プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/03/10 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.268: 小噺・不確実性のトリセツ⁈


また目の状況がすぐれず休載しようとも考えましたが、手短に。世界が直面する「不確実性」について。

2000年代以降を振り返ると、不確実性が急激に高まった事例として思い出されるのは国際金融危機(いわゆるリーマン危機)です。その経緯はさて置き、対処法は、バーゼル3を通じて金融機関の資本と流動性の増強を図るという直接的な対応と、証券化商品やデリバティブ取引に関する市場の不透明性の解消の組み合わせでした。「実弾」+「情報」がカギだったと言えそうです。

次に世界を襲った大きな不確実性はコロナ禍。今となってはどうしてこれが収束したのか判然としない面がありますが、ウィルス自体の弱毒化、ワクチン、(初期段階での)ロックダウンやマスク・手洗いの励行などの対処法の一般化、などの組み合わせでしょうか。この中では、弱毒化やワクチン(懐疑論者がいることは承知していますが、ここではその点は争わないことにします)などの実体的な変化に加え、コロナ禍に関する情報が浸透・定着し「正しく恐れる」行動に変化したことが、収束が経済活動回復に結び付くカギを握ったと思います。米欧に比べ日中では経済活動再開が遅れましたが、情報の扱いが定まるのに時間を要したことが差を生んだ背景と思います。

さて、今、トランプ政権の政策が世界に大きな不確実性を生んでいます。政権は一気に政策を進める方針のようなので、数か月のうちには不確実性が晴れるのかもしれません。また「選挙公約がすべて実施される」と思っておけば、不確実性はそもそも無いのかもしれません。ただ、メキシコ・カナダ関税のように短期間で揺り戻しが起きるケースもあり、ウクライナ政策のようにレトリックはあっても具体的な道筋が見えないこともあるので、そう単純にはいかないと思います。

因みに、以前も少し書きましたが、市場は「政策にいちいち反応する結果、変動が大きくなる」か、「いちいち織り込めないので織り込み不足のまま走り、情報が確定した段階で激しく動く」か、いずれかの反応になることが予想されます。

我々にできることは、様々な情報を集め分析し、最悪のケースを含めシナリオと対応策を用意し、対応策を実行するか否か即座に決断できる備えを持っておくことくらいでしょうか。

ただ、そうした中で重要性を増すのは良質な情報をどこまでつかみ取れるかです。手前味噌になりますが、Gucci Postは、米国の政治・外交・経済に関し元々JDさん、Saltさんという有能な書き手を抱えてました。それに奥山さん、峯村さんが加わったのですから鬼に金棒です。今後のお二人の展開を楽しみにしています。

今回はこの辺で。次週はまた休載するかもしれませんが、次々週は日銀金融政策決定会合をカバーします。

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