2010/11/08 00:00 | by Konan | コメント(2)
Vol.61: G20サミットと為替相場
今回は、10月下旬に韓国で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議の際に話題になった、為替の話しを取り上げます。今週サミットが開かれるので、その前に復習ということで。
まず、その部分、和文と(本来の)英文の2つ下記に引用します。
根底にある経済のファンダメンタルズを反映し、より市場で決定される為替レートシステムに移行し、通貨の競争的な切り下げを回避する。準備通貨を持つ国々を含む先進国は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きを監視する。これらの行動は、いくつかの新興国が直面している資本移動の過度な変動のリスクを軽減させる助けとなろう。あわせて、我々は、安定的でよく機能する国際通貨システムを促進するための努力を再活性化させ、これらの分野でIMF がその作業を深化させることを求める。我々は、IMF がシステミックな経済の政策による幅広い影響の波及効果の評価を実施することを歓迎する。
move towards more market determined exchange rate systems that reflect underlying economic fundamentals and refrain from competitive devaluation of currencies. Advanced economies,including those with reserve currencies, will be vigilant against excess volatility and disorderly movements in exchange rates. These actions will help mitigate the risk of excessive volatility in capital flows facing some emerging countries. Together, we will reinvigorate our efforts to promote a stable and well-functioning international monetary system and call on the IMF to deepen its work in these areas. We welcome the IMF’s work to conduct spillover assessments of the wider impact of systemic economies’ policies
このパラグラフの背景には人民元問題もありますが、むしろ、「いくつかの新興国が直面している資本移動の過度な変動のリスク」という形で、中国に限らず新興国共通の課題として指摘されたことが重要と感じています。言い換えれば、人民元だけが問題であるとか、中国だけが悪いといった単純な問題ではないという認識が示されたのではないでしょうか。
この10年の間、とくに最近の危機の後、世界の金融・経済の形は大きく変貌しています。G7からG20に世界的な議論の場が移行したことが象徴的ですが、先進国が世界経済をリードする時代は終わり、新興国経済が如何に上手く運営されるかという点が、世界経済の鍵を握ります。現在、米欧日といった先進国の経済は底にあり、その対応として、金融緩和を競っています。その結果、先進国の金利は低下し、投資対象としての魅力が新興国に集まる結果、新興国の通貨は上昇傾向にあります。しかし、そうした動きが短期的なものなのか、それとも構造的・長期的なものなのか、新興国自ら自信を持てていません。かつてのアジア通貨危機のような資本の逆流が起こるかもしれないと考えると、通貨の過度な上昇、その後の下落といった変動を避けるため、足元での通貨の上昇を抑えておきたいと考えることは自然と思います。これが責められるべきことなのかが問われている訳です。
そしてもうひとつの問題は、米ドルが持つかという点です。ぐっちーも指摘する通り、米国当局者は強いドルは米国の利益と必ず発言しますし、米国の強大な軍事力、あるいは市場の発展度合いを考えると、ポンドからドルへの主役交代のようなことが起きる蓋然性は低いかもしれません。実際、円の魅力は残念ながら認められず、ユーロも爆弾を抱え、人民元はまだ市場取引も自由に出来ない段階です。
しかし、それでも不安は拭えず、「安定的でよく機能する国際通貨システムを促進するための努力を再活性化させ、これらの分野でIMF がその作業を深化させることを求める」という文章が挿入されたと受け止めています。具体案がある訳ではないが、何か考え始めないと恐いという感覚が、G20首脳に芽生え始めているのではないでしょうか。この点がサミットでどう発展するか(しないか)注目したいと思います。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
2 comments on “Vol.61: G20サミットと為替相場”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
掲げた・・松明・・
あるいは
一本のマッチ・・
マッチ売りの少女の・・商売用マッチ・・
何処に行っても・・
冬・・長い冬・・
診断・・処方・・正しくても・・
亡くなる・・患者は多い・・
正しくなくても・・
自然治癒する・・患者も多い・・
軍事力の裏書がある・・
ドル・・ユーロ・・元・・
この裏書がない・・円・・
ロボット兵が・・
人間兵士の雇用を・・奪う・・準備期間・・日本も・・軍事大国になれる・・下地があるか・・・
米国が衰退しても、新興国が牽引すれば世界経済はまったく問題はないという見方は間違っているんでしょうか。