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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/05/29 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.195: 内閣府月例経済報告


まだ体調不良が続いているので、今回も簡単に。25日に公表された内閣府月例経済報告を紹介します。判断が上方修正されました。

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景気判断上方修正
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現状に関し、先月までは「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」でしたが、今回は二段飛びで「緩やかに回復している」とされました。「一部の弱さ」が消え、さらに「持ち直し」が「回復」に格上げされた訳です。需要項目では個人消費、輸出が上方修正されました。

(現状)
・基調:景気は、緩やかに回復している
・個人消費:持ち直している
・設備投資:持ち直している
・住宅建設:底堅い動きとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:底堅い動きとなっている

先行きについても、ついに「ウィズコロナ」と「供給面の制約」が消えました。

(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しが続くことが期待される
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:底堅く推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:底堅く推移することが見込まれる。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある

(上方修正の背景)

先月までと比べ、ウィズコロナが消えたこと、「雇用・所得環境の改善」という言葉が加わったこと、供給面の制約も消えたことが、上方修正の理由です。

このうち、個人消費やインバウンド需要(輸出に計上されます)がコロナ禍の制約が消えたことで好調なことは間違いありません。今回の春闘における賃上げ率が久し振りの高さになったことも事実です。供給制約の解消が自動車の国内外での販売にプラスに効いていることも確かです。更に、最近の株価上昇にみられるように、雰囲気にも明るさが出てきました。

ただ、二段飛びは流石に焦り過ぎの印象を受けました。来月までかけて輸出などのデータを見極めたうえで、段階を踏んだ上方修正を行う方が健全に思いました。ただ、逆に言えば先月まで慎重過ぎたのかもしれませんね。

今回はこの辺で。

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