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2024/08/05 06:30  | メルマガ |  コメント(3)

第258号 利下げ議論が本格化する米国と利上げを急ぐ日本


先週はご存じの通り、日米の金融政策について大変注目が集まりました。特に、我らが日銀の動きは大変注目です。そして、その後の米経済統計にも着目点が散見されますが、こうした点を踏まえて週末のマーケットは荒れる展開に。中銀、統計、マーケットと全体感をもって今週もお届けします。どうぞお付き合いください。

●先週のマーケット
・深夜の日経報道
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. ついに動きだした日銀
2. 7月FOMC
 ・FOMC statement
3. 悪化したISM製造業
4. 弱ぶくむ米雇用データ
 ・JOLTS 6月
 ・新規失業保険申請件数
5. 7月雇用統計
 ・雇用統計総論
6. 一変したマーケット環境
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

***************
あとがき
***************

日銀の金融政策は大きなトピックでした。マーケットに与える(与えた)影響や今後の見通しなどは前述の通りですが、私たちの生活にはどういった影響があるのでしょうか?

政策金利とは、中央銀行(日銀)が金融機関に貸付を行う際の金利や、その金融機関が中央銀行に預金する際の金利を指しています。そのため、政策金利上昇によって、金融機関はこれまでよりも高い金利で資金調達することになり、おのずと企業や個人への貸出金利は上昇します。

実際、先月末に大手銀行やネット銀行の一部では、住宅ローンの変動型金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)を現行の年1.475%から1.625%へと、0.15%引き上げると発表しています。その他の金融機関からも同様の発表が今月中に行われるでしょう。こうした住宅ローンの負担増については、植田日銀総裁は会見で「賃金上昇が続くとの見通しの中で判断した」との見解を示しています。確かに、直ちに景気への逆風となるわけではないでしょうけれども、今後連続利上げとなるといかがなものか?

一方で、金利が付くと嬉しいこともあり、預金金利や個人向け国債の金利上昇も期待できます。こうした預金金利の上昇については、日本総研によれば、長期金利が5年かけて2%まで上昇した場合、家計が受け取る利息収入は年8.7兆円増加することになり、住宅ローンなどの利払い負担増がおよそ4.4兆円なので、実質年4.3兆円の家計収入増としています。「金利のある世界」で我々はどのような風景を目にするのでしょうか。

さて、今週もここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

そういえば、先週、とある金融機関のセミナーに参加せざるを得ず、久々にセルサイドの話を聞く場面がありました。マーケットのボラティリティが高まっていたこともあり、為替相場のメカニズム(?)などの話から、株式相場まで幅広いテーマで展開していました。ちなみに、登壇者はとにかく話が巧い。オーディエンスの共感を呼び起こすことに長けており、おもしろい語り口で、さながらYouTuberのようでした。

で、何を彼が伝えたかったかというと「ビックテックを持っていれば大丈夫、昔のゴールドラッシュのようなものだから」とのこと。一歩間違えば、ビックテックを妄信する宗教のようにも見えますが、その日の夜、米国株式市場がテック企業を中心にマーケットのボラティリティが高まっていたこともあり、なんとも微妙。

つまるところ、全体的に、ご自身(同社)の伝えたい内容に終始し(営業なので当然ですが)、しまいには、長期上昇トレンドに変化はなく押し目は買いです、とセルサイドらしいトークを展開しておりました。

人の話を聞くというのは色々学ぶところも多いわけですが、今回はまるでセールスを受けたような感覚。翻って、私も、信頼に足る出来るだけ解像度の高く、且つ必要とされる情報を発信をしていかなければなと、あらためて考える機会となりました、どうか引き続きお付き合いください。

8月に入りましたが、猛暑日が続きます。外を歩けば気分が悪くなるような気候が続きますが、皆様くれぐれも気を付けてお過ごしください。今週末からお盆休みに入る方もいらっしゃるかもしれません。そうでない方は、私と一緒に頑張りましょう(笑)。皆様よい1週間をお過ごしください。

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3 comments on “第258号 利下げ議論が本格化する米国と利上げを急ぐ日本
  1. ベルモット より
    なぜ?

    なぜFEDはビハインドザカーブを選択したのですか?パウエルとFOMCメンバーの意見相違はあるのでしょうか?

  2. キャンティ より
    で、

    マーケットはどうなるん??

  3. Salt より
    ベルモットさん

    ご質問ありがとうございます。

    今回は、FEDがそれを選択したということではなく、FEDの金融政策が後手に回っている可能性があり、その結果として、ビハインド・ザ・カーブな展開が疑われる、ということです。

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