2015/12/18 00:00 | 米国 | コメント(1)
米国大統領選:第5回共和党テレビ討論会
今週の最大のニュースは言うまでもなく米国の利上げですが、ずいぶん前から予想されていたとおりの事態であり、市場は好感していますが織り込み済みの反応。
もう一つの大きなニュースは40年ぶりに原油輸出を解禁する法案の提出。こちらもずいぶん前から取りざたされていた話ですが、突然に決まった印象です。
■米国の原油輸出解禁、石油取引会社にとって好機か-専門知識活用へ(12月15日付ロイター記事)
原油輸出の禁止はとっくの昔に合理性を失っていた政策なので、解禁はむしろ遅すぎたぐらいですが、4日のOPEC総会で減産が見送られ、原油安の底が見えない中での今回の法案提出。特にWTI価格への影響が注目されます。
さて、本題の共和党テレビ討論会。
■ブッシュ氏がトランプ氏を猛攻撃、他候補は静観=米共和党討論会(12月15日付ロイター記事)
■What did GOP candidates get wrong in debate on national security?(12月15日付PBS)
ドナルド・トランプがイスラム教徒の入国を禁止すべきという途方もない暴言を吐き、なぜかその後支持率を上げるという常軌を逸した展開を受けての今回の討論会。上記記事のとおりジェブ・ブッシュがトランプを激しく非難する行動に出ました。今までの討論会の中では一番良いパフォーマンスだったと思います。
しかしブッシュの支持率は数%に低下しており、政治資金も集まらず、もはや挽回はできない、早晩撤退する可能性がある、という見方が有力です。もともと本命だったはずの候補者の失墜が今回の共和党予備選の混迷の一つの原因になっているともいえます。
トランプに次ぐ2位につけているのがテッド・クルーズ。こちらはトランプを非難するというよりは、ある意味トランプに通じるポピュリストのアプローチで支持を集めています。学歴と経験をパワーアップさせたトランプという趣です。
特に注目に値するのがアイオワ州でトランプを上回る支持を集めて1位となっている点です。アイオワ州は保守的な選挙民が多いため、ティー・パーティーの支持を受けるクルーズに有利な環境にあります。「民主党候補者のテレビ討論会」で述べたとおり、アイオワ州はニューハンプシャー州と並んで最初に予備選が行われる州であり、ここで勝利することは極めて重要な意味をもちます。
私は選挙の前にはトランプが失速するとみていますが、そうであれば、アイオワ州でクルーズがスタートダッシュをかける可能性が高いといえます。もっとも、選挙民が意思を決定するのは投票日の2週間前といわれているので、ギリギリまで今のトランプ首位の状況は続く可能性も十分にあります。
ちなみにクルーズは政治家の間では大変人気がない人物として知られています。本人もこれを自覚しており、選挙戦では逆に自分の政界での不人気を利用して、ワシントン・インサイダーから距離をとっていることをアピールしている節があります。
共和党としては、マルコ・ルビオが候補者になって欲しいところでしょう。本HPで何度も述べているとおり、ルビオは44歳の若さ、カリスマ性、いずれの討論会でも高いパフォーマンスを見せているように演説もうまく、さらに、トランプのイスラム教徒排斥発言で傷ついた共和党のイメージを回復させる力も持っています。ルビオはヒスパニック(キューバ系)なので、マイノリティの代表として自己をアピールできるからです。
とりあえず今回の討論会、そして19日の民主党候補者の討論会をもって本年のテレビ討論会は終わることになります。
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One comment on “米国大統領選:第5回共和党テレビ討論会”
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ブッシュの反撃は遅すぎた・・との専門家たちの一致した意見。
>>選挙の前には必ずトランプが失速する
これが前提で組み立てられていると・・
一発必中・・としても・・後の組み立ては・??・・カオス・(笑
トランプの失脚・失速・・専門家・共和党上層部の願望・・
だが・・が付く・・・(笑