2011/08/29 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.103: 通貨と国債の問題(3)
最初の問いは「震災復興の財源を税と国債のどちらに求めるか」です。この点について、ぐっちーは「増税は馬鹿げている」と主張していますが、どうでしょうか?
次に、「日本国債は大丈夫か?」という大きな問いになります。この問いに答える前に、「大丈夫」とは何を意味するか、確認しておく必要があります。税収が不足する財政状況を考えると、国債の満期が到来し償還が行われる際、借換国債を発行し資金を調達しない限り、償還資金を賄うことができません。国債保有者は「既発債のかわりに借換債を改めて引き受けるか」それとも「現金で償還を受けるか」選択を迫られる訳です。「国債が大丈夫でない」場合、何が起きるでしょうか?
現金も国債も煎じ詰めれば国の信用を背景にしており、本来同じ信用度を持つはずです。違いは、現金の名目的な価値は変わらないが、国債は価格変動リスクを持つということです。例えば1億円の札束は、物価変動に伴い実質的な価値は上下しますが、名目の「1億円」という価値は動きません。他方、国債は金利の上下に伴い1億円の券面の名目価値が上下します。「国債は嫌。現金が欲しい」という方は、結局のところ金利上昇に伴う国債の価格下落リスクを避けたいと考えている訳です。
金利は単純に言えば「実質期待成長率+期待インフレ率+リスクプレミアム」に分解されます。日本の場合、成長期待が高まることは残念ながらありません。リスクプレミアムの点は次週触れる「日本や円そのものの信認」にかかわる問題です。そうなると「インフレが生じる」と信じる人が、国債の借換えに応じないということになります。
日本のように実質の成長率が極めて低い状況でインフレの状況を思い描くことは簡単ではありません(現にデフレが問題になっている訳です)。そのうえで、インフレのケースを考えるとすれば、日銀が金融政策を誤るか、急激な円安が進み輸入物価が急上昇するか、いずれかのケースが考えられると思います。日銀のことをとりあえず忘れると、結局「円安=円が売られる」ケースに収れんしてきます。
このシリーズの最後の論点として「円の信認」の問題を次回取り上げます。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “Vol.103: 通貨と国債の問題(3)”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
円高国益論・・
ぐっちーの擁護であり・・常識論であります・・
その常識が・・常識とならない・・我が国であります・・・