2025/02/03 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.265: IMF世界経済見通し+月例経済報告
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まちまち、かつ不確実
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世界経済見通しは年4回公表されます。4月と10月は分厚く本格的なもの、1月と7月は中間レビュー的なものです。今回1月号のタイトルはGlobal Growth: Divergent and Uncertain(世界成長:まちまち、かつ不確実)です。
今回は公表日が1月17日とトランプ大統領就任前だったことに意味があります。「見通しは公表日における政策を前提としている」旨明記されています。要は、トランプ政権の政策が実際にどうなるか分からないので、その点はベースライン見通しに反映させなかったということです。IMFも政治リスクを避けたと言うこともできます。
そのうえで、タイトルのうち「不確実」は、まさにトランプ政権の様々な政策(関税、移民、税制など)がどうなるか分からないこと、その影響も複雑であることを示します。ただ、「リスクは下方に傾く」と明記しています。
「まちまち」は、とくに米欧の差を反映しています。米国経済は上方修正され強く、欧州経済は下方修正され弱いということです。
主要な具体的な数字は以下の通りです。
・世界全体の実質経済成長見通しは、2024年+3.2%、2025年+3.3%(+0.1%上方修正)、2026年+3.3%(据え置き)。うち先進国はそれぞれ+1.7%、+1.9%、+1.8%で、2025年は+0.1%上方修正、2026年は据え置き。新興国・途上国はそれぞれ+4.2%、+4.2%、+4.3%で、2025年は据え置き、2026年は+0.1%上方修正です。
・米国は、2024年+2.8%、2025年+2.7%(+0.5%上方修正)、2026年+2.1%(+0.1%上方修正)。
・ユーロ圏は、2024年+0.8%、2025年+1.0%(-0.2%下方修正)、2026年+1.4%(-0.1%下方修正)。
・中国は、2024年+4.8%、2025年+4.6%(+0.1%上方修正)、2026年+4.5%(+0.4%上方修正)。
・日本は、2024年-0.2%、2025年+1.1%(据え置き)、2026年+0.8%(据え置き)。
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内閣府は判断維持
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内閣府の判断は、現状、先行きとも維持されました。
(現状)
・基調:景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している
・個人消費:一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:おおむね横ばいとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:おおむね横ばいとなっている
(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国経済における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、横ばいで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済の持ち直しが続く中で、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある
今回はこの辺で。
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