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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/08/23 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.119: 日本の4~6月期GDP


今回は16日に公表された日本の4~6月期GDPを簡単に紹介します。

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訂正とお詫び
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その前に前号の訂正とお詫びです。前号のはじめの方で「IPCCの第6次評価報告書」と書きました。「IPCC第6次評価報告書に向けた第1作業部会報告書(自然科学的根拠)」が正確でした。申し訳ありませんでした。今後第2・第3作業部会報告書も公表され、第6次評価の統合報告書は来年9月公表予定です。

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2四半期振りプラス成長
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4~6月期実質GDPは前期比+0.3%(年率換算で+1.3%)と2四半期振りのプラス成長となりました。需要項目別には以下の通りです。

(1) 内需の寄与度は+0.6%、外需の寄与度は-0.3%でした。内需主導の成長だったことになります。

(2) 内需の内訳は以下の通りです。前期比とカッコ内で寄与度を示します。
・民間最終消費支出:+0.8% (+0.5%)
・民間住宅:+2.1% (+0.1%)
・民間企業設備:+1.7% (+0.3%)
・公的需要:+0.1% (0.0%)
緊急事態宣言の割に消費が増えたことが、西村大臣会見で話題になったようです。思ったより伸びた感じもしますが、1~3月期は-1.0%だったので、挽回し切れていないことも確かです。設備投資はそれなりの回復です。

(3) 外需の内訳は以下の通りです。
・輸出:+2.9% (+0.5%)
・輸入:+5.1% (-0.8%)
輸入が増えるとGDPにマイナスの影響を与えます。GDP(Gross Domestic Product)は国内で生産された付加価値を表す指標です。国内総需要(消費・投資)を発射台に、海外で生産された分(=輸入)を差し引き、海外で需要された分(=輸出)を加えることで、GDPが算出されます。このため、輸入増加はGDPを減らし寄与度がマイナスになります。

(4) 国内民間需要は年率換算で+3.5%伸びており、そう悪い数字ではありません。また、上記のように輸入の伸びが足を引っ張りましたが、輸入が強いことは国内需要が強いことの裏返しです。ただ、4~6月期は年率換算で米国+6.5%、ユーロ圏+8.3%も伸びており、ワクチン接種が遅れる日本の数字は大きく見劣りしたというのが、大方の評価となりました。

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水準は低い
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4~6月期でみると、米国は遂にGDPの水準がコロナ前2019年10~12月期を超えました。米国の回復力の強さを示すとともに、同じ需要水準で失業者がコロナ前よりまだ数百万人多いことは、供給不足になりやすく物価が上がりやすい状況にあることを示唆します。欧州はコロナ前をまだ2.6%下回っています。

日本の場合、コロナ前に消費税率引き上げの反動があり、諸外国と異なりコロナ前ピークが2019年10~12月期でなく7~9月期にあります。そのピーク対比では未だに3.4%下回っています。引き上げ前の駆け込みを含む数字との対比はややアンフェアですが、民間最終消費支出の水準は5.4%下回ります。民間設備も6.8%下回ります。他方で輸出はほぼ同額、政府最終消費支出が+3.9%増えています。

コロナ前ピーク水準にいつ戻るか諸説あり、悲観論者は2023年7~9月期と主張し、楽観論者はワクチン接種率が高まりリベンジ消費が急拡大し、来年半ばには戻ると主張します。私は少し前まで強気でしたが、少し弱気になり始めています。理由は3つあります。ひとつはインバウンド消費の回復が当面見通せないこと、2つめはワクチン3回接種必要論が高まる可能性がある(その分回復が遅れる)ことですが、3つめは最近のある経験からです。

知人のお店に1人で行きゆっくり飲食を楽しんでいたところ、7人の団体客が入りマスクを外して盛り上がり始めました。距離が近かった訳ではなく、既に2回接種も終えていますが、それでも恐く感じ、そそくさと会計を済ませ店を出ました。注文した料理は食べ終えていたので良かったのですが、このような心理になったことは自分でも意外でした。「昔」に戻ることの難しさを実感した次第です。

今回はこの辺で。

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