2015/07/27 00:00 | 歴史・法・外交 | コメント(1)
FTの買収
■ 日経のFT買収、海外メディアが相次ぎ報道(7月24日付日経新聞記事)
驚きのニュースですね。FTは、欧州を超えて世界を代表するクオリティ・ペーパーです。
英字紙というとワシントン・ポストやNYタイムズをイメージする方もいるかもしれませんが、この二つの新聞は(扱うテーマが結果的に世界の注目を集めるものになっているとはいえ)基本的にはローカル・ペーパーであり、グローバルな話題の内容はそれほど充実しているわけではありません。
なお、米国の「全国紙」としてイメージされるのはUSAトゥデイですが、大衆紙であり、ビジネスマンや知識人向けの「クオリティ・ペーパ-」からはほど遠いメディアです(ただし「普通の」米国人目線の大衆文化を知る上では格好の素材になります)。
アジアを含めたグローバルな話題について欧米の報道を知るには、FTとウォールストリート・ジャーナルが一番頼りになります。私も、忙しくてもこの二紙のチェックは欠かせません。一流の記者をそろえており、その著作もとりあえずはチェックの対象になります。ちなみに、WPやNYTも、コラムニストについては世界情勢を語れる超一流をそろえているので、コラムやop-edに関してはやはりチェックが欠かせません。
ということで、これほどの格式のあるメディアを日本のメディアが買収したというのは趣深いものがあります。近年、日経は「Nikkei Asia Review」という英字紙の発行を開始し、国外を見据えた発信に力を入れていました。同紙には、私の友人の記者もたくさん寄稿していますが、単なる日本語版の英訳ではなく、アジアのマーケットを意識した独自の内容になっており、(私も最初はそれほど期待していなかったのですが)なかなか読ませます。
こういったグローバル戦略の一環として今回の大胆な決断に至ったのでしょう。今回の買収によりFTの内容が変わることはないでしょうが、Nikkei Asia Reviewも含めて、日経のグローバルな発信には裨益するところが大きそうです。
日経の記者がFTから学ぶことも期待されるでしょう。1,600億円という巨額の買収額に見合うのか、国際的には日本企業の宣伝媒体と揶揄される日経の経営にFTが馴染むのか、色々不安はありますが、とりあえず、日本にいる者にとってはありがたいというか、メディア業界にはめずらしく活気のある話になりそうです。
あと、この一件の後に出た報道によれば、The Economistも売却交渉が進んでいるとのこと。
■ 英ピアソン、「エコノミスト」誌も売却交渉(7月25日付日経新聞記事)
The Economistも、やはり世界の論調を知る上で欠かせない一級のメディアですから、驚きです。どうせならこっちも一緒に買い取れば面白かったでしょうね・・笑
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One comment on “FTの買収”
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エコノミストは・・ドイツへ・・
切り分けて・・
高値の花でも・・
買ってくれるのは・・ユーロマルクか・・円・・
FTの責任者・・
あのような歪んだ笑い・・心底の大笑い・・見せてくれた英国人・・
初めて見た・・
それを観れただけで・・安い買い物か・・・(笑