プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/03/12 00:00  | by Konan |  コメント(1)

Vol.131: 大震災1年


あの大震災から1年。亡くなられた多くの方のご冥福をお祈りするとともに、被害に合われた方やご遺族の方が一刻も早く平常に戻られることを、合わせてお祈りします。

自分自身、その後東北に足を運んだことがなく、仕事でも震災復興に殆ど関与せず、精々寄付を行い、東北の産品を買う程度の1年でした。ぐっちーのように東北の復興支援に真剣に取り組む姿には本当に頭が下がります。また、現地の方々が辛さに耐えながら復旧に取り組まれる姿、あるいは東北地区の工場が奇跡のように生産回復を実現したことなど、本当にすごい、素晴らしいことと思います。

大震災は多くの意味で我々の価値観を試しています。例えば、二重ローン問題に示される「どこまで支援しどこからが自己負担か」という問題です。以前本件についてこのブログで書いた後も、自分自身の思考は進展しません。同様にぐっちーが最近のメルマガで書いたがれき処理、すなわち負担をどう分かち合うかという点も極めて難しい問題です(因みに自分の感覚はぐっちーと全く同じです)。

次に「復旧か復興・再生か」という問題。元の姿に戻ることと、地域がマクロ的な意味で経済の活力を取り戻すことは似て非なることです。経済合理性を考えると、復旧ではなく復興・再生を目指し新たな視点で造り直す方が適切なケースも、少なくないかもしれません。しかし、これが地元の方の気持ちにそぐわないケースも多々あり得ます。本当に難しい問題です。

そして原発が突き付ける問題。原発無しで本当に日本が成り立っていくのか、原発依存度を下げていく現実的なパスを描けるかなど、私は保守的に考え勝ちです。しかし、世界的にみても原発忌避の価値観が広がりをみせていることも事実です。

さらには、いつか必ずやってくる首都圏直下型地震の問題。想定震度が震度6強から震度7に引き上げられましたが、絶対に避けて通れない問題であるにもかかわらず、官民含めその備えは十分とは思えません。大災害の備えを進めることには、戦時体制下のような私権制約への踏み込みが必要で(端的には、震災に弱い古い木造住宅の強制建て替えを求めることができるのかといった問題)、しかし戦後の優しい民主主義国家体制の中で、そうしたことを思い切って進めていくことが難しいということかもしれません。

今回はここで止めます。ぐっちーのように直接的な貢献をしてこなかった人間が何を言っても無力なので。

メルマガ「新・CRUのひとり言」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

One comment on “Vol.131: 大震災1年
  1. ペルドン より
    一年

    では僕もコメントを控えます・・・

コメントを書く

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。