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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/05/31 00:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.38: 普天間問題


今回は別の原稿を用意していたのですが、普天間問題の展開が余りにひどいので、予定を変更してこちらを取り上げます。既にいろいろなところで論評されており、余り付加価値もありませんが、お付き合い頂ければ。

本件、仮に政権発足当時、参議院でも社民党抜きで過半数を得ていたとすれば、大分展開は違ったはずで、その意味では鳩山政権にとって不運だった面もあります。連立と言っても、本件に関する社民党の政策のように、本音では許容範囲を超えたものまで抱きかかえてしまうと、上手くいかないという典型例かもしれません。

話しは脱線しますが、前回のブログのコメントで、英国における価値観の差の縮小を指摘頂きました。英国においては、とくに経済政策の面で、1990年代以降2つの「事件」があり、保守、労働の差がご指摘のように縮まりました。1つは1990年、当時人気絶頂だったサッチャー首相の支持率急低下、そして退陣のきっかけとなった「人頭税」問題。ある家計への課税を資産ベースから家計に属する人数ベースに変更しようとしたことが国民の大反発を招きました。要は金持ちも貧乏人も同じ課税になる(子沢山の貧しい家計が最も課税されることになる)政策は、自由を求める保守党の支持層を含め、英国人の許容範囲を超えてしまった訳です。2つ目はブレア元首相の政策。労働党と言えども経済活性化のため保守党的政策を維持せざるを得なかったことを意味します。結局、余りに自由な政策も余りに保護的な政策も選択肢から除かれ、中間的な政策のみが生き残ったことになります。このように価値観の違いが縮まれば、連立が上手くいく可能性も高まります。しかし、日本において、民主党と社民党との連立は土台無理があったと感じます。

さて、そのうえで本件について2つ述べたいと思います(なお、2月8日のVol.22で外交防衛問題を採り上げていますので、お時間があればそちらもご覧下さい)。

第1に、手続き論の問題として、外交に関わる事項を相手国の了解を得る確信も無く勝手に公約に盛り込むことは非常識であること。前政権の下での合意の修正を米国と協議するということは公約に書けますが(単に頑張ると言うことなので)、「修正する」と書くことはそもそもあり得ない話しです。そこを無防備にも越えてしまったことは間違いと言わざるを得ません。

第2は内容の問題。端的に言えば、北朝鮮、あるいは中国を現実の脅威と感じるかどうか。感じないとすれば、現政権の努力は相応に評価されるべきである一方、感じるとすれば、この点でも無謀だったということになります。もっと言えば、仮に北朝鮮が現実の脅威であるとして、自衛隊だけで防ぐことができるかどうかが、極めて重要な論点になります。この点について、官の私を含め、確かなことを国民は知らされていません。無論、「防げない」と公言すること自体リスクを高めるので、知らされないこと自体はやむをえないことかもしれません。しかし、北朝鮮の脅威が現実的か、自衛隊だけで防げるか、そもそも在日米軍は何のため沖縄にいるのか、そうした基本的な認識無しに鳩山首相が初期動作を行い、そして挫折したのだとしたら、余りに酷いと言うしかありません。

政権選択は外交防衛問題だけで行われるものではなく、他の分野の政策で民主が自民に劣ると言う積もりもありません。ただ、この分野に限っては、現政権の能力はかなり劣悪と評価せざるを得ないようです。

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2 comments on “Vol.38: 普天間問題
  1. ぺルドン より:
    漱石

    その余りにも酷い・・
    が行われ・・
    御本人は・・歴代の自民首相でさえ・・言わない・・勇ましいお言葉を・・お邪魔した・・韓国で述べられた・・

    北と限定しても・・
    わが国は防衛出来るか?
    出来えない・・北の長距離ミサイルを・・撃破出来ない・・日本海沿岸には・・原発が団子のように・・並んでいる・・
    更に
    北は核を開発したとか・・
    この時点で・・
    「様」
    を付けて呼ばねばならなくなった・・
    米の戦略は代わった・・グアムまで引き下がる・・

    中国も弱点がある。
    一人っ子政策が根を下ろし・・名高い人海戦術を取れない・・取れば・・小皇帝を持つ親達が・・叛乱を起こすだろう・・

    人件費が安価で・・飢えた・・北が主導権を握っている・・朝鮮半島の大皇帝だ・・

    衆参の一票に・・色は附いていない・・
    民主党に出来る最善の道は・・ハト様の退位・・以外ない・・こちらは小皇帝だ・・何とかなるか・・??・・核も持ってないし・・ハトはもう飛べない・・・

  2. st より:
    元の木阿弥

    普天間問題は元の木阿弥になりました、鳩山の頭に米国が全く付いて来れなかった、オバマやキャンベルやルース大使の形相を見ても分かります、米国は日本の思いやり予算や基地使用を手放すなんて悪夢なんでしょう、絶対に譲れなかったんでしょう、鳩山の考えは時期尚早だったのかも知れません、日米共同声明が出たとは言え、まだまだ予断は許されないでしょうから、見守って行きたいと思います。

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