2015/09/16 00:00 | オセアニア | コメント(1)
豪州・アボット首相の退陣
■ アボット豪首相が退任 党首選で敗北(9月15日付CNN記事)
突然の自由党の党首交代、そしてトニー・アボット首相の退陣。驚きではありましたが、予兆はありました。
もともとアボット政権は、教育政策の公約反故、緊縮財政、イギリスのフィリップ殿下への爵位授与など、不安定な政治運営で支持率を落としていました。さらに、与党自由党の内部でも、同性婚、共和制への政体変更、環境問題などで不一致が生じ、既に2月に自由党内部で解任動議が出されていました。
解任動議を乗り切った後も、経済の停滞(15年2Qは0.2%に失速)、失業率(6%台で高止まり)、議員のスキャンダル(腹心の下院議長の辞任)があり、状況は改善しませんでした。
そして、9月19日に予定される西オーストラリア州の下院議員補欠選挙について、アボット政権の命運はこの選挙にかかっていると言われていましたが、つい先日、自由党の劣勢という世論調査の結果が出ました。この世論調査をきっかけに、今回の党首選に至った、という経緯になります。
新党首・首相に就任したマルコム・ターンブルは、アボットの前に2009年まで党首を務めた人物であり、弁護士、ゴールドマンサックス出身という、ビジネス経験が豊富な政治家として知られます。
豪州の経済は、資源ブームに乗っかってリーマン危機以後も安定した成長を続けましたが、近年のコモディティ安によって減速し、「オランダ病」も懸念されています。そんな状況において、経済改革の手腕が期待されるターンブルは、ビジネス界から最も歓迎されるリーダーと言われています。また、攻撃的・保守的なアボットと比べて、穏健なスタイルと中道リベラルの思想を掲げていることから、国民の人気も高い政治家です。
政権の任期満了日は来年9月ですが、ターンブルは現時点で野党労働党のショーテン党首より人気が高く、勢いもあることから、早期に選挙に打ってでる可能性もあります。
それにしても、豪州の首相は、ハワード長期政権後の2007年以降、労働党政権の時代から数年間に5人も交代しており(ラッド→ギラード→ラッド→アボット→ターンブル)、政争が過熱しています。
特に労働党のケビン・ラッドとジュリア・ギラードの確執は激しく、だまし討ちや個人攻撃の泥仕合が展開され、その有様はABC(公共放送)によって「The Killing Season」というドキュメンタリーにされたほどです。今回の自由党内部での政争は、この労働党の政争を彷彿させるものがあります。
もっとも、ターンブルは現在の豪州においてベストチョイスと言われるので、国民としては、とりあえず政治の安定を望む、ということになるでしょう。
日本との関係では、アボットは親日家として知られ、その腹心であるアンドリュース国防相は日本のそうりゅう型を含む潜水艦の入札を担当していたことから、影響を危惧する向きもあります。中国への接近を指摘する人もいますが、現状において中国への輸出に期待をかけることができない状況は、豪州にとっても例外ではないでしょう。
最後に、おまけとして、好評(?)の今日のプーチン様。
(出所:ロシア大統領府)
メドベージェフ首相と仲良くバーベキュー・・・からの食事。繰り返しになりますがシャツとか何とかならなかったのでしょうか。
この写真をもって再びメドベージェフを後継者とすることが読み取れるという説もありますが、どうなんでしょうか。クレムリンには謎が満ちています・・・。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “豪州・アボット首相の退陣”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
いや・・
これで・・
プーチンが同性愛に手厳しい・・
噂をかき消す積りでしょうね・・
白と黒か・・
足せば・・グレー・・
中々の役者じゃ・・御座んせんか・・・(笑