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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/02/25 00:00  | by Konan |  コメント(5)

Vol.181: 三題話


総理の訪米も終わり、今週最大の話題は日銀総裁人事ですが、今回はそうしたトピックから離れ、日銀特集を書いている間に気になった3つの話しを簡単に書こうと思います。

(1)菅さんと枝野さん
内閣の要でありスポークスマンでもある菅官房長官の姿は、日々テレビで目にすることが出来ます。聞きかじりですが、東北ご出身で、神奈川県の有力政治家の秘書から叩き上げた苦労人で、芯が強くぶれない安定感が持ち味の、自民党の影の実力者のひとりと思います。官房長官としての受け応えも、華はありませんがきっちりされている印象です。

菅内閣の官房長官だった枝野さん。東日本大震災、そして福島第一原発事故対応で日に何度も会見が開かれ、マスコミへの説明に当たりました。当時ぐっちーがブログで「この人は信頼できるかもしれない」と珍しく誉めていましたが、私も同様の印象でした。

自民党内閣と民主党内閣には様々な違いがあります。民主党内閣では、大臣と官僚の関係が上手くいかない事例も多々ありましたし、正直言って「この人は統治ということを理解しているのだろうか」と感じたこともありました。他方、菅さんと枝野さんを比べると、「何党か」以前の問題として、政治家個人としての力量が如何に大事か改めて感じます。枝野さんのように個人としての力量を持つ人を今後何人生むことができるかが、民主党が再生出来るか消え去るかの鍵と思います。鳩山さんのような無責任な政治家を再生産していては、再生は土台無理な話しです。

(2)総理はもっと早く帰国すべきだったか
アルジェリアでの悲惨な事件で亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈りしたいと思います。さて、その際偶々アジア外遊中だった安倍総理は、日程を切り上げもっと早く帰るべきだったのか?

私の答えは「否」です。早期帰国論を聞くと、かつての某総理が大事故の際ゴルフに興じていたことと同じように物事を見ている気がしてなりません。第1に、アジア歴訪は対中国戦略を練るうえでも極めて重要なイベントであり、各国首脳との緊密なコンタクトが不可欠です。それを放って帰るべきではありません。第2に、総理がすべきこと、できることは、アルジェリアや英国等の首脳とのコンタクトです。大使館のファシリティを使い、随行者のサポートを得れば、日本に居る時に比べれば劣るとは言え、十分対応できる範疇と思います。

(3)早期退職は悪か
退職金切り下げを避けるため、卒業式を待たずに退職してしまった教師が批判を浴びています。私はそうした教師の擁護派です。

批判派の根拠は「生徒中心であるべき教師が、自分の利益を優先し生徒を見捨てるのはもってのほか」ということと思います。また、地方公務員の給与が高過ぎという根っこからの反感も、こうした批判に拍車をかけます。不動産業界の方に聞くと、高級マンションの購入層のひとつが、夫婦で教師をされている世帯だそうです。

そうは言っても、背に腹は変えられないというのが率直な気持ちです。実際、退職金切り下げ時期を4月にした自治体もあり、こうした配慮が可能な範疇ではないかと感じます。「身内に甘い」との批判は甘んじて受けたいと思います。ただ、義務感を優先する考え方に、どこか安倍さんの改憲論と同じフレーバーを感じてしまうというのも、正直なところです。

ということで三題話はおしまいです。

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5 comments on “Vol.181: 三題話
  1. ペルドン より
    三題

    1)菅さんと枝野さん
    後者・・福島・・あれ程・・詭弁を弄した男・・居なかったのでは・?

    2)総理はもっと早く帰国すべきだったか
    大使館を・・臨時官邸・・陣頭指揮・・それで良いのでは・?

    3)早期退職は悪か
    悪ではありません・・そんな時代じゃありません・・・

  2. 諸行無常 より
    早期退職はやはり問題では?

    仕事というものはプライドを持つものです。したがって、教師の早期退職は問題だと思いますね。彼らのプライドは数十万-百万円程度だったということです。退職金に占める割合が微々たる金額のプライドしか持たない教師を、”「身内に甘い」との批判は甘んじて受けたいと思います。”と受け入れることができる貴君の精神が理解できません。

  3. にゃん。 より
    時代・・・

    事情がよくわからないひとが頭ごなしに
    批判ばかりするのはどうかと思いますけれども
    教師が退職金のために卒業式を待たずに辞めるというのは
    こわい時代だなと思いました。

    もちろん背に腹は代えられない、、、
    自分(のお金)を犠牲にして卒業をまったとしても
    その分お金がたりなくなったがために、生活が成り立たなくなったりしても
    だれも助けてくれないとか・・・

    そもそも生徒にとって、実質的には
    先生が卒業までいる必要がないとか・・・

    イヤな想像をしてしまいました。

    「そういう」時代ではなくなった・・・のだろうと思います。
    むかしなら、そういう時代だったような気もします。

    「そういう」時代になったから・・・庶民には生きにくい時代に
    なったのだというのは、このニュースからも実感しました。

    自己責任というのは、大事ですけど、、、行き過ぎると
    社会そのものが疲弊してしまうのではないでしょうかね。
    世間に「自己責任」がイヤな意味で蔓延したから
    民主党が政権党になったり、失敗したりしなのではないでしょうか。

    戦後の日本の長所をささえていた部分が失われたような・・・
    それを維持できなくなったことの象徴のような
    そんな気分になったニュースでした。

  4. 大海 より
    先生擁護派

    「ベンチがアホやから野球でけへん」のセリフを思い出しました。
    確かにあの頃のあのチームはベンチもフロントも酷かった。(近年、またその頃に近づいてきたような気もするのですが…)

    そりゃ誰しもプライドは持ちたいと思うのでしょうが、持たせてくれるような仕組み作りは、バックオフィスの責務では無いですかねぇ?
    ショボイ武装しか持たされずに「ホレ、前線行って戦って来い」と上から目線で言われているような気が…。言う方も言われる方も悲しひ…。

  5. 諸行無常 より
    ここまで退廃しているとは。

    バックオフィスも債務も仕組み作りなど関係なく、プライドは持てるものです。ここまで日本人の意識が退廃しているとは悲しいものですね。

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