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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/01/27 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.264: 日銀利上げ


IMF世界経済見通しや内閣府月例経済は来週に後回しして、今回は2週連続で日銀について。23・24日に開催された金融政策決定会合を紹介します。利上げが決定され、政策金利は0.5%になりました。

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日銀の景気判断は不変
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今回のように展望レポートがある回(1月、4月、7月、10月)とない回(3月、6月、9月、12月)とでは分析の詳しさに違いがありますが、景気判断やリスク要因の指摘内容は前回から維持されました。

(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:横ばい圏内の動きとなっている

(先行き)
・海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる

(リスク要因)
・海外の経済・物価動向
・資源価格の動向
・企業の賃金・価格設定行動
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
・このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある

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物価見通しやや引き上げ
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展望レポートの中では、植田総裁を含む9人の政策委員会メンバーによる実質GDP・消費者物価指数の見通しが示されます。中央値(9人のうち上からみても下からみても5番目の数字)は以下の通りです。

文章的には「わが国の経済・物価は、これまで展望レポートで示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている」とされます。

(実質GDP)
2024年度+0.5%(前回+0.6%)、2025年度+1.1% (前回+1.1%)、2026年度+1.0% (前回+1.0%)

(消費者物価指数=除く生鮮食品)
2024年度+2.7%(前回+2.5%)、2025年度+2.4%(前回+1.9%)、2026年度+2.0% (前回+1.9%)

(消費者物価指数=除く生鮮食品・エネルギー)
2024年度+2.2%(前回+2.0%)、2025年度+2.1% (前回+1.9%)、2026年度+2.1% (前回+2.1%)

また、リスクバランスについては、経済の見通しは概ね上下にバランス、物価の見通しは2024年度と2025年度は上振れリスクの方が大きいと指摘します。

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利上げ決定
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上記の経済・物価見通しを補完する形で、「賃金面では、企業収益が改善傾向を続け、人手不足感が高まるもと、本年の春季労使交渉において、昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている」と指摘されます。

そして:

・2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。

・政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。

・今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。

と利上げの理由と今後の政策運営方針を説明します。

これに加えることは余りありませんが、あえて言えば:

・前回書いたように、私は今年2回の利上げを予想します。あと1回、7月頃でしょうか。

・12月の「ワンノッチ」発言は明らかに失言でした。その後の報道を見ると、植田総裁は「あと少し」との意図だったそうですが、市場は「次回利上げに距離がある」と受け止め、急激な円安化で反応しました。振り返ると、本当に余計な騒ぎでした。

・ただ、日銀のコミュニケーションについては、所詮どうやっても上手くいかないとも思います。話せば「リーク」と叩かれ、話さないと「不意打ち」と叩かれ、批判はフェアでありません。

・「まだ中立金利に達していないのだから、次のアクションも利上げ。タイミングはデータ次第。連続利上げも、ものすごく間隔が空くこともない」くらいに思っておけば良いと思います

今回はこの辺で。

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