2010/11/01 00:00 | by Konan | コメント(2)
Vol.60: 日銀包括緩和
これまで、この時期には日銀の金融システムレポートを紹介してきました。このレポートは毎年2回、3月と9月に公表され、日銀の金融システムの見方が示されます。ただ、今回は前回と余り変わり映えがしない印象なので、下記に要約版のアドレスだけ載せておきます。
ということで、今回は先日の政策変更の話し、いわゆる包括緩和に触れたいと思います。
先日の政策変更は、3つのポイントで成り立っています。
1.政策金利を0.1%から0〜0.1%のレンジに引き下げる。これは殆ど無意味な政策ですが、ゼロも政策金利の範囲に含まれることを示し、日銀がゼロ金利政策に踏み込まないと言う批判をかわすことが狙いと思います。
2.こうした緩和政策を、物価が安定するまで続けることをコミットする。前回の量的緩和の際は、物価の前年比が安定的にプラスになるまでというコミットを行いました。日銀政策委員会メンバーの物価安定の理解が前年比プラス1%であることを踏まえると、この点では前回量的緩和期より更に踏み込み、かなり長期にわたり緩和政策を継続する意思を示したと理解できます。
3.既に実施している30兆円の固定金利オペに加え、5兆円の枠を設け、長期国債や、不動産・株価関連の商品を買い入れることが出来るよう検討する。買入れる資産の長さ、ないし質に関し、5兆円という枠内ですが、従来より踏み込む姿勢が示された訳です。
さて、中央銀行の政策を理解するうえで、「中央銀行は銀行である」という点の理解が大変重要です。総裁や議長の口先介入を別にすれば、政策は、必ず中央銀行のバランスシートの規模や構成の変化を通じて実施されます。日銀の前回の量的緩和政策は、負債の規模を膨らませることを1つの核としていました。負債の変化は結局資産の変化に反映されると考えると、結局のところ緩和的な金融政策は、中央銀行の資産の量を増やす、資産の長さを長くする、資産の質を落とす、資産の金利を下げる、のいずれかで実現されます。例えば、FRBは長期国債買入れにより長さを長くし、(終了しましたが)MBSの買入れにより質を落とし、そうしたことを通じ資産の量を増やし、かつ金利も下げるという政策を実施しています。
日銀の今回の政策は、このうち金利面ではこれ以上考えられない踏み込み方です。他方、量については多々益々弁ずと考えればもう少し余地があるのかもしれません。長さと質については、5兆円と言う枠内なので、効果が限られます。金利面の踏み込みが評価され、長めの金利は低下しており、このこと自体は経済の下支えに間違いなく寄与します。ただ、他の面でみれば、やろうと思えばまだやれる、という批判も成り立つ政策変更だった、ということでしょうか。
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2 comments on “Vol.60: 日銀包括緩和”
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五兆円・・??
ローマ人・・皮のビキニ・・愛用・・
日銀総裁も愛用・・??
せめて・・股引を・・
せめて・・ラクダのバッチを・・
木枯らしの季節・・
ドスじゃあるまいし・・
短小のモノを出すな・・
バァ様でさえ・・喜ばない・・
と
お堅い方が・・ブログで・・背広姿で・・申しております・・・
結果論ですが、日銀はデフレには無力なんでしょうね、デフレは日銀のせいじゃない、日本経済は民間事業会社に任せていればいい、日銀は政府と財政再建に真剣に取り組んでもらいたいものです。