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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2024/06/03 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.235: 月例経済報告と日銀人事


今回は、5月27日に公表された内閣府月例経済報告の紹介と、一部マニアの間で(間のみで)話題の日銀人事の与太話です。

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景気基調判断維持
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内閣府の景気の基調判断は、現状、先行きともに維持されました。需要項目別には公共投資が「底堅く」から「堅調」に微修正(わずかに上方修正)されました。

(現状)
・基調:景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:持ち直しに足踏みがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:弱含んでいる
・公共投資:堅調に推移している
・輸出:持ち直しの動きに足踏みがみられる

(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しに向かうことが期待される
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、弱含みで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、堅調に推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済の持ち直しが続く中で、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある

1~3月期GDP公表直後でしたが、個人消費は元々「足踏み」との表現を用いていたので、4四半期連続マイナスを受けても判断は変わりませんでした。1~3月期マイナスになった設備投資については、短観等のアンケート結果は良いので、とりあえず判断を変えなかったように思います。

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日銀人事の話
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日経新聞くらいしかフォローしていませんが(笑)、先月一部の間で話題を呼ぶ日銀人事がありました。

まず、女性初の生え抜き役員となった清水季子理事が任期満了で退任。彼女が担っていた国際関係の仕事(例えばG7など)をこれまで金融政策を担っていた清水誠一理事が引き継ぎ、清水誠一理事の後をこれまで内部管理を担っていた加藤理事が継ぎました。また、景気判断を支える調査統計局長が交代し、これまで企画局長(金融政策所掌)、金融機構局長(金融システム所掌)と重要ポストを歴任してきた中村氏が就任しました。要は金融政策担当理事に加藤氏が、調査統計局長に中村氏が就いた訳です。

加藤理事は、最近は内部管理担当として組織を支えてきましたが、政策企画課長、企画局長と金融政策の王道を歩み、財務省はじめ霞ヶ関から絶大な信頼を得ており、日銀内の人望も厚いと言われる人物です。また任期が来年3月末までのタイミングでの交代なので、日銀が政策面でとても窮している表れとか、中曽・雨宮・内田という諸先輩同様、理事再任・副総裁就任を想定しているとか、憶測が飛んでいます。

調査統計局は、物価見通しを外し続けたことで日銀内の信認を失っているとの噂を耳にします。エコノミスト、かつ金融政策、金融システム両面の経験を持つ中村局長に再建を託したのでしょうか。

興味のない方にはどうでもよい話で失礼しました。

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