2021/08/09 06:30 | by Konan | コメント(2)
Vol.117: 久し振りの三題話し
世の中はコロナ禍とオリンピックの話し満載ですが、何れもこのコーナーで最近取り上げ、個人的には夏枯れ状態です(苦笑)。このためお休みも考えましたが、旧ひとり言の際に何度か書いた「三題話し」を思い出し、短い話しを3つ並べようと思い直しました。
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オリンピックメダル数
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今回のオリンピックでは、兄妹や姉妹の金メダル、12歳や13歳でのメダル、沖縄・鳥取県出身者の金メダル獲得による47都道府県金メダル出揃いなど、日本人選手に関する微笑ましい話題がいくつもありました。そうした中で、Financial Timesが「メダル数の理論値と実績値の差」を取り上げたことに気付きました。
メダル数の理論値は、「人口」「1人当たりGDP」「過去のメダル獲得実績」に基づき試算されます。人口が多いほどメダル数が多い、金持ちの国ほど選手育成にお金をかけられる、過去の実績の多さはスポーツ大国度を表す、という発想と思います。
理論値より実績値が多い国の上位5か国は、ROC(ロシア)、中国、オーストラリア、イタリア、オランダです。実績値が理論値より少ない国の上位5か国は、フランス、アゼルバイジャン、南アフリカ、タイ、ケニアです。日本は理論値をやや上回る獲得数です。競技終了前のもので最終的な姿は異なると思いますが、何かの話題として紹介しました。
なお、オリンピックについてはその経済効果が話題になります。かけたコストの多寡と、オリンピック前後で比較した開催都市の魅力(人をひきつける力)向上度の2つの要素で語られることが多いと思います。例えば、バルセロナは開催後に人気が高まったとか、ロサンゼルスはコストが低かったと言われるようです。今回の東京に関しては、コスト面でも魅力向上度の点でも「惨敗」の評価が定説になりつつあるようです。
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中国経済
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逸早くコロナ禍を克服した中国ですが、その経済に関し先行きを不安視する見方が増えているように感じます。きっかけは4~6月期のGDP前年比が+7.9%と1~3月期の+18.3%に比べ急落したことにあります。IMFの世界経済見通しでも下方修正されました。
しかし前年比の低下は当たり前です。昨年1~3月期にコロナ禍の影響で縮小した反動で今年1~3月期の前年比が大きく伸びた一方、昨年4~6月期には既にプラス成長に復していたからです。
そうは言っても、一頃リベンジ消費が話題になった個人消費が、最近は意外なほど伸びていません。世界的な商品市況高騰もマイナスの影響を与えます。仮に旧来のように投資に頼ろうとすると、地方政府等の債務問題が気になってきます。
更に長い目で見ると、少子高齢化が中国でも進み始めています。JDさんがメルマガで詳しく取り上げてくれたIT企業等への締め付けも、中国経済の活力の観点から好ましいとは言えません。
中国に関しては、どうしてもその圧倒的な力に目が向きがちです。ただ、冷静に見ると盤石とは言えないようにも思います。オーストラリアとの対立の陰では、鉄鉱石入手に困るという意外な弱さも露呈しています。かと言って、中国の弱点だけあげつらうのも公平ではなく、冷静に強さ・弱さを分析する姿勢が益々重要になる気がします。
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WFH
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Work from home(リモートワーク)。コロナ禍以降注目を浴び、私も週2、3回はリモートワークです。他方で小池都知事がいくら叫んでも、「私の仕事はリモートでは出来ない」「リモートワーク導入コストを賄えない」など怨嗟の声が聞こえます。また、元々職と住の場が近い地方圏では、リモートワークのメリットが余り感じられないのも事実と思います。
直近ではデルタ株の登場で風向きが再び変わってきましたが、少し前、米国では名立たる企業が「オフィス復帰」を打ち出しました。完全なオフィス復帰ではありませんが、週3回出勤などが標準形と思います。顔を合わせないとチーム・ビルディングが出来ない、若手の教育も出来ず会社のカルチャーが失われてしまう、顔を合わせる方が創造性が高まり意思決定も早まる、などが理由です。
WFHがどうなっていくか、現時点では不確実です。ただこの帰趨は、個々人の幸福度にとどまらず、不動産、鉄道、オフィス機器、飲食、ITなど様々な業種に大きな影響を与えます。FTやWSJでも意外なほど関連記事が掲載されます。注意してみていきたいと思います。
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今回はこの辺で。来週は本当にお盆休みを頂くかもしれません…
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2 comments on “Vol.117: 久し振りの三題話し”
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素人だがこれは人員削減のもとになるとみている。トヨタが看板方式をして余剰人員を把握したが、それと同じことが起きると思う。
驚くほど速くレジの無人化が進んだ。これも一種のリモートだろう。
長い歴史、とくに大陸の歴史を見るといろいろな国が起きて、滅んでいる。我が国はその例外で、いつまでも今が続くという無意識がある。いわゆる天壌無窮です。欧米の終末的世界観とは真逆で、彼らは何時か終わり週末が来てその時新しい秩序が生じて救われるという歴史観を持っているから、絶えずかわる。そのれに匹敵する我が国の考え方がこの世を借りの世とみる味方です。
そのため組織の変革がやりやすいがそれは人為に行うのではなく自然災害のように感じて行う。これはいいことと悪いことがある。
いつまでも広島長崎の運動をしているが、あれは宗教に過ぎない。北朝鮮が核兵器を持っている事実に向き合わない、ただの迷惑にすぎない。
これが変わるときは自らの判断ではなく、なし崩しにやめることになる。いつも我が国はそれで動いてきて、明治以降うまくいった。大東亜戦争はアメリカ戦線と中国戦線の二つがあったが、その二つを考慮した報道はない。実験でいうなら、データの見落としに相当するから、まったく意味がない。
いろいろ考えたが日銀がいくらしても2パーセントのinflationは起きない。
思うにこれは我が国経済とアメリカ経済の基本が異なるからだと思う。我が国のそれは金本位制でアメリカは株式本位制ではないかと思う。
そこで思うが日銀は金利を0.5パーセントにしてはどうだろうか?
このままいってもじり貧なら一つ手を打つこともありだ。しかしそれはたぶんアメリカとの戦争を意味する。
再び真珠湾攻撃をしますかね、今度もそれをすると中国に割る我が国の経済権益が失われるが、現状でも失われるから、損をどちらにするかでしょう。
わが国が受ける打撃を計算して金利をあげてはどうか?
今回も興味深く読ませていただきました。
リモートワークは中小ほど難しいようです。技術的には可能でも、社内的な整備が大変だから厳しいって聞いたことあります。結局、その人たちはコロナ禍でも混雑する電車で出勤してるようです。仕事なんだから、どうにもならないですよね…。