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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/08/15 00:00  | by Konan |  コメント(1)

Vol.101:国債と通貨の問題(1)


このところ、欧州、米国、日本と国債や通貨を巡る問題が噴出しています。GUCCI POSTでも、ぐっちーや前橋さんが適時適切な解説を行っています。私も、何回かに分けて、この問題の考え方を整理してみたいと思います。

今回は、米国と日本に焦点を当てます。両国に共通するのは、議会・国会の混乱の中、国の債務返済能力という根源的な問題と言うより、技術的にデフォルトが生じかけたという点にあります。

米国の債務上限の話しは、結局ぐっちーの予想通り直前に妥協が成立しました。また、日本でも、菅総理退陣のお膳立ての一環として、特例公債法の成立で与野党の合意がなされました。この特例公債法の問題は煎じ詰めれば米国の債務上限と同じ問題です。この法律が通らない限り、赤字国債が発行できなくなり、新規赤字国債発行により得た資金を既存の国債の償還や利払いに充てることができず、デフォルトが生じてしまいます。日本の予算上、税収は歳入の半分程度。残りの多くを国債発行に依存していることにより生じる問題です。

(なお、短期国債(FB)の発行により短期のつなぎ資金を確保し償還財源に充てることもできますが、FBの発行上限が予算で定められているため、引き上げができなければ、どこかのタイミングでデフォルトが生じてしまいます。ただ、予算は衆院優先なので、与党が分裂さえしなければ、FBの発行枠を増やして資金繰りをつなぐこともできたのかもしれません(年度末を跨ぐ時期までは)。もしこのブログの読者に財務省主計・理財分野に詳しい方がいれば、このかっこ内が正確かどうか、是非コメント下さい。)

さて、こうしたデフォルトは、国の根源的な返済能力の問題に起因する訳ではないので、大した話しではないと割り切ることが可能です。なぜなら、「少し遅れるとしても、政治が妥協し問題が解決されれば、償還が行われる。それまでの間、国債を保有し続け、仮に資金が必要であれば、国債を売却したり、担保として資金を借りることができれば良い」と国債の保有者が思い、また市場関係者や中銀が同様に考えて国債の買入れや国債担保貸付けに応じることにより、資金が円滑に循環するからです。万一民間市場関係者の中に、疑いを持って買入れや貸付けに応じないものが出てきたとしても、金利上昇という問題は生じますが、最終的には中銀が面倒をみることで、少なくとも資金のアベイラビリティは確保されます。中銀は政府を決して裏切ることが出来ない存在だからです。

その意味で、米国の債務上限を巡る報道は行き過ぎだったと言うこともできます。しかし、だからといって米国や日本の信認が安泰と言い切ることもできません。実際、「米国格下げ以降の市場の混乱をみると、このように単純な問題ではないはず」と感じられる方も少なくないと思います。次回はこの問題に触れたいと思います。

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One comment on “Vol.101:国債と通貨の問題(1)
  1. ベルドン より
    問題

    人間の心理が・・一番の問題なのでしょう・・・

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