2010/04/19 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.32: 新興国と先進国の景気格差問題
今回は、景気について採り上げます。年初特集で今年の見通し(本命=冴えない動きが続く)をお伝えしましたし、5月初には恒例として日銀の展望レポートについて採り上げようとも思っていますので、今回は最近気になることに絞ろうと思います。
景気は、年初見通し通り、冴えない動きが続いています。予想対比どんどん良くなる、あるいは悪くなる状況にはなく、不確実性が強い中、のろのろ進んでいる感じでしょうか。その中で、ギリシア問題をきっかけに欧州景気やユーロへの注目が一段と高まったことが最近の変化ですが、この点は次回のブログで取り上げたいと思います。
最近気になることというのは、新興国と先進国の間の景気の格差から生じる、政策運営上の問題です。前橋さんのブログでよく分かるように、例えばオーストラリアでは利上げが連続して行われています。他の新興国でも同様の動きが広がりつつあります。他方、先進国は、まだまだ「出口戦略」には遠い状況です。新興国が利上げに動いているのは、リーマン破綻後の景気悪化期に、先進国と歩調を合わせる形で金融、財政政策を緩和したところ、元々経済の潜在成長力が強かったこと、あるいは欧米のようなバブル崩壊の影響が限定的であったことから、政策効果が強く発揮され、V字的に景気が回復し、インフレ懸念も出ているからです。
しかし、新興国が利上げを行うと、そうした国の通貨の魅力は益々高まり、海外からの資金流入が一段と強まる可能性が出てきます。そうなると、新興国の景気が一段と良くなり、場合によりバブルのような問題が生じる恐れも出てきます。そして、先進国経済が離陸する前にそれが崩壊してしまうと、世界経済は再び大変な事態に直面してしまいます。世界経済は、マクロ経済政策の運営上、こうした大変難しい問題を抱えている訳です。
新興国では、例えばLTV(loan to value)規制のような形で、バブルの元凶になりやすい不動産向け融資の増加を防ぐなど、金融政策以外の手段も含め景気の行き過ぎを抑えるよう努めています。ちなみにLTV規制とは、不動産価格の一定限度までしか貸出を行ってはならないという規制で、かつての日本の3業種規制や窓口規制を思い出します。
こうした政策が有効に機能することを期待しますが、「新興国景気の一段の好転=世界経済にとって無条件に良いこと」と必ずしも単純に言い切れない点、頭の片隅にとどめておいて頂ければと思います。
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One comment on “Vol.32: 新興国と先進国の景気格差問題”
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「頭の片隅に留めて」
それが多すぎるのです・・既におつむは・・片隅の連中が・・すし詰め・・ラッシュアワーの通勤電車・・並・・
経済だけではない・・他の分野も・・百円ショップの・・ネェちゃんも・・と際限なく広がり・・新入りが入る度に・・古顔が消えていく・・
逆療法もあるのだから・・我国も利上げを・・山河のみになるか・・
蝶よ花よ・・蜻蛉よと・・育てられたお方が宰相で・・片隅・・六月になっても・・辞めない・・片隅・・
経済は財布の中身しか知らない方が・・財務大臣で・・片隅・・
とかく片隅が多すぎる・・これも片隅・・
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