2012/07/23 00:00 | by Konan |
コメント(1)
Vol.150: ユーロ(その3)
前回はぐっちーに挑戦しました(笑)。今回は欧州中央銀行の役割について取り上げます。
日本でも中央銀行は窮地に追い込まれています。白川総裁の苦悩は相当なものと思います。ただ、日本の悩みは「通貨の信認が強過ぎる」ことです。円高が典型ですが、デフレも「1万円札で買えるものが増える」ことですから、通貨の信認向上を意味します。その意味で日本の悩みは贅沢な悩みです。他方、通貨の信認崩壊に悩むドラギ総裁の苦悩は、本当に大変なものと想像します。
欧州中央銀行(以下ECB)には「ギリシア、スペイン、イタリア国債の買入れを増やせ」との圧力がかかり続けます。これに対し、ECBは基本的に消極的です。ドラギマジックと呼ばれた3年間の資金供給などの施策には踏み込みますが、大規模な周縁国国債購入には踏み出しません。その理由としてドラギ総裁は、(以前のこのコーナーでも書いたように)「ECBの役割は金融政策であり、財政政策は条約で規定されたECBの役割に含まれない」ことを挙げます。市場での消化が難しい国債の購入は、国債引受け=財政と中央銀行の一体化を意味し、金融政策の範疇を越えてしまうとの理屈と思います。
同様な主張を日銀が行うと国会で袋叩きに会いそうにも思いますが、欧州ではこうしたドラギ総裁の主張にも相応に理解があるようで、共通財政ファンドであるESMが国債を購入する方向に向かっています。
こうしたギリギリの局面での判断は本当に難しいと思います。一方で「国が破れて中央銀行だけ生き残る」ことはあり得ません。最後には中央銀行が国を支える局面を否定し得ないように思います。他方、政府に極限まで責任を持って考えさせることも重要です。前回も書いたように、欧州の問題は財政統合抜きで解決することは出来ず、その前提として各国政府が財政を均衡の方向に向かわせることが不可欠です。このためには、安易に政府を助けることは絶対に避けるべきです。ただし、中央銀行の役割である短期流動性供給には最大限の役割を果たすことで、中央銀行としての責任を全うする、これがドラギマジックの意味合いと思います。
今後ECBは銀行監督面でも一段の役割を求められるスーパー中央銀行への変貌が想定されています。ドラギ総裁と白川総裁の身の処し方には注目していきたいと思います。
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その為には・・
スーパー中央政府・・必要・・
スーパー中央財務省・・必要・・
出来そうにない・・
では・・
思い切って・・発想転換・・
ECB総裁・・財務相兼任・・
金融財政・・骨幹・・二本足を・・一本足に・・??
市場も怖がって・・近寄らないのでは・・・