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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/04/12 00:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.31: 共通番号制度


今回は、「共通番号制度」について採り上げます。自民党政権時代何度も浮上した「国民総背番号制度」は、「プライバシーの侵害だ」というマスコミ報道の壁の前に敗れ去って来ました。その政策が、菅副総理のように市民運動家出身の方が中核におられる政権の下で実現に向け動いていることは、ある種の驚きです。その背景等に触れようと思います。

なお、私の立場をはじめに明確にしておくと、本件には賛成です。そもそも、過去の「プライバシー侵害」という批判は、結局のところ「脱税できなくなるので困る」ということを、綺麗に言い換えたに過ぎません。制度において情報セキュリティに万全を尽くすことは当然不可欠ですが、財政危機の国において、税の捕捉を強めることは当然と考えています。さらに言えば、所得に見合った税金を払うという大前提の下で、税金の使い道を真剣に考える、あるいは、寄付のような形で個人の意思でお金を回していく仕組みを強めることが、正論とも思います。

さて、民主党政権が共通番号制度を導入しようとしている背景は、子供手当、年金などの政策において、政権が(コンクリートではなく)個々人へのきめ細かい支出の実現を大切に思っていることにあります。このような広い意味での社会保障政策を実施に移す場合、よく問題視されるのは、「金持ちにも年金を払うのか、子供手当を渡すのか」という点です。ただ、現実には、所得を把握しそれとリンクさせる形で子供手当を支給するには、大変なコストがかかり、結局現政権もそれを断念しています。この実現には、社会保障に関する施策を管理するデータベースと、所得(=税)を管理するデータベースを同じものとする、ないしリンクさせる必要があります。そして、住民基本台帳の番号を仲介としながら、そうしたリンクを作り上げることが考えられている訳です。それが実現できれば、真にお金が必要な人に限り社会保障が行われる仕組みが整うことになります。

また、例えば源泉分離課税されない(金融や不動産関連の)取引がある場合、その取引に共通番号の使用を必要条件とすれば、トータルな所得も把握しやすくなり、課税の公平性も高まります。

無論、仮に共通番号制度が導入されたとしても、サラリーマン、個人事業主、農家の所得把握面での差が消滅する訳ではありませんし、制度には必ず「抜け穴」が存在し、所得把握を潜り抜ける動きは防ぎ得ないと思います。ただ、上記の観点からこの制度が不可欠になる訳です。

ところで、蛇足をひとつ。今、配偶者がパートで年数十万円の所得を得ていても、配偶者控除が受けられます。仮に所得が150万円に増えたとき、それが捕捉されるか(すなわち控除が受けられなくなるか?)。自信はありませんが、今の仕組みでは悉皆的にそうした脱法行為が発見される訳ではない印象があります。共通番号の運用によっては、そうした行為がすぐに発見され、控除が受けられなくなると思います。そうなると、「どうせ控除が受けられないなら、法律上の夫婦である必要はない」という方向に作用し、事実上「夫婦別姓」と同じ効果を持つ可能性があります。以前のブログで、私は夫婦別姓に賛成である旨仄めかしましたが(夫婦別姓は共通番号以上に実現のハードルは高そうですが)、無関係に見える政権の政策の間に、意外な共通点が見出せるかもしれません。

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2 comments on “Vol.31: 共通番号制度
  1. ぺルドン より:
    番号と姓

    コンピュターの発達と国民背番号は表裏一体・・国税庁の大いなる野心・・その内、我々は番号で呼ばれても・・抵抗がなくなるだろう・・問題は自分の番号を覚えられるか・・?・・
    あまりにも暗証番号が氾濫していて・・自信はない・・
    それに比べて
    夫婦別姓・・姓は女と生・・どうして男と生・・と父系社会でならなかったか・・??

    系図を開くと・・女性はただ「女」と記されてある・・大名家は知らないが・・
    母系社会が続いていたら・・男性は「男」と書かれてあるのだろう・・

    欧州ではそれぞれの家系の名前を男女とも連連と付けるのも珍しくない・・長い名前になる・・自分の名前を覚えきれない・・国民背番号と同じだ。

    アガメムノンは奥方に殺されたが・・古代ギリシャの法では無罪だった。
    理由・・赤の他人だから・・赤の他人なら・・双方殺意に及んでも罪はない・・

    やはり夫婦別姓は隠された古代の意識を開放しかねない・・
    だが
    浮気は気楽に出来そうだ・・その法律が効力を得れば・・きっと乱交時代が来るな・・そう信じよう・・賛成します・・・

  2. にゃん。 より:
    たぶん、たぶん。

    いつもいろいろ勉強させていただいてます。ありがとうございます。

    いままでなあなあでやってきた名簿を電子データ化するというのは、半端でない苦労が伴うものですが・・・社保庁もやったし、住基ネットあるし・・やってやれなくはないのですかね。人為的ミスが多そうで、怖いですけども。
    そのうち、その番号がないとその土地にも住めないし、ものも買えなくなるのでは・・・と、庶民は怯えるものなのです。
    海外からの不法侵入者とかどうなるですかね?
    あと、お金持ちが外国へ移住するときには高い税金をかけるとか?(本当にありそうで怖いですね(笑))

    完璧な管理をしようとすると、かならずひずみが出るものだと、、、
    国内の管理も悪くないでしょうが、もっと外から稼いでくる方法を民主党には考えていただきたいです。

    でもおっしゃるような流れですと、ますます女性の社会進出が進んで・・・進まざるえないですから・・・いまの社会の問題がそのままだと、少子高齢に拍車かかると庶民的には感じます。

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