2011/10/10 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.109: 人口成長と経済成長
今回は、8月2日に日銀が公表した「人口成長と経済成長:経済成長理論からのレッスン」という論文を紹介します。調査統計局の平田渉さんという方が執筆者です。
日銀の調査物や論文は学術的なものから実務的なものまで多岐にわたります。日銀の政策意図が反映したものか、単に執筆者の趣味なのか判然としないケースも多いですが、日銀の経費を用いHPに掲載している以上、一応日銀として許容範囲のものが掲載されていると理解しています。私もブログのネタに困ると、これまでも日銀の調査物の紹介を行ってきた経緯があります。
さて、この論文の目的は「人口減少がわが国経済にもたらすインパクトをうらなうため、人口問題を扱った経済成長理論をサーベイし、その含意を紹介する」こととされています。そして、「人口減少が経済成長率に与える影響を正確に評価するためには、労働供給面への直接的な影響だけではなく、人口一人あたり実質GDPの成長率、すなわち、労働生産性の伸び率に対する影響を適切に評価することが、重要である」とされています。なお、現在の経済成長理論では例えば少子高齢化に伴う需要構造の変化の影響が十分勘案されていないとの限界も認識されています。
基礎として、この一人あたり実質GDP成長率は、技術進歩率および資本深化(一人あたりの資本が蓄積されること)のスピードに依存すると整理します。そして、このうち資本深化に関し「(人口が減少すると)一人あたりが利用できる資本が増えることを通じて、一人あたり実質GDPが上押しされる」と強調する理論が多いと指摘します。ただ、この前提として「生産要素市場におけるスムースな調整」が必要と指摘し、日本経済に関しやや弱気な見方を示しています。
次に技術進歩率については、人口減少により弱まるとの見方を紹介しています。直観的には研究開発には人が必要で、人が減るとイノベーションが停滞するという訳です。ただ、技術は国境を超えること(輸入できること)、研究開発促進政策に何がしか効果が期待できることから、この面ではあまり悲観的ならない方が良いと考えているようです。
以上を踏まえ、人口減少下でわが国の経済成長を維持・向上させるためには、生産要素市場の健全な機能、すなわち資本・労働市場の機能向上が必要としています。具体的には女性や高齢者の労働力としての取り込みの重要性が指摘されています。次に、イノベーションの観点から、教育など人的資本への投資拡大、優秀な技術者の招聘、イノベーションが進む世界への日本企業の積極的な進出が重要としています。
当たり前の結論とも思いますが、いかがですか?
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One comment on “Vol.109: 人口成長と経済成長”
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北欧諸国・・
人口・・我が国の大都市以下・・
にも関わらず・・
謳歌している・・
人口の増大・・国力を増す・・巨艦万能主義時代の・・残滓・・
今は・・無人機が・・戦闘ロボットも・・顔を利かせ始めている・・
ロボットが・・人間に近づき始めた・・
今は・・日本では・・主力が看護補助にしろ・・技術の進歩は・・欲望は・・限りなく人間ににじり寄らせる・・
ダッチワイフも・・ダッチハズバンドも・・
日常生活の時代も・・遠くないか・・
人間とロボットの恋を・・目の当たりに見たくないが・・
人口増加に頼っていては・・食糧問題も考えず・・その日が遠のくのは・・残念なことだ・・・