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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/01/14 00:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.175: 新年特集(その2、政治)


新年特集の2回目では、政治を取り上げます。衆議院で2/3を超える多数を獲得した自公政権が本格稼働しています。予算面では、大型の補正予算、25年度本予算成立までをつなぐ暫定予算、そして本予算の3本が編成されますが、元々衆議院優先なので問題なく可決成立します。むしろ当面の国会では、この多数をもってしても参議院での議決を覆すことが出来ない日銀総裁人事が最大のイベントになります。その後、参議院選挙、来年度からの消費税率引上げの判断と大きなイベントが続きます。またTPP参加も大きなテーマです。その意味で今年も政治から目を離せない1年になりそうです。

さて、12月16日にこのブログで選挙について記した際、「まだ投票率や各党の得票率の報道は見ていない」と書きました。その後判明したのは、投票率が最低水準であったことと、議席の占有率に比べ自民の得票率が相当低い、いわば議席が水膨れした状態にあることです。私の配偶者は今回の選挙に投票しませんでした。「党が多過ぎて訳がわからない」ことが理由のようですが、彼女はかつて橋本さん有利と言われながら小泉さんが予想を覆した自民党総裁選で、小泉さんの勝利を逸早く予言した感覚の持ち主で、今回もその感覚が世の中の実態を映し出した気がします。自民党側も、小泉進次郎さんの発言に代表されるように「自民に追い風はなかった。民主が崩れただけ」と(ポーズかもしれませんが)謙虚な姿勢です。

今回の選挙の最大の特徴は民主党の惨敗でしたが、その陰に隠れ余り報道されない大きな出来事は、成田離婚してしまった未来の党の惨敗だったと思います。表に出たのは嘉田さんですが、紛れもなく小沢さんの政党で、脱(卒)原発、反消費税が2大公約でした。結果をそのままストレートにみると、国民は「小沢」「原発ゼロ」「反消費税」に明確にNo‼の答えを突き付けたはずですが、上記のような投票率、得票率を盾に「そうではない。国民は未だに脱原発や反消費税を望んでいる」と巻き返す、もしくは蒸し返す議論が必ず出てくると思います。実際、今回の大型補正の陰には、景気を浮揚させ悲願の消費税引上げを実現させたい財務省の存在がありますが、政治家である安倍総理は、自民党の支持が盤石でないことを敏感に感じ、2014年度からの引上げを見送る可能性も十分あるとみています。前回書いた海外経済の流れ(危機や崩壊は心配しないが、力強さを欠く冴えない展開を予想しました)を前提にすると、円安や株価上昇を勘案しても、また大型補正や新総裁の下での強力な金融緩和があるにしても、日本経済の更なる落ち込みは心配しないで済むとは言え、「消費税引上げ大丈夫」と確信を持つには至らないと思えるからです。他方、原発については、電気料金引上げという目先の負担増を不安に思う心理の高まりや、活断層を理由に再稼働を認めない判断が出始めるなど、個々の原発の審査への信頼が少しずつ高まる可能性を考えると、参議院選挙でも大きな風にはならないというのが、私の予想です。

さて、国会運営では、政権が参議院でどの政党と組むかが当面の焦点ですが、今のところ案件毎に連携先を探し、税と社会保障関係は民主と、その他案件は維新やみんなの党との連携が模索されると言われています。多分その方向でしょうが、参議院選挙に向け民主と維新はどうなっていくのでしょうか?

民主については、参議院選挙も厳しい戦いとなります。今回は2007年の選挙で当選した議員の改選に当たりますが、この選挙は前の安倍政権等への不満を背景に民主が風に乗り大勝ちした選挙でした。従って議席を減らすことは必至で、その程度が、鳩山政権への不満を背景に敗れた2010年選挙程度にとどまるか、それとも今般の衆議院選挙のように惨敗してしまうか、予想が難しいところです(個人的には、2007年に当選した民主議員には有能な方も多く、6年間の活動実績も積み重ね、多党化時代の難しさがあるとは言え、流石に昨年末ほどの惨敗はないのではないかとみています)。そのうえで、石原、橋下の不調和が目に付く維新が今後どのような活動を国会で行い、政権に対しどのような姿勢を示し、勢いを増すか失速するか注目です。とくに憲法改正では、衆参ともに2/3を得ることが不可欠な中、流石に自公だけで参議院でも2/3を確保することが難しいと考えると、7月選挙は、憲法改正が重大な争点となり、その中で憲法改正を主要政策に据える維新が伸びるか崩れるかが、最大の着目点かもしれません。そして、国民の間に改憲意識が十分根付いていない現時点では、維新は失速するというのが私の予想です。

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2 comments on “Vol.175: 新年特集(その2、政治)
  1. ペルドン より
    軽いか・?

    神輿・・
    やっと・・
    一ちゃん・・軽い御神輿に・・
    担がれる・・適度の重さ・・

    だが・・
    担ぎ手・・大目減り・・
    しかも・・
    敵・・雲霞の如・・

    軽くても・・
    まだ・・まだ・・重い・・

    ローカル・オバチャマ・もったいない・・
    担いだ・・酬いか・?

    神罰下った・・
    自民・公明・・姦しい・・

    野田政権・・唯一の功績・・一ちゃんの・・政治的抹殺・・
    敵陣幹事長・・絶賛・・

    一ちゃんに・・軍師・・居ない・・
    天の声・・

    一ちゃん・・軍師なら・・
    軍師の軍師・・誰がする・?
    難問・・
    政界随一の碁撃ち・・討ち取られる・・寸前・・

    ここからが・・面白い・・
    碁打・・胡坐組・・腕組み・・不敵な笑い・・

    世論操作ならぬ・・世論調査・・
    大津波の跡も・・
    夏の参院選・・厳しい・・

    民主壊滅の高説・・高波・・
    未来脱した生活党・・風前の提灯・・消える支持率・・

    弱者同盟・・
    手を結べたら・・抱き合い心中か・・死中の活か・・
    でもまぁ・・
    ほんと・・どうなるんでござんしょ・・?
    我等の生活・・?

    アレクサンドロス大王親衛隊・・七十代も・・珍しくなかった・・
    まだ・・出来る・・鉄槌と金床作戦・・

    シーザーなら・・言うに決まっている・・・
    『サイは投げられた』

  2. ばすがすばくはつ より
    得票率というよりも

    相手を割らせ、比較第1党になっておくことになってきたのではないでしょうか。維新・民主で同じような政策で争ってくれれば、漁夫の利として自民が議席を取る。

    政策を進めるためには議席が必要なのであり、裏付けの支持率は二の次になってきたということではないだろうか。

    7月の参院選までは、おとなしくし、それ以降勝負なのかもしれませんね。

    しかし、民主は皆が知らない実力にかけてみた、実力がわかると社会党のようになるしかないのでは・・

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