2010/07/12 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.44: 景気点描
今回はとても簡単に景気の話しを取り上げようと思います。
景気については、強気、弱気両方の見方が交錯しつつ、また、強弱両方の材料が混ざりつつ、リーマンショック後の最悪の時期との比較では改善しているが、力強さに欠ける展開が続いていると思います。
強い材料の中心は新興国経済の順調な成長。これに牽引される形で、日本についても輸出、生産が回復基調にあり、政府や日銀の見方も強気化しています。ただ、この点に落とし穴があり得ることは、Vol.32で指摘したところです。なお、中国では労働力不足問題が次第に深刻化しており、この点にも注目が必要です。
弱い材料はぐっちーが頻繁に提供してくれる米国ネタに加え、やはり欧州でしょう。ギリシア問題を契機としたユーロの混乱については、至る所で取り上げられています(ただし、ユーロ安がドイツをはじめとするユーロ地域の輸出競争力を引き上げるメカニズムは無視できないとも思います)。もうひとつ重要なポイントは、欧州の金融システム問題です。日本では余り報道されませんが、欧州では、米国が昨年初に行ったのと同様、金融機関のストレステストを実施中で、今月23日にその結果が公表されます。米国のストレステストは、当初「眉唾」との捉え方が多く、厳しく批判されましたが、結果的には、これを契機に米国の投資銀行や一部商業銀行の信認が回復したことも事実です。欧州も同じことを狙っている訳です。
しかし、個別行まで踏み込んだテストの結果がどこまで開示されるのか、テストのシナリオが実体経済の悪化や最近のソブリンリスク問題などどこまでカバーしているのか、シナリオ設定が十分保守的と受け止められるのか、結果的に資本不足となった先に公的資本注入が行われるのかなど、不透明な状況です。
また、先般のトロントサミットでは、11月のソウルサミットに向け、自己資本比率規制強化案について最終決着を図っていく方針が確認されました。今月から11月にかけ、その面でもまさに正念場となります。この結果次第では、日米その他地域においても、金融機関経営に大きな影響が及ぶ可能性がありますし、それが経済の回復基調にどう影響するか、非常に重要なポイントになります。まして、PIIGSにカウントされる国々を多くかかえ、かつこれまで米系に比べ証券化商品等の損失処理が遅れていると言われてきた欧州系金融機関、ひいては欧州経済にとって重要な問題です。
今後、欧州でのストレステスト結果、そして11月にかけての規制に関するの議論の行方に、注目して欲しいと思います。
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One comment on “Vol.44: 景気点描”
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テストは難しいものだ・・
受かった者も滑った者も・・如何に難しかったか・・強調する・・
萎れてたワタクシに・・教授は申された・・
テストの本質は・・あの時も今も未来も・・変わらない・・
ストレステストは・・エイズ検査か・?・・
陰性・・ならば・・神と国の祝福・・を受け・・励める・・
その前に・・
ストレステストが・・紛い物ではないか・・品質テストが必要・・
品質テスト・・国際基準に合格しても・・テストにカンニングは・・付物・・
受験生が・・純真なお坊ちゃま・お嬢ちゃま・・じゃ無い事は確かなのだから・・監督官も・・・