2023/06/19 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.197: 日銀金融政策決定会合
今回も簡単に。15・16日に開催された日銀金融政策決定会合を紹介します。政策変更は無く、無風でした。
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景気判断は維持
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今回のように展望レポートがない月(3月、6月、9月、12月)とある月(1月、4月、7月、10月)とではスタイルが異なり比較が難しい面もありますが、景気判断は現状・先行きとも維持されました。
(現状)
・基調:既往の資源高の影響などを受けつつも、持ち直している
・個人消費:物価上昇の影響を受けつつも、緩やかに増加している
・設備投資:緩やかに増加している
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:緩やかに増加している
・輸出:海外経済回復ペースの鈍化の影響を受けつつも、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっている
(先行き)
・今年度半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかに回復していくとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。ただし、成長ペースは次第に鈍化していく可能性が高い
(リスク要因)
・海外の経済・物価動向
・今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
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政策も不変
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金融政策も変更無しでした。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)、ETF等の資産買入れ方針とも、黒田前総裁末期と同じままです。
また、そのスタンスも、前回4月に修正された文言が踏襲されました。ポイントは以下の通りです。
・内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく
・賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく
・「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する
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なぜ不変?
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最近の円安傾向等を受け、マスコミの一部では政策変更説も流れていましたが、上記の通り不変・無風で終わりました。日銀は1年から1年半かけて政策の多角的レビューを行っており、レビューも終えないまま政策の本格的見直しを行うことは考えにくいと思います。そうした下でも変更説が流れるのは、「1年から1年半の間も機動的変更は排除しない」と植田総裁が述べているからです。その場合の変更は、現行の政策の大枠の下での部分的修正の色合いを持つと予想します。
私自身は、多角的レビュー完了前の変更があるとすれば、そのウィンドウは、FEDの利上げが完了し政策金利横這いモードに入った後、利下げを行うまでの間ではないかとみています。FED利上げの火種が残る中での日銀の政策修正は、思わぬ長期金利上昇リスクをはらみます。他方、利下げが始まった後の政策修正はtoo lateに思えます。
今般利上げを一旦停止したFEDが、あと1回・2回の利上げを行うか否か読みは難しいところですが、そうした状況を日銀も必死に見極めている気がします。Saltさん頼りですね!
今回はこの辺で。
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