2023/11/20 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.214: 7~9月期GDP
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3四半期振りマイナス成長
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ポイントは以下の通りです。
・前期比-0.5%、年率-2.1%。昨年10月~12月期以来3四半期振りのマイナス成長。寄与度は内需-0.4%、外需-0.1%と内外需ともマイナス。
・内需では、民間最終消費支出が前期比-0.0%(寄与度-0.0%)とわずかながらマイナス。報道ではこの点がとくに注目されました。ただ、むしろ注目すべきは設備投資が前期比-0.6%(寄与度-0.1%)と落ち込んだこと。この点は後述します。他の需要項目では、在庫変動が-0.3%の寄与度。在庫取り崩しは実態として悪い話ではありませんが、今期マイナス成長の主役です。公的需要は前期比+0.2%(寄与度+0.0%)でした。
・外需では、輸出は前期比+0.5%(寄与度+0.1%)、輸入は前期比+1.0%(寄与度-0.2%)。この点も後述します。
・実質雇用者報酬は前年同期比-2.0%と、賃上げが物価上昇に追い付かない状況が続きます。
・7~9月期の実質GDP実額(季節調整後)は555兆円。コロナ前とほぼ同水準です。
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どうみるか?
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今回は評価が難しい内容だったと思います。普段思っている基調とやや異なる印象を受けたからです。
典型的には設備投資。日銀短観等をみると今年度は伸びるはずなのに、なぜマイナス?といった感じです。いくつか理由は考えられます。ひとつは偶々年度計画の実行が遅れただけで、10月以降巻き返すとの見方。他方、海外経済の弱さ等を受け下方修正が始まったとの悲観的見方も成り立ち得ます。もうひとつ、あるレポートを見て「なるほど」と思ったのは、短観等のアンケート調査は名目値ですが、物価上昇を差し引く実質ではそれほど増えないのではないかとの説です。私自身は巻き返し説ですが、10月以降に注目したいと思います。
個人消費も同様です。個人消費にはいくつかの力が別方向から働いています。ひとつは、コロナ下で我慢していた消費が爆発する要素。国内旅行が典型例です。その真逆は、物価高から節約を余儀なくされる要素。実質賃金マイナスが続く中で軽視できない要素です。自動車販売も波乱要因です。半導体不足や工場の操業停止の影響が出ると一時的ですが消費を押し下げます。そして猛暑や悪天候。エアコン販売にはプラスに効きますが、ずっと夏服で通し服を買わなかった私のような人も少なくないと思います。災害に見舞われれば消費どころではありません。
輸出についても、供給制約要因解消に伴う輸出増、海外経済減速に伴う輸出減、輸出にカウントされるインバウンド需要増の3つのベクトルが働きます。
こうしてみると、日本経済も意外に複雑です。どうしても目は米国や中国に向きがちですが、日本も真面目に見ていこうと改めて思いました。今回はこの辺で。
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