2010/10/18 00:00 | by Konan | コメント(3)
Vol.58: 尖閣問題
今回は尖閣諸島問題を取り上げます。領土問題は極めてデリケートな問題です。パレスチナ問題をみても、本当は何が正しいか、門外漢にはさっぱり分かりません。人類の長く複雑な歴史を経て、様々な人たちが様々な思いを持つのが領土や言語のような問題と思います。
このため、今回は「尖閣は誰のものか」という問題は避け、「尖閣は日本のもの仮定したうえで、それに中国のような凄い国が挑戦してきたらどうすれば良いか」という点を中心に書こうと思います。
対応パターンは3つあると思います。
(パターン1)
戦う。軍事、経済、外交の各面で、「尖閣は日本のもの」と主張し、戦い抜く。サッチャー元首相の人気を劇的に高めたフォークランド紛争時の英国の対アルゼンチン戦略と同様の発想です。
(パターン2)
屈する。「尖閣はお渡しするので、他の領土には触手を伸ばさないでね。レアアースの禁輸なんかしないでね」と下手に出る発想です。
(パターン3)
ごまかす。問題の所在を曖昧にしたうえで、日本のものとも中国のものとも玉虫色に解釈できるような枠組みの下、海洋資源開発、漁業等で双方が損をしないプラクティカルな対応を図る発想です。
私も官の一員である以上、パターン2は推奨できません。パターン3は実は賢いと思いますが、双方がずっと問題を曖昧にしておけるほどの大人になれることが大前提です。私が気にしているのは、パターン1を取る場合、普天間を巡る米国との争いと二正面作戦を取れるのだろうかという点です。以前、外交問題を本ブログで取り上げた際、沖縄の問題について、現実的な対応は自民党政権時代の案しかないだろうと書いたことがあります。その背景には、米国のサポート無しで中国に対抗し続けることは難しいとの意識がありました。パターン1をとるなら、沖縄で現実路線を取るしかないだろうというのが、私の感覚です。逆に、各種週刊誌報道が事実なら、小沢さんは、パターン2か3をとって、米国を捨てようとしているのだと思います。どちらが正しいか分かりませんが、米中2つを敵には回せないということは、否定し難いのではないでしょうか?
さて、今回の尖閣問題は、民主党代表選とその後の内閣改造の最中に起きました。また、その過程で対応の要である外務大臣も岡田さんから前原さんに交代しました。そうした中で、真剣にこの問題に取り組む余裕が無く、「テキトー」にやっていたら失敗したということが事実に近いのではないか、と推測しています。
政権党において、総理・党首が辞任に追い込まれるような事態を除き代表選挙などするな、というのが重要な教訓と思います。党首を選び、選挙に勝ち、総理になり、その次の総選挙までその総理・党首が引っ張るということはとても自然であり、英独などではそうした運営がなされています。国民が「4年」の覚悟を持って選挙し、党員が「助走期間+4年」の覚悟を持って党首選挙を行うことが、今回のような穴を生じさせないためにも大事な規律と思います。
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3 comments on “Vol.58: 尖閣問題”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
尖閣諸島・・
その分析は・・こちらサイド・・
あちらサイドの分析こそ・・必要・・
だから
その自問自答は・・つまらない・・
夜の山道を・・走らせていると・・
狸・・小鹿・・アライグマ・・狐・・
御遺骸が・・
流石・・猪・・熊・・見かけない・・・
ちょっと違和感を感じたのでコメントさせて頂きます。
米国か中国か、という場合に日本からの視点で語られていると思いますが、現実には米国と中国の微妙な関係(ある時には対立、ある時には協力)という状況も無視し得ないのではないでしょうか。というより、日本からの視点を中心に考えるには危うさを感じます。
今回の選択肢の整理はその通りだと思いますが、プレイヤーたる中国・米国の思考と国益を考慮して対策は行われるべきかと思います。
蛇足かもしれませんが、個人的には中国が事実上の武力行使を行える環境があるとまでは認識していないので、日本としては実効支配の強化を行う(観測・調査の実施や簡易なインフラ整備(但し自衛隊関連は回避))ことにより、一時的な反発は強まっても、中国からのカードを切るのを見極めて対応することにより、米国や周辺国を巻き込んで交渉することができるのではないでしょうか。
故事でいえば、まさに合従連衡の状況であり、単独の妥協は日本を亡国に導くように思います。
ここ10数年で、いつの間にか都内には、アジア系の外国人が増えた気がします。
観光とかではなく、いつの間にか町の一角に漢字ばかりの店が増え、チャイナタウン化・・・
近頃住宅地の我が家の近所にも、中国語の塾が・・・そういえばいつの間にか、商店街で外国語を話すアジア系の人が増えた・・・
基地の付近以外で、アメリカ人がいつの間にか増えているなんてことは、日本人は経験していないと思います。
どちらの国とどう付き合っていくか・・・政治家の方には足元もよく見ていただかないと、たいへんなことに、なるかも???
あ、でも、私、中国の歴史題材にした小説とかは好きなので、べつに中国キライでないです。