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2016/04/12 00:24  | 経済・通商・金融 |  コメント(9)

パナマ文書


世界を揺るがす「パナマ文書(Panama Papers)」。アイスランドではあっという間に首相が辞任に追い込まれました。

問題になった人物と行為はICIJ(International Consortium of Investigative Journalists)の「The Power Players」に出ています。これはまだ一部に過ぎず、5月にはすべての個人・企業名が公開される予定とのことです。

節税目的でタックス・ヘイブンにペーパー・カンパニーを設立するのはビジネス上当たり前のことです。それ自体が法的に問題のある行為ではありません(私自身も、ファイナンス分野においてですが、弁護士として山のようにこういう仕事をやりました・・ケイマンばかりで、パナマは見たことがなかったですが)。

もちろん違法な脱税行為をするのは論外です。今回のリークでも、違法行為が確認されれば即座にアウトということになります。

しかし、仮に違法でないとしても、世界のリーダーが巨額の資産を税逃れのために国外に移していたとすれば、道義的・政治的責任を追及されることになります。特にグローバル企業の徴税が政治問題となっている中で、こうした政治家が課税逃れを画策していたとすれば、クレディビリティがゆらぐことは避けられません。

とはいえ、民主国家であれば、基本的には個人の取引として終わる話です。ビジネス界出身の政治家であれば政治家になる前にかかる取引を行っていることは自然でしょう。最悪、アイスランド首相のように辞任に追い込まれるかもしれませんが、影響はその限度にとどまります。

一方、中国、ロシア、マレーシアといった権威主義体制においては、体制の正当性そのものに直撃する可能性があります。今のところこれらの国々は強権で抑え込んでいますが、どこまで影響が波及するのか気になります。

また、さらに重要なポイントは、この問題が示しているのが、むしろもっと大きな、現代の高度情報社会において、情報の透明性がとどめようもなく進展していくという現実です。ウィキリークスからスイス・リークス、そして今回のパナマ文書に至るまで、これまでエリートが独占してきた情報がどんどんと暴かれる時代になっています。

これは政治経済の安定性を揺さぶるという意味で大きなリスクにもなります。しかし、違法行為・脱法行為を困難にする、あるいはそういった行為を阻むためのスキームを強化する契機を提供するという意味では、ガバナンスの向上をもたらすとも評価できます。

パナマ文書は、それ自体のインパクトは思ったより大きいものではなく、限定的な結果にとどまるかもしれません。しかし、こうした大きな時代の流れの序曲となるでしょう。

なお、現時点では米国のエリートが出てきていませんが(この点については、中国とロシアを追い落とすためのCIAの作戦との噂もあるようですが(笑))、巨大な財団を運営するクリントン夫妻や富豪のドナルド・トランプがどうなるのか気になるところです。万が一何か出てくるようなことがあれば、米大統領予備選の景色が一変してしまうかもしれません。

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9 comments on “パナマ文書
  1. ペルドン より
    憶測では・・

    露西亜人や中国人・・
    やってても当たり前だし・・権力者の当然の特権だから・・
    圧力にもならない・・

    ならないが・・
    今・・選挙をやっている方々には・・圧殺力あるかもと・・流されていますね。

    ウクライナ首相も辞任・・流れてますね・・
    日本はどうでしょうか・・

    心配性な方に・・JDさん簀巻きにされ・・神田川にならないように・・・(笑

  2. ino より
    トランプの名前があったりして

    トランプの名前があったら、蜂の巣つついた騒ぎになるな~。

  3. edge より
    アメリカ人が少ない理由

    ネバダ州とかデラウェア州でやればいいので、わざわざオフショアでやる必要性がないからではないでしょうか。

  4. Jamira より
    違法ではない

    違法ではないから良いと言うなら、脱法ドラッグは?

  5. ペルドン より
    トランプがNYで・・

    激烈なHilary攻撃・・
    民主党に・・
    Eメール問題も・・汚職も・・
    守られている・・・(笑

  6. Kosei より
    オバマチック

    このピンポイント爆弾は最近のトレンドですね。
    ヒラリーになったらこのトレンド継続か。

  7. JD より
    edgeさん

    ありがとうございます。
    ご指摘おっしゃるとおりです。私も言及しようと思っていましたが、寝ぼけていて失念しました。
    ただ、タックス・ヘイブンもプロコンがあり、米国人/企業がオフショアをまったく必要としないわけではありません。
    たとえば、ミット・ロムニーは、大統領選において、バミューダやケイマンに資産があることを批判されました。
    ICIJはパナマ文書に米国人も含まれていることを示唆しているようです。

  8. motcy より
    日本人も・・・。

    ちらほら散見されるみたいでね。

    アイルランドは一回国が潰れかけて国民が身を切って這い上がったところでトップがこれではデモも当然だなと思ってました。
     
    日本での報道はあまりにもい小さく他人事見たみたいに伝えてますがメディアが横並びで伝えないのはなんか裏で動いでるんじゃと最近穿った見方をしています。
     

  9. volcano より
    タックスヘイブン

    イギリスのスタバの利益に、タックスへイブンから看板料を請求するとイギリスのスタバの利益がゼロに。しかし、こういう二国間なら租税情報交換条約でバレる。そこでタックスヘイブンを2~3つ咬ませる。それが、ロムニーちゃんですか(笑)?でも、それは違法?
    パナマ文書。アメリカ人についての話は皆無で、重要なNATO政治家についても無い。
    すると、肝は一体どこにあるのだろう?5月にパナマ文書の完全版が公開さるとするジャーナリストもいますが、データベースを管理する「国際調査報道ジャーナリスト連合」の資金提供者は

    フォード財団
    カーネギー基金
    ロックフェラー・ファミリー基金
    W K ケロッグ財団
    オープン・ソサエティー財団(ソロス)

    情報は恣意的、選択的にリークされると、私は思います。
    CIAも送金にタックスヘイブンを利用してるようですわ。

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