プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/04/11 00:00  | by Konan |  コメント(4)

Vol.83: 大震災その後


ここ数回地震以外のテーマを取り上げてきました。地震については各種メディアで様々に取り上げられているので、付加価値が余り無いと思ったからですが、発生後1ヶ月のこのタイミングで、2、3感想を記したいと思います。

まず、今回の地震の被害者の方々のご冥福とともに、被災地の方々が一日でも早く普通の生活に戻れることをお祈りします。被害者の数の点で、あの阪神淡路をはるかに越える規模となってしまい、本当に悲しく思います。

今回の地震の特徴は、被災地の救済、復興という大きな課題に、原発の問題が上乗せされてしまったことです。前者だけでも、現地の状況の把握、被災者の救援、支援物資の輸送・配給、復興など、途方も無く大きな課題です。ただ、この点では、多くの問題を抱えながらも、官民とも全力を尽くしているように思います。逆の言い方をすれば、日本の地力がそのまま出ている状況ではないでしょうか。官で言えば、それぞれの省庁は全力を尽くしている、問題があるとすれば、スピード感、各省庁間を跨る情報の集約・共有、各省庁間の仕事の優先付けや協調など、元々日本の行政システムが抱える縦割りの問題がそのまま素直に出てしまっていると感じています。

原発の問題は、初期対応のまずさが全ての根源です。東電だけで対応することが不可能な問題について、東電の責任として対応させようとし、そのことが傷を広げ、その後の対応を困難にしてしまったという典型的な事例です。私は、今回の事例があったとしても、原発の継続・推進は不可避と思います。ただ、いざと言う時、私企業による対応は不可能であり、即座に自衛隊や消防を含め総力を挙げて初期対応に当たるべきであった、そして、その際私企業としての東電の意向(廃炉にしたくない)を完全に封じる力を政府が持つべきであった、ということに尽きるのだと思います。そうした最悪の事態が政府内で想定されていなかったのではないかと、(同じ官と言えでも部外者の私として)想像しています。

今回を契機に、将来第2の福島第一問題が発生する可能性は抑制されていくと思います。ただ、余りに高い授業料でした。

メルマガ「CRUのひとり言」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

4 comments on “Vol.83: 大震災その後
  1. ベルドン より
    余りに高い授業料でした

    まだ・・付けが・・届いていない・・
    やはり・・
    原子力会議に・・
    国民から・・無作為に選出された・・陪審員達を選び・・専門員が説明・説得・・
    最終的な判断を委ねる・・

    こんな法廷様式を・・選択されないと・・必要です・・と言われても・・
    国民は納得出来ないのでは・?・・・

  2. にゃん。 より
    皆がんばっている・・・

    いま日本のあちこちで、自分の職務を全うしようと懸命にがんばってくださるいろいろな職業の方がいるということ、ほとんどのひとはわかっていると思います。

    原発については・・・原子力を制御する能力が日本にはなかったのだなと、今回、一般人的には思いました。(日本に扱いきれないのなら、そもそもいまの文明には扱いきれないものかもと)

    想定外という言葉をきくたびに、ああ、こういう学者さんや原子力で大きな利益を得ているひとたちに都合のいい、机上の空論にだまされて、取り返しのつかないことになってしまったと感じているのです。

    国の方が考える以上に・・・原発の件で失われたものは多すぎます。これを取り返すことはできるのでしょうか・・・

    でも、ネットを席巻するヒステリーあるいは挑発的なコメントには、ちょっと最近疲れ気味です。

    がんばっている方々はもっとお疲れですよね。
    がんばれという言葉が残酷でも、他の言葉を見つけられないので、ただ黙り込むばかりです・・・

  3. にゃん。 より
    補足です。

    ネットでいろいろなご意見拝見するのがつかれるというのは、もちろんグッチーポストのことではありません。
    見たくないものは見ない主義ですが・・・・twitterにがんがんいろんなコメントが表示されていくので・・・珠玉混在と思うだけに、目を通さずにはいられないかんじです。
    いま、精神安定剤的にお気に入りなのは、John V. Roos さんのツイートです。。。

  4. クリオ より
    原発以外のエネルギー源

    いつも興味深く拝見させていただいております。ありがとうございます。
    自分も↑でにゃんさまが仰るのと同じ思いです。

    単に「反対」と言って感情的になっても何も次に進まないですよね。原発以外のエネルギーの供給の仕方の議論がもっとあってもいいように思うのですが。
    そこからあらためて原発の持つ利点や欠点をはっきりさせていくという視点が必要に感じます。
    例えばホンダが天然ガス(都市ガス)を燃料とした『エコウィル』という家庭用のコージェネを提供しています。火力発電所の総合熱効率40%に対し、エコウィルは85,5%に達するとあります。
    http://www.honda.co.jp/cogeneration/economy/index.html
    新日鉄の「水素製造」
    http://www.nsc.co.jp/tech/challenge/energy/hydrogen.html
    これもかなりのエネルギーの供給源になるんではないでしょうか?
    音力発電(株)のアイデアも大きな力とともに取り組めばかなりのポテンシャルを秘めていると感じるのですが・・・・
    http://www.soundpower.co.jp/products/products1.html
    資本主義の世の中だから仕方ないのですが、「ヒト」より「カネ」が先立つ「モノ」の動きにやるせないものを感じてしまいます。本来「カネ」は「ヒト」のためにあるものじゃないでしょうか・・・

コメントを書く

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。