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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2024/06/10 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.236: 小噺・日銀国債買入れ減額?


今週木曜・金曜日に開催される日銀金融政策決定会合で、国債買入れ額が減額されるのではないかとの見方が一部にあります。

5月末現在、日銀は597兆円の国債(うち長期国債593兆円)を保有しています。3月の政策変更の際、国債買入れに関して「これまでと概ね同程度の金額で長期国債の買入れを継続する」「足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく」とされました。

この6兆円、日銀保有国債の償還額にほぼ見合っています。つまり、償還と買入れが見合い、保有額が横這うわけです。ただし、報道によれば、今年後半から来年にかけて償還額が増えていくとみられます。そうなると6兆円では保有額が減ることになります。

実は日銀自身、4月に公表した展望レポートの、BOX6「国債買入れがイールドカーブに及ぼす影響」の中で、中央銀行による大規模な国債買入れが長期金利に影響を及ぼす経路に関し、「中央銀行が国債を大規模に保有することにより、市中のリスク配分に影響を与えることを通じて、様々な年限の金利を押し下げる経路であるストック効果」の持続性の大きさを指摘しています。

要は、今後償還額が増えるとすれば、わざわざ買入れ額を減らすという強いメッセージを出さなくても、日銀保有国債額が減っていくにつれて、金融引締め効果が出てくるわけです。

この点は米国のQTと同じことですが、日銀の国債買入れ額が維持される・減額されることだけでなく、日銀国債保有額の今後の推移に注目すべきと思います。

今回はこの辺で。

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