2025/09/22 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.291: 日銀ETF売却
連休の谷間の本日は、18・19日に開催された日銀金融政策決定会合を紹介します。政策金利は予想通り据え置かれましたが、ETFとREITの売却開始という意表を突く決定が話題を集めました。
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ETF・REIT売却開始
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この発表をみて「しくじった」と思いました。9月8日に氷見野副総裁講演を紹介しましたが、副総裁はこの講演の中でETF売却にも触れ、まさに今回の決定を先取りする内容となっていました。
しかし、私はこの部分の紹介を怠りました。また、6月9日にも「小噺・日銀株式売却」を書き、この問題への野次馬根性を示しました。それなのに!
副総裁講演が示すように、日銀内では予め施策が練られ、株価高騰のこのタイミングを逃さなかったということと思います。また、世間ではよく政治と日銀の関係を書きたがりますが、自民党総裁選告示直前、かつ日銀の天敵ともいえる高市さん出馬表明直後の決定は、総裁選をさほど気にしていないことの証左と受け止めています。
決定内容自体は、市場に影響を与えぬよう、少額ずつ粛々と売却していくとのもので、植田総裁自身「売却完了に100年かかる」旨発言しています。その意味で面白くない内容です。100年の間に6月9日の記事に書いたような波乱の展開が起きると良いのですが。
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景気判断は維持
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今回のように展望レポートがない回(3月、6月、9月、12月)とある回(1月、4月、7月、10月)とでは分析の詳しさに違いがありますが、景気判断は現状・先行きとも維持されました。リスク要因も同様です。
(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動の動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている
(先行き)
・各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる
(リスク要因)
・とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある
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政策金利は据え置き
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冒頭に書いたように、政策金利は予想通りの据え置き。今後の展開について、私自身の思いは9月8日に書いた「9月0%、10月10%、12月45%、1月45%」と変わりません。10月会合時点で米中関税交渉が決着していない可能性の大きさを重視するからです。
ただ、今回9人中2人の委員が利上げを提案したことは無視できません。このため今後の予想を「10月25%、12月45%、1月30%」に変更します。
今回はこの辺で。
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