2025/05/19 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.276: 1~3月期GDPマイナス成長
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4四半期振りのマイナス成長
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1~3月期のGDPは前期比-0.2%(年率換算-0.7%)のマイナス成長となりました。寄与度は内需+0.7%、外需-0.8%と外需が押し下げた格好です。
内需では、民間最終消費支出が前期比+0.0%(寄与度+0.0%)とかろうじて4四半期連続のプラス成長。このほか、設備投資が前期比+1.4%(寄与度+0.2%)、住宅投資が前期比+1.2%(寄与度+0.0%)、公的需要が前期比+0.0%(寄与度+0.0%)とプラスでした。これに加えて、民間在庫変動も寄与度+0.3%となりました。設備投資、住宅投資とも年率換算で5%台とまずまずの伸びでした。他方、個人消費は実質賃金マイナスの環境下で伸び悩み。各種報道でもこの点が強調されました。
外需は、輸出が前期比-0.6%(寄与度-0.1%)、輸入が前期比+2.9%(寄与度-0.7%)。輸入の増加はGDP押し下げ効果を持ちますが、今回は輸出、輸入ともマイナス寄与になった訳です。輸出については、自動車は関税引き上げ前の駆け込みで伸びましたが、輸出入ともやや特殊なサービス貿易関連の動きが数字を左右したようです。
なお、今回は2024年度の名目GDPが616.9兆円とはじめて600兆円を突破しました。
今回のGDPは、輸出入がやや特殊な動きをしているので、日本経済の実勢をこの数字だけで掴むことは容易ではありません。ただ、個人消費の伸び悩みは明らかです。今年の春闘は昨年並みかそれを上回る賃上げとなりそうですが、お米をはじめ物価上昇がこれを打ち消しているので、先行きも好転が見込めません。
また、輸出については、4~6月期からトランプ関税の影響が本格化してきます。対米輸出の関税は多くの品目で10%、鉄鋼や自動車は25%なので、値上げを通しつつ需要を維持することはさすがに難しく、対米輸出へのマイナスの影響が見込まれます。他国向けも、例えば中国製品との競争激化に見舞われるかもしれません。
日銀も25年度の実質成長率見通しを引き下げましたが、厳しい展開が予想されます。
今回はこの辺で。
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