2022/08/01 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.161: 月例経済報告と世界経済見通し
8月ですね。今回は先月26日に公表された内閣府月例経済報告とIMF世界経済見通しの紹介です。前者は上方修正、後者は下方修正と対照的な内容になりました。
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現状判断は上方修正
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現状の基調判断は、先月の「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正されました。26日時点でも既に新型コロナウイルス感染症新規感染者増加が話題でしたが、それでも気にせず飲み会や旅行をする動きが広がっていました。この点を素直に反映した修正です。需要項目でも個人消費が上方修正です。
・基調:景気は、緩やかに持ち直している
・個人消費:緩やかに持ち直している
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:底堅い動きとなっている
・公共投資:底堅い動きとなっている
・輸出:おおむね横ばいとなっている
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先行きは利上げの影響を意識
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先行きは、「世界的に金融引締めが進む中での金融資本市場の変動」に焦点を当て、リスクに警鐘を鳴らしました。
・基調:感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的に金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。
・個人消費:感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、持ち直していくことが期待される
・設備投資:企業収益の改善等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:底堅く推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:欧米経済の改善等を背景に、持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約等による下振れリスクに注意する必要がある
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世界経済は下方修正
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今回のIMF世界経済見通しの表題は「陰り見え、不透明感増す」。この一言で今回のレポートの内容は尽きていますが、少し数字を紹介します。
世界全体の経済成長率は、昨年+6.1%と2020年のコロナ禍による落ち込みから立ち直った後、2022年+3.2%、2023年+2.9%と予測されました。前回4月時点の予測対比で2022年-0.4%、2023年-0.7%の下方修正です。
このうち先進国は2021年+5.2%、2022年+2.5%、2023年+1.4%で、2022年-0.8%、2023年-1.0%の下方修正。中でも米国は2021年+5.7%、2022年+2.3%、2023年+1.0%で、2022年-1.4%、2023年-1.3%の超大幅な下方修正。ユーロ圏は2021年+5.4%、2022年+2.6%、2023年+1.2%で、2022年-0.2%、2023年-1.1%の下方修正。日本は2021年+1.7%、2022年+1.7%、2023年+1.7%で、2022年-0.7%、2023年-0.6%の下方修正です。
新興国・途上国は2021年+6.8%、2022年+3.6%、2023年+3.9%で、2022年-0.2%、2023年-0.5%の下方修正。うちロシアは2021年+4.7%、2022年-6.0%、2023年-3.5%とGDPは落ち込み、ただし2022年+2.5%上方修正(2023年-1.2%下方修正)。中国は2021年+8.1%、2022年+3.3%、2023年+4.6%で、2022年-1.1%、2023年-0.5%下方修正です。
2022年のインフレ率は先進国+6.6%、新興国・途上国+9.5%と予想され、4月予測からそれぞれ+0.9%、+0.8%の上方修正です。
成長率下方修正の要因は以下とされます。
・米国…年初来の成長鈍化、家計購買力の低下、金融政策の引き締め
・中国…ロックダウンの強化、不動産危機の深刻化
・欧州…ウクライナにおける戦争に伴う波及効果、金融政策の引き締め
リスクは圧倒的に下方に傾いているとされます。
・欧州のロシアからのガス輸入が突然停止する可能性
・労働市場が予想以上に逼迫したりインフレ期待のアンカーが外れたりすれば、インフレを抑制することがより困難になりかねない
・世界的な金融タイト化が新興市場国・発展途上国において債務危機を誘発する恐れ
・新たに新型コロナウイルスの感染拡大とロックダウンおよび不動産部門における危機の一層の段階的悪化が起これば中国経済が一層圧迫
・地政学的な分断が進めば世界貿易と国際協調を阻害しかねない
こうしたリスクが現実化すれば、成長率は2022年+2.6%、2023年+2.0%とさらに低くなります。
今回はこの辺で。今月は休載が増えるかもしれません。ご容赦ください。
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