2025/05/26 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.277: 月例経済報告と長期金利
今回は22日に公表された内閣府月例経済報告を紹介した後、最近の長期金利の動きについて触れます。
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内閣府は景気判断維持
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内閣府は、先月に景気判断を下方修正した後、今回は現状、先行きともに判断を維持しました。米国との関税交渉が続く中、2カ月連続で修正する材料が無かったのだと思います。
(現状)
・基調:景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる
・個人消費:消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:おおむね横ばいとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ持ち直しの動きがみられる
(先行き)
・基調:雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:これまでの堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、横ばいで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:米国の関税引上げによる直接的な影響、通商問題による世界経済を通じた間接的な影響等に留意する必要がある
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世界的な長期金利上昇
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そうした中で、日米欧各市場での長期金利上昇が話題になっています。日本の30年物国債金利は3%を超え、過去最高水準となりました。
日本の長期金利、言い換えれば国債の信認については、「大丈夫」「危ない」の意見が真っ向から対立する神学論争が続き、どちらに加担しても叩かれてしまいます。今回の上昇についても、最近の消費税率引き下げ論の影響を持ち出す論者がいる一方で、日銀や生保の購入姿勢に理由を求める論者もいます。
私自身は、神学論争に巻き込まれないよう「大丈夫とは思うけど、信認ほど壊れやすいものはないので、注意はした方がよい」とのあいまい姿勢を貫いています。ぐっちーは大丈夫論者だったので彼と距離を置きつつ、例えば元財務事務次官の矢野さんのような意見とも距離を置いてきました。そのスタンスは変わりません。
ただ、過去20年以上もの間、日本の長期金利は低水準のままでした。このため、危ない派はずっと狼少年状態でした。現実に長期金利の上昇を目の当たりにすると、少し気味悪い感じもしてきたところです。
今回はこの辺で。
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