2017/02/03 00:00 | 米国 | コメント(2)
トランプ政権人事:アジア外交チーム
トランプ政権の中で最も安定感のある存在といえるジェームズ・マティス国防長官が訪日します。このマティス国防長官訪日は、日本政府にとって、トランプ政権のアジア外交を望ましい方向に動かす上で死活的に重要な意味をもちます。
というのも、今のトランプ政権には、アジア専門家がほぼ皆無といって過言ではありません。新政権の中で、一応「アジア通」といえるのは、ピーター・ナヴァロ国家通商会議(NTC)委員長とマシュー・ポッティンジャーNSCアジア上級部長。
ナヴァロは、「国家通商会議」で説明したとおり、学界では無名でしたが、トランプの外交ブレーンを務めたことで注目を集めるに至った人物。そのアジア観は、著書『米中もし戦わば』から知ることができますが、マクロ的な経済・軍事の視点に立つもので、中国の行動原理、政治プロセス、脆弱性といった視点は一切ありません。地域研究の視点を重視する伝統的な「アジア専門家」からは遠いイメージです。
ポッティンジャーも、記者と海兵隊軍人という異色のキャリアから抜擢された人物で、中国と沖縄に駐在した経験はありますが、アジア専門家の世界ではまったく知られていません。NSC上級部長は、事務レベルにおいてアジア外交を取り仕切る最重要ポストであり、マイケル・グリーン、ジェフリー・ベイダーといった、日本あるいは中国研究の重鎮が就くポストです。
本来、共和党は、アジア外交に関して熟達した実務家を数多く擁しており、政権が交代してもこういった「アジア・ハンド」は変わらないので、その安定したチャンネルが信頼感を作っていたのですが、今のところそういう人物が見当たらない状況です。ホワイトハウス、国務省、国防総省など重要機関の高官ポストが決まるのはこれからなので、そこに誰が加わるかが要注目なのですが、どうもこれまで「王道」と言われた人材が入る見込みは薄そうです。
その理由は、第一に、大統領選において、すでに多くの共和党系のアジア専門家がトランプ不支持を宣言していたからです(ネバー・トランプ・レター)。その中には、リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、パトリック・クローニンといったお馴染みの知日派が含まれます。
第二に、トランプは、就任演説でも明らかにしたとおり、ワシントン(=伝統的な政治エリート)の排除を基本方針として明確にしています。この伝統的な政治エリートにはシンクタンクが含まれます。実際、ジャレッド・クシュナーやスティーブ・バノンは、シンクタンクは堕落したワシントン・カルチャーの一部である、といった趣旨の発言をしています。
著名なアジア専門家の多くはシンクタンクに所属していますから、これらの専門家が起用される可能性は低くなりそうです。ランディ・シュライバーとビクター・チャが政権入りするとの噂もありますが、風説の域を出ません。
ただ、例外はヘリテージ財団で、ここは選挙戦中からトランプ・チームを政策立案面で支えており、政権移行チームにも数多く起用されています。したがって、ヘリテージ財団を除けば、無名あるいは実務経験がない、よく言えば新進気鋭の人材が起用されることになるでしょう。
トランプは、中国に対する厳しい姿勢、同盟国に対する基地負担の拡大について発言していますが、断片的の上、いずれも国内経済保護との延長で語っている部分が多く、アジア外交の全体像をどう考えているかはさっぱりわかりません。おそらく、関心が薄く、深く考えたこともないのでしょう。
そうであれば、マティス、ナヴァロ、ポッティンジャーといったすでに起用されている責任者とこれから起用される担当者の考え方は、トランプのアジア観に影響を及ぼす可能性があります。したがって、こういうキーパーソンが誰か、何を考えているのか、どういうコネクションを作りインプットするのか、という点が非常に重要になります。
さしあたり最も頼りになるのがマティス国防長官であることは明白です。したがって、まず日本政府がとるべき最も重要な行動は、マティス国防長官との信頼関係を確実にし、適切なコミュニケーションを維持すること、になります。その意味で、今回の訪日は千載一遇のチャンスであり、決してミスは許されないのです。
この関連では、最近、トランプがNSCの再編にも踏み切ったことが注目されます。これは次回述べます。
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2 comments on “トランプ政権人事:アジア外交チーム”
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我が関白殿・・
内心・・怯えているでしょうねぇ・・
我らの官僚殿達も・・
金で済む事なら・・と考えているでしょうねぇ・・
そうはいかないのです・・
戦後は終わった・・と区切りを打ち込まれるでしょうねぇ・・
真の同盟軍になれ・・って匕首突きつけられるか( ^ω^)・・・(笑
関白殿、本来だったら望むところでは。快哉を叫ぶのを抑えられないと思うのですが。それ故、今まで疎まれ、平和主義者オバマには徹底的に虐められた。
しかし平和ボケの国民はついていけないし、憲法を創った米国も表立っては言えない。9条削除できないのだから、言いくるめるのが大変。かえって民主党の議員が関白殿に、韓国に出兵してでもどうしても韓国を守れと迫っていた。関白殿が困っていた。こういう勢力もいるから、意外にもハードルが低いかもしれない(笑)。
しかしせっかくマティスがそう迫っても、どなたかも言ってましたが、戦争だけは絶対したくない日本国民のような臆病者のトランプの方が心配だ(笑)。中国とプロレスしてしまうんじゃないですか。寸前まで追い詰める気がない。サンキューベリーマッチで終わってしまう。それに戦後を懐かしんでいるのはトランプの方なのでは。
マティスがトランプを解任してくれれば安心して関白殿も話に乗れる。(笑)トランプなど首にしてマティスとティラーソンで対中交渉すればはるかに上手くいく。けっこう共和党のシナリオに近いのでは。マティスが解任されるようでは強硬措置が採られるのでは。