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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/06/23 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.280: 日銀金利据え置き+月例経済報告


今回は、16・17日に開催された日銀金融政策決定会合と、11日に公表された内閣府月例経済報告を簡単に紹介します。

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日銀景気判断維持
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今回のように展望レポートがない回(3月、6月、9月、12月)とある回(1月、4月、7月、10月)とでは分析の詳しさに違いがありますが、景気判断は現状・先行きとも維持されました。リスク要因も不変です。

(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな増加基調を維持している
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みの動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている

(先行き)
・各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる

(リスク要因)
・とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はきわめて高く、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある

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政策は予想通り
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今回は政策金利は予想通り据え置き。長期国債買入れの減額については、「2026 年1~3月までは原則として毎四半期 4,000 億円程度ずつ、2026 年4~6月以降は原則として毎四半期 2,000 億円程度ずつ減額し、2027 年1~3月に2兆円程度とする」との計画が、これも事前報道・予想通り決定されました。前回解説した通りで、付け加えることはありません。

今後は、「そうは言っても利上げはいつか?」「超長期金利上昇に配慮し、長期国債買入れの減額ペースをさらに緩めることはないか?」が論点となります。

前者については、来年の春闘が見える来年初頃までは難しそうな気配です。自動車関税が25%から大きく引き下げられることがあれば別ですが。後者については、財政への配慮姿勢を露骨に示すことにも問題があるので、年度内にさらに緩めることは無いと予想します。

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内閣府も景気判断据え置き
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1週間遅れのカバーになってしまいましたが、内閣府も、現状・先行きともに判断を維持しました。

(現状)
・基調:景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる
・個人消費:消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:おおむね横ばいとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ持ち直しの動きがみられる

(先行き)
・基調:雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:これまでの堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、横ばいで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:米国の関税引上げによる直接的な影響、通商問題による世界経済を通じた間接的な影響等に留意する必要がある

今回はこの辺で。関税と中東情勢が不透明なままでは、大胆な予想は難しいですね。

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