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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/10/03 00:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.108: Japanisation


今回は最近欧米の報道でみかけるJapanisationという言葉について触れたいと思います。使い手によりニュアンスが異なるかもしれませんが、要は1990年代のバブル崩壊後、全く冴えない状況が20年間続いている日本と現在の欧米を比べ、欧米も日本のようになってしまうリスクがある、あるいは既に日本と同じ道を歩み始めたのではないかと警鐘を鳴らす言葉として使われています。
私はJapanisation論は半分正しく半分誤りと思っています。リーマンショック後の国際金融危機で起きたことは、2000年代半ばにかけて積み上がった信用膨張の崩壊です。日本のバブルも凄まじいものでしたが、対GDP比の信用の膨張度合いは、90年代の日本と数年前の欧米との間でそう違いはありません。日本のバブルを体験された方は、「あの時と同じマグニチュードで調整が起きている」と理解される方が、物事を見誤らないで済むと思います。
他方、それでも欧米の方が日本よりマシと思う面もあります。日本経済の難しさは、バブル崩壊とほぼ軌を一にして、労働人口や労働時間の減少が始まったことです。人口減少はよく意識されますが、週休2日制の普及に象徴されるように労働時間もかなり減少しています。これを生産性の上昇や資本蓄積で補おうとしてきた訳ですが、残念ながら潜在成長率はバブル前の5%から1%前後に低下しました。

他方、欧米の場合まだ人口減少に悩むフェーズではなく、移民の受け入れ、あるいはEU加盟国の拡大等により、日本のような問題は目先心配不要です。ギリシアの公務員に象徴されるように欧州にはまだまだ非効率さを改善する余地(すなわち生産性を上げる余地)もあります。こうした点では、日本ほど酷い20年にならずに済むとの期待も持てます。

ところで、先々の経済を占ううえでは、各種金融経済指標の中でも長期金利の動きに要注目です。先々の経済が低成長・デフレに陥るとの予想が強まると、長期金利が低下します。米国10年金利が2%前後という事態は少し前には想像もできませんでしたが、これは要は3%台はあると思われていた米国の潜在成長率が2%程度に落ち込み、かつ物価もほとんど上がらないとの予想の広がりを意味します(無論、flight to qualityにより、あるべき水準より実際の金利が低過ぎる面もありますが)。私の見方が楽観的過ぎるという警告なのかもしれません。米国の長期金利の動向には今後も注意したいと思います。

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2 comments on “Vol.108: Japanisation
  1. ベルドン より
    Japonism

    Japanisation
    の前に・・ジャポニズムがあった・・
    浮世絵を筆頭に・・
    欧州の美に与えた影響は・・大きい・・
    大きい・・といえば・・
    枕絵は・・非常な衝撃を与えた・・与えたはずである・・
    と同様に・・
    Japanisationも・・自虐的な意識が・・膨張し・・誤解を招いているのだろう・・
    三十年後の経済を・・
    正確に・・予測出来るJapannistはいない・・・

  2. 匿名希望 より
    今の不況は、需要<<供給が原因では?

    今の不況って、IT革命・技術進歩による大幅な生産性UPに伴い、需要<<供給(少人数で大量供給可能)、となってしまい、余剰資本を投入する産業が無いのが諸悪の根源なのでは?

    だから、単純解決策は以下のどっちか
    ・需要を世界的に増やす
    ・供給を世界的に減らす

    後者アプローチで、供給過多の国を潰すってのが現実的では?

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