2015/05/23 00:00 | 中東 | コメント(5)
シリア・パルミラの陥落
■ 「イスラム国」、シリア全土の5割制圧か―パルミラも完全掌握(5月22日付ウォールストリートジャーナル記事)
パルミラの占領については、世界遺産に認定されている遺跡の破壊が強調されていますが、この都市は、ダマスカスとシリア東部を結ぶ要衝にあり、戦略的に極めて重要な地位を占めています。パルミラが陥落したことによりシリア東部の都市が次々に制圧され、全滅する可能性があります。
また、この地域の油田を奪ったことで、「イスラム国」はシリアの油田の大部分を制圧したと言われており、アサド政権は極めて大きな痛手を負ったことになります。これからイランがどこまで政権を支えるのか注目されます。
パルミラには、20年くらい前に行きました。中東の古代遺跡であるペルセポリス、ペトラ、パルミラは「3P」と称されますが、この3つはそれぞれ全く違う文明の遺跡で、様相も大きく異なります。パルミラはむしろバールベック(レバノンにあるローマ神殿跡)に近かった印象です。
いずれにしても、これらの遺跡は、どれも言葉にはできないほど素晴らしく、実際に見ることができて本当に良かったと思いました。シリアを訪れたとき、今の状況など全く想像できませんでした。ダマスカス、ホムス、そしてシリア人女性の美しさは、今でも強く印象に残っています。また、シリア軍の案内で、ゴラン高原(クネイトラ)の戦地跡を回ったのも鮮烈な体験でした。
ちなみに、西アフリカのマリも、4年前に行きましたが、その1年後にクーデターが起きて、国土がカオスに陥り、とても入れない状況になりました。
訪問したときは、アフリカの英雄アマドゥ・トゥマニ・トゥーレ(通称ATT(アーテーテー))が10年間大統領を務め、「アフリカの優等生」と言われるほど安定した統治が実現していました。1年後にこんなことが起こるとは誰も想像していませんでした。
ここは、世界遺産のバンディアガラの崖(ドゴン人の集落)、ジェンネ、ティンブクトゥ、そしてものすごい勢いで抱きついてくる子どもたちの笑顔が本当に魅力的なところでした。
個人的には、シリア、そして、紛争直後に訪れたレバノン、ボスニア、パレスチナとともに、世界情勢の激動を身をもって感じたところです。
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5 comments on “シリア・パルミラの陥落”
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あちらさん・・
豊富な資金に任せ・・
武器や領土を・・買まくっている・・
また・・文化財の盗掘で・・軍資金を得る・・
買う奴を・・
厳罰にしなければ・・・
ISISは、最近もイラク軍基地から武器を奪取したようですね。又、武器の他にも銀行から現金や貴金属を奪取したり制圧した都市の住民からも現金や貴金属を強制的に供出させているようです。それから反ISISは、即処刑のようです。
古い報道番組(2014年10月、英語)ですが、ISISをまとめてあります。
注意:残忍な映像がありますから18歳禁です。
The Rise of ISIS [FRONTLINE PBS]
http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/rise-of-isis/
PBSは、米国の公共放送局です。
*同サイトの番組には、日本からは見ることができない番組もあります。
ありがとうございます。
PBSの報道はクオリティが高いですね。私は15年前に米国にいた頃からほぼ毎日チェックしています。
自分も同じ頃にダマスカスとパルミラに行きました。
当時治安良かったですよね。人も親切で。
アサドの肖像画はいっぱいありましたけど、
今思えば民主化運動なんて無いほうが余程ましな経過だったような。
口の中から虫歯菌を全滅させると、代わりにカビがはびこって余計に扱いが悪いそうです。
そうでしたか。アサドの肖像画、まったくそのとおりですね。夜のスークで吸った水パイプも良い思い出です。
アラブの春は、今や、最も体制が安定したところがエジプトですからね。なんだったのかと思います。