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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/09/01 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.287: 内閣府月例経済報告


今日から9月。酷暑が続きます。やや変則的に2日連続でお届けします。本日は8月27日に公表された内閣府月例経済報告を、明日は29日に公表された金融庁金融行政方針を紹介します。

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景気基調判断維持
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内閣府の景気判断は、個別の需要項目で表現の変更がありました(住宅投資が下方修正、公共投資が「底堅く」から「堅調」にやや上方修正)が、全体としては現状、先行きともに維持されました。

(現状)
・基調:景気は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復している
・個人消費:消費者マインドの改善に遅れがみられるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:建築物省エネ法等改正に伴う駆け込み需要の反動もあり、このところ弱含んでいる
・公共投資:堅調に推移している
・輸出:おおむね横ばいとなっている

(先行き)
・基調:雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:これまでの堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、弱含みで推移していくと見込まれる
・公共投資:関連予算の執行により、堅調に推移していくことが見込まれる
・輸出:米国の関税引上げによる直接的な影響、通商問題による世界経済を通じた間接的な影響等に留意する必要がある

紹介は以上です。現在、市場では日銀利上げ観測が強まり、長期金利が上昇しています。ただ、上記の内閣府の見立てのように、輸出については関税の影響が心配です。個人消費も、この春の春闘における賃上げ率の高さを踏まえると崩れることは無いと思いますが、物価上昇の下では伸びも期待し難いところです。設備投資は堅調ですが、経済の不確実性が悪影響を与える可能性は否定できません。こう考えると、少なくとも9月利上げ説は時期尚早に思いますが、この点は後日改めて。

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