筋に冷たいものが走るが、その後は腹を据えて働くようになる。なぜか?その判断が正しいからです。

     それにしても今回の丸山議員に対する大阪維新の行動は、連中能力と言う以前の問題があることを暴露した。政治や外交は問題そのものより、別なものを見る才能が必要だなあと言うのが幕末の動乱にたいする、読書の結果です。

     北方領土はかえってきても、負債になるだけで、政府の銭でビザなし交流をしていること、ロシアは明快に見ている。ロシアに重荷になるようにすることで、釧路に二個旅団、稚内に一個師団、対空ミサイル基地も作る。新潟方面に二個師団と、東京に防空ミサイル基地。潜水艦部隊の常時遊弋。などなどして、ロシアに軍備増強をさせることでしょう。

     本当にふるさととみているなら、密航してもふるさとへ帰るはずが基本認識ですよ。其れが国際常識と思う。中東の動乱において、北方領土の住民は何を見ているのか?中東の熾烈さをみよ。
     その昔、テレビで、チェチェンにかえって、テント生活をしている人々がいた。チェチェンが落ち着いてから、戻ったわけだが、その生活の苦しさを聞くとその答えは、<ここが私たちのふるさとですから>と答えた。
     本当に取り返すつもりがあるなら、そのような住民がいて、子々孫々語り継ぐはずが世界の標準でしょう。領土とはそのような感覚を持つ人々がいて始めて成立する。日本人の領土感覚は異常だと見ている。海と言う天然の障壁の結果でしょうが、もうそれはない。

     わが国はアメリカの行動によって、之まで困っている中共に対する外交、経済問題などを有利になるよう行動することだ。事は支那から全面撤退、大東亜戦争後したことと同じ事をすることに過ぎない。
     1)支那へは生産設備を持っていかずに製品だけを買うこと
     2)支那人を国内に自由に入国させずに、徹底した管理体制をしき、間違っても、留学生など入れてはならない。
    上記ができなければ、先にはわが国はつぶれると見ている。

     前回はわが国にハルノート、之をうまく活用したのが支那、今回はわれわれがその仕返しをするチャンスにすぎない。もちろん、多く金がかかって、財産が減るが、そこは考えることだと思う。
     アメリカは自分も損をするが相手も損をすることを平気でする国だという基本認識が必要です。そのやり方をよくしることです。

     わが国が真珠湾攻撃をしたら、即座に在米日系人を拘束した、アメリカのすばやさを日本人は忘れたか?之に尽きる。

    アメリカはぼけているようだが、違う。それは大国の姿にすぎない。
    今回の5G問題はソ連がスプートニックを打ち上げたあと、アメリカがどのように対応したかを参考にするといい。

  4. 新参者 より
    おかげさまで

    メルマガのおかげで、「メキシコの関税見送り」の結論に驚きはなく、落ち着いて1週間過ごしておりました。
    むしろ移民問題について、何も進展していない(ように見える)のにこのタイミングで手打ちをしたことに興味を覚えます。「目くらまし」への確証が高まったように見えました。

    新たな総集編の企画もあるとのこと、引き続き楽しみにしております。

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