2024/07/01 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.238: 月例経済報告+財務官
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景気基調判断維持
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内閣府の景気基調判断は、現状、先行きともにテクニカルな修正点を除き維持されました。テクニカルな修正とは、先行きに関し5月の「世界的な金融引締め」から「欧米における高い金利水準の継続」に変更されたことですが、これはECBが利下げに踏み切ったことを反映したものと思います。
(現状)
・基調:景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:持ち直しに足踏みがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:弱含んでいる
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:持ち直しの動きに足踏みがみられる
(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、弱含みで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済の持ち直しが続く中で、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある
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神田さん、お疲れ様!
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6月28日、財務省や金融庁などの幹部人事が公表されました。財務省は事務次官人事が最も注目されることが普通ですが、今回は為替介入の渦中にいる神田財務官の交代発表が話題になりました。
偶々、三村新財務官含め9代続けて財務官経験者と面識があり、それぞれの個性に魅了されます。神田さんは、神が教えを説くような話し振り、殆ど寝ないとの都市伝説を持つほどの仕事への没入が特徴だったと思います。三村さんは対照的にとてもスマートな方です。
歴代財務官と話して感じることが2つあります。1つは、為替介入は仕事の一部に過ぎないこと。例えば新興国・途上国の債務危機対応やその支援など、幅広い仕事を抱えます。もう1つは、介入額の多さを誇る方もいれば、介入を(殆ど)しなかったことを誇る方もいること。哲学・美学が個々人でかなり違う印象です。
財務官交代は7月31日と少し先で、まだまだ神田さんをテレビでみかけることもあると思います。3年間お疲れ様でした。
最後に、トランプ2.0下で為替相場がどうなるか、見方は二分されます。オーソドックスには、拡張的な財政政策がインフレ・金利高そしてドル高を呼ぶとの見方が多いと思いますが、中央銀行の独立性を損なう形でドル安を呼ぶとの見方もあります。三村新財務官の手腕に期待です。
今回はこの辺で。
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