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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/02/15 00:00  | by Konan |  コメント(0)

Vol.23: 鳩山vs.麻生


新年特集も終わり、今回は普段より短く、政治に関し気になることを記そうと思います。テーマは、鳩山総理と麻生前総理の「人気」の比較です。鳩山さんへの支持率は急低下していますが、それでも政権末期の麻生さんに比べれば随分マシです。なぜなのでしょうか?

麻生さんの場合、安倍、福田と政権を放棄した内閣が続き、かつリーマンショックの影響で景気も急速に悪化する中、「もう自民党は嫌」という雰囲気が強まったことが不人気の大きな背景にあります。ただ、それ以上に、「漢字が読めない」「失言が多い」という政治家や総理としての資質を疑わせる事件が相次いだことが響いたと思います。

さて、恐らく鳩山さんの方が漢字には強いのでしょうが、それはさて置き、「失言」については鳩山さんの方がむしろひどいかもしれません。典型例を2つ挙げれば、オバマ大統領に対するtrust me発言と、小沢さんに関するどうぞ戦ってください発言です。麻生さんの失言は彼の品格に関わるものでしたが、鳩山さんの失言は、国家統治の根幹に関わる面での失言であり、その方がより深刻と思います。最大の同盟国に対する首相の発言の重み、また、内閣・行政の長としての発言の重みが全く分かっていない、野党時代の意識のままの発言とも言えます。

気になることと冒頭書いたのは、その割に、「麻生さんより鳩山さんの方がひどいね」という話しになかなかならないことです。その背景に、マスコミの報道姿勢があるのではないかと感じています。かねてより懇意のマスコミの方たちと話していると、「我々は長い間じっと政権交代を待っていた。ようやく実現した政権交代をすぐ壊したくないという気持ちがどうしても出てしまう。新政権に甘くなってしまう」と言われます。偶然の一致かもしれませんし、これが全てと断じるには根拠不足ですが、新旧総理の人気の差の無視し得ない理由ではないかと感じています(もうひとつの理由は、麻生さんの失言の方が分かりやすい、ワイドショーでも取り上げやすいものだったということかもしれません)。

話しは以上ですが、更に考えてみると、麻生さんの失言は、官ではコントロールできない領域(彼の個性の領域)でのものです。他方、鳩山さんの失言は、統治・行政そのものの領域での失言です。通常であれば、後者は大変まずいので、官がそれをいさめ、正すことになるのですが、何となくそういう気力が出てこないというのも正直なところです。副大臣、政務官が、従来官が担ってきた役割を果たすようになる中、政治主導は現実に進んでいます。本来それを支えるべきですが、どこかに「政治主導なら、自分で考え、自ら責任をとってね」という冷めた気持ちが膨らんでいるのかもしれません。政と官の関係作りは、やはり容易ではないということでしょうか。

なお、新年特集の1回目で、参議院選挙に関し、民主党は社民党抜きの連立で過半数を目指すだろうと書きましたが、その後、自民党を離党した田村議員(とてもユニークな先生です)が民主党に入党したことにより、既にその状態が確保されました。基地問題に大きな影響があると思います。自民から民主に1人鞍替えするとこうなってしまうという大変基本的なことに気付かずに、今年最初のブログを書いたこと、反省しています(大筋は外していなかったことが救いですが)。

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