2025/06/09 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.278: 小噺・日銀株式売却
■ 日銀、保有株売却完了が秒読みに ETFの扱いは別途検討(6/6 日本経済新聞)
先日、日経で日銀保有株式売却が完了秒読みとの記事を見ました。若い方はご存知無いと思いますが、日銀は金融システム問題に対応するため、2002年に金融機関が保有する株式の買い入れを始めました。
当時、金融機関は価格変動リスクが大きい株式を多額に保有していました。そのリスクを日銀が引き受けることで、金融機関の経営が悪化する可能性を抑えることが目的でした。
その後、買い入れ停止、売却、売却停止、買い入れ再開、買い入れ停止を経て、売却を続けて来ました。ピーク時に2兆円を超えた残高はもう100億円台です。
この売却は、白川総裁末期に始まった金融緩和目的のETF購入の影に隠れ、地味に目立たないまま、淡々と進みました。ETFは残高37兆円なので桁が違います。
この話を取り上げたのは、いつか始まるETF売却のヒントになり得るからです。
株式売却は、決まった額を少しずつ時間をかけて減らす形で進みました。ETF売却も基本的には同じやり方になるはずです。ただ規模が10倍以上なので時間がかなりかかり、場合により100年要することになりかねません。
他方、ETFの含み益は数十兆円規模。日銀の収益は基本的に国に納付します。政治家から見るととても魅力的な財源です。また、国民の資産形成の観点でも魅力的です。
仮に政治が暴力を振るうと、日銀のETFを例えば簿価と時価の中間で売却させることで、国庫は潤い、国民も喜ぶことができます。
しかし、ETFは含み益のみならず、配当収入が日銀の財務を支える、日銀にとり虎の子の財産です。
植田総裁の時に起きるとは思いませんが、次の総裁の頃、騒ぎが起きることがあるかもしれません。
今回はこの辺で。
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